「前腕に、小さなしこりがいくつかあって、押すとズキッと痛い」「脂肪腫は痛くないと聞いたのに、自分のは痛い」「数が増えてきて心配」。皮膚の下のしこりの多くは痛みがありませんが、血管脂肪腫は痛みがあることが特徴の、脂肪腫の仲間です。
血管脂肪腫とは(仕組み)
脂肪腫は、皮膚の下の脂肪の細胞が増えてできる、やわらかい良性のかたまりです。血管脂肪腫はその中で、細い血管がたくさん入り込んでいるタイプです。血管が多いことや、かたまりの中の小さな血栓(血の固まり)などが、痛みの原因と考えられています。
- 若い成人(10代後半〜30代)に多い
- 前腕がもっとも多く、次いでお腹・胸・背中・太もも
- ひとつひとつは小さく(多くは2cm以下)、複数できることが多い
- 悪性化することはなく、ほかの臓器に広がることもない
症状・見分け方
皮膚の下に、少し弾力のある丸いしこりを触れます。表面の皮膚の色は変わりません。痛みは、押したときや、ぶつけたとき、服がこすれたときに出ることが多く、何もしなくてもうずくことがあります。
| 皮膚の下のしこり | 痛み | 特徴 |
|---|---|---|
| 血管脂肪腫 | 押すと痛い | 小さく、複数。前腕に多い。若い人に多い |
| 脂肪腫 | ふつうはない | やわらかく、1個で数cm以上になることも。背中・肩・首に多い |
| 粉瘤 | 炎症を起こすと痛い | 皮膚とくっついて動き、中央に黒い点(開口部)があることが多い。くさい中身が出ることがある |
| 神経鞘腫 | 押すと、しびれや電気が走るような痛みが先へ響く | 神経に沿ってできる。1個のことが多い |
| グロムス腫瘍 | 強い痛み、冷たさで痛む | 指先・爪の下に多い、数mmのもの |
しこりの診断には、超音波(エコー)検査がよく使われます。痛みのない検査で、中身の性質や深さ、大きさが分かります。手術で取ったものは病理検査(顕微鏡の検査)で確かめます。
治療
血管脂肪腫は良性で、自然に消えることはあまりありませんが、痛みがなく気にならなければ、経過を見るだけでも問題ありません。
- 手術(切除): 痛みで困る、ぶつかって生活に支障がある、診断をはっきりさせたい場合に行います。局所麻酔で、しこりの上を小さく切開して取り出します。薄い膜に包まれていることが多く、比較的きれいに取れます
- 数が多いとき: 全部を一度に取る必要はありません。痛いもの、大きいものから順に取る、という考え方が一般的です
飲み薬や注射でしこりを小さくする方法は一般的ではありません。痛み止めで一時的に痛みを和らげることはできますが、原因はしこりそのものにあるため、根本的な対処は手術になります。
受診の目安
- 押すと痛いしこりがあり、正体を確かめたい
- しこりが短期間(数週間〜数か月)で大きくなっている
- 直径5cm以上、硬い、動かない、深いところにある
- しこりが赤く腫れて熱を持っている
急に大きくなる・硬い・動かないしこりは、まれに悪性の腫瘍(脂肪肉腫など)との区別が必要です。「痛いから良性」「痛くないから悪性」と、痛みだけで判断しないでください。
よくある質問
手術のあと、また新しいのができますか?
取ったしこりが同じ場所から再発することは少ないですが、別の場所に新しくできることはあります。体質的にできやすい人がいると考えられています。
手術の日にお風呂や仕事はできますか?
多くの場合、手術は日帰りで、翌日からシャワーができることが多いです。腕の手術では、数日は重い物を持つ作業を控えるように言われます。傷口が開くのを防ぐためです。詳しくは手術前に確認してください。
マッサージすると小さくなりますか?
小さくなりません。押したりもんだりすると痛みが強くなることがあるので、触りすぎないようにしましょう。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-09-30)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 粉瘤(確認日: 2026-09-30)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

