AGAの治療は自由診療で、長く続けることが前提になります。だからこそ、始める前に副作用の中身と頻度を知っておくほうが、途中で不安になって自己判断でやめるより確実です。薬ごとに整理します。
飲み薬(フィナステリド・デュタステリド)
どちらも、男性ホルモンが毛を細くする形に変わるのを抑える薬です。国内でAGAの治療薬として承認されています。
| 起こりうること | 内容 | どう考えるか |
|---|---|---|
| 初期脱毛 | 飲み始めて数週間で、一時的に抜け毛が増えることがある | 毛周期が入れ替わる過程で起こるもので、効いていないサインではありません。多くは1〜3か月で落ち着きます |
| 性機能に関わる症状 | 性欲の低下、勃起機能の低下、射精量の減少 | 頻度は高くありませんが、実際にあります。気になる場合は続けるかどうかを相談してください |
| 肝機能の変化 | 血液検査の数値が変動することがある | 自覚症状が出にくいため、定期的な血液検査で確認します |
| PSA値が下がる | 前立腺がんの検診で使う数値が、実際より低く出ます | 検診を受けるときは必ず服用を申し出てください。伝えないと、異常を見落とす方向に働きます |
| 気分の落ち込み | 報告されています | 頻度は高くありませんが、思い当たる変化があれば相談してください |
| 乳房の張り・痛み | まれに報告されています | 続く場合は受診してください |
女性と未成年は服用できません。特に妊娠中・妊娠の可能性のある女性は、割れた錠剤や砕けた錠剤に触れることも避けてください。男児の生殖器の発育に影響するおそれがあるためです。家庭内での保管場所にも注意が必要です(関連記事: 女性の薄毛)。
また、服用中および中止後の一定期間は献血ができません。輸血を受けた方に影響が及ぶ可能性があるためです。期間は薬によって異なるので、処方時に確認してください。
塗り薬(ミノキシジル外用)
頭皮に直接塗る薬で、市販でも購入できます。起こりやすいのは塗ったところのかゆみ・赤み・フケで、これは薬そのものより基剤(薬を溶かしている液体)による刺激のことがあります。症状が続く場合は、濃度や製品を変えることで改善することがあります。
このほか、塗り始めに一時的な抜け毛が増えること、液が垂れた部分(額・こめかみ)に産毛が濃くなることがあります。垂れた液はすぐ拭き取る、就寝直前に塗らない、といった工夫で減らせます(関連記事: 育毛剤・発毛剤の違い)。
ミノキシジルの内服について
ミノキシジルの内服薬は、日本ではAGAの治療薬として承認されていません(国内未承認)。もともと血圧を下げる薬として開発された成分であり、国内未承認のまま用いる場合には、むくみ、動悸、血圧の低下、全身の多毛、まれに心臓や肺に関わる重い副作用が報告されていることを理解したうえで判断する必要があります。使用する場合は医師の管理下で、定期的な診察と検査を受けてください。個人輸入で入手して自己判断で服用することは避けてください。
※AGAの治療は自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。副作用が起きた場合の対応や、定期的な検査の要否についても、開始前に確認してください。
副作用が出たときにどうするか
- 自己判断で急にやめる前に、まず受診して相談してください — 別の薬や量に変えることで続けられる場合があるためです
- 初期脱毛は、原則そのまま続けます — ここでやめると、効果を確かめないまま終わってしまいます
- 強い倦怠感・黄疸・尿の色が濃いなどがあれば、すぐ中止して受診 — 肝機能の異常を疑うサインだからです
- 健康診断・人間ドックの前には必ず申告する — PSA値の解釈に関わります
- ほかの医療機関で処方される薬がある場合は、AGA薬を服用中であることを伝える — お薬手帳に記載しておくのが確実です
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 副作用はどのくらいの人に出ますか? | 性機能に関わる症状の頻度は高くないと報告されていますが、ゼロではありません | 数値は製品ごとの資料で示されており、処方時に説明を受けられます。出ないと言い切ることはできません |
| 途中でやめたら副作用は戻りますか? | 多くは中止によって改善しますが、経過には個人差があります | 薬の作用が切れれば元の状態に向かうためです。心配な症状があれば必ず受診してください |
| お酒は飲んでもいいですか? | 過度でなければ構いません | 肝臓に負担のかかる飲み方が続くと、検査値の判断が難しくなるためです |
| 効果はいつ分かりますか? | 判断には数か月かかります | 毛周期が一巡するのに時間が必要なためです。1か月で判断しないでください |
| やめたらどうなりますか? | 元の進み方に戻っていきます | 薬は毛周期を保つ働きをしているだけで、体質そのものを変えるものではないためです(関連記事: AGA治療法の比較) |
| 個人輸入のほうが安いと聞きました | 勧められません | 成分量が表示どおりとは限らず、副作用が出ても救済制度の対象外となるためです。定期的な検査も受けられません |
受診の目安
- すぐに中止して受診を — 強いだるさ、皮膚や白目が黄色い、尿の色が濃い
- すぐに中止して受診を — 息切れ・動悸・急なむくみ(内服のミノキシジルを使用中の場合は特に)
- 受診を — 性機能に関わる症状が続いている
- 受診を — 頭皮の赤み・かゆみ・フケが塗り薬を使い始めてから出た(関連記事: 頭皮のかゆみ)
- 受診を — 抜け毛が3か月以上増え続けている(初期脱毛以外の原因を考えます。関連記事: 抜け毛が増えた)
- 相談を — 健康診断を控えている、ほかの薬を飲み始める予定がある
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症」(確認日: 2026-09-21)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-21)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

