「鼻の穴の入り口が痛くて、触るとズキッとする」「かさぶたができて、取るとまたできる」「鼻の下まで赤くなってきた」。風邪や花粉症で鼻をかむ回数が増えたときや、鼻毛を抜いたあとに起こりやすいトラブルです。
鼻前庭炎とは(仕組み)
鼻の穴の入り口から、鼻毛が生えている部分までを鼻前庭(びぜんてい)といいます。ここは鼻の中ですが、粘膜ではなく皮膚でおおわれていて、鼻毛の毛穴もあります。
この皮膚に小さな傷ができ、そこから黄色ブドウ球菌などの細菌が入ると炎症が起こります。黄色ブドウ球菌はもともと鼻の中にいることの多い菌で、傷ができると増えやすくなります。
傷のきっかけとして多いのは、次のようなものです。
- 鼻を何度もかむ(風邪・花粉症・アレルギー性鼻炎)
- 鼻をほじる、かさぶたをはがす
- 鼻毛を抜く
- 空気の乾燥
ひとつの毛穴の奥で炎症が強くなると、赤く腫れたおでき(鼻せつ)になることもあります。
症状・見分け方
鼻の穴の入り口に、赤み・ヒリヒリ感・押すと痛むなどの症状が出ます。黄色っぽいかさぶたがつき、はがすとまたできる、を繰り返すのが典型です。
| 考えられるもの | 特徴 |
|---|---|
| 鼻前庭炎 | 入り口の赤み・痛み、黄色っぽいかさぶた。繰り返しやすい |
| 鼻せつ(おでき) | 1か所が赤く盛り上がり、ズキズキ痛む。膿をもつこともある |
| 鼻前庭湿疹 | かゆみが強く、カサカサ・皮むけ。鼻水や鼻をかむ刺激で起こる |
| 単純ヘルペス | 小さな水ぶくれが集まり、ピリピリする。同じ場所に繰り返す |
| とびひ | 鼻の下や口のまわりに広がる、ジュクジュクした黄色いかさぶた。子どもに多い |
鼻の入り口は、鼻の奥の鼻炎や副鼻腔炎の鼻水の影響も受けます。鼻づまりや色のついた鼻水が続く場合は、鼻の中の治療も一緒に必要になることがあります。
治療・セルフケア
治療の基本は、抗菌薬の塗り薬です。綿棒に少量とって、鼻の入り口に1日に数回塗ります。腫れが強い、おできになっている場合は、抗菌薬の飲み薬を使うこともあります。
治療と同じくらい大切なのが、傷を増やさないことです。
- いじらない・かさぶたをはがさない: かさぶたは傷を守るふたです。はがすたびに新しい傷ができて、細菌が入りやすくなります
- 鼻毛は抜かずに切る: 抜くと毛穴に傷ができ、炎症の入り口になります。はさみやトリマーで短くするだけにしましょう
- 鼻はやさしく、片方ずつかむ: ティッシュは柔らかいものを選び、こすらずに押さえるようにします
- 乾燥を防ぐ: 治ってきたら、ワセリンを薄く塗って入り口を保護すると、繰り返しにくくなります
腫れたおできを自分でつぶさないでください。鼻のまわりの血管は頭の中の血管とつながっているため、無理につぶすと炎症が広がることがあります。
受診の目安
- 塗り薬や市販薬を使っても、1週間ほどで良くならない
- かさぶたや痛みを何度も繰り返す
- 赤く盛り上がり、ズキズキ痛む(おでき)
- 鼻の下や口のまわりまで広がってきた
次のような場合は、急いで受診してください。
- 鼻全体や頬、まぶたまで赤く腫れてきた
- 熱が出ている、強い頭痛がある
- 目が腫れて開けにくい、ものが二重に見える
夜間や休日で迷う場合は、救急安心センター(#7119)に相談してください。鼻の入り口の皮膚のトラブルは皮膚科で、鼻づまりや鼻水など鼻の奥の症状が中心なら耳鼻咽喉科で診てもらえます。
よくある質問
市販の塗り薬を使ってもいいですか?
抗菌成分を含む市販薬で軽くなることもあります。ただ、ステロイドだけの薬は細菌を増やすことがあり、ヘルペスが原因の場合は抗ウイルス薬が必要です。1週間ほど使っても良くならなければ、原因の確認のために受診してください。
何度も繰り返すのはなぜですか?
鼻の中に黄色ブドウ球菌がすみついていること、鼻をいじる・かむ癖が続いていることが主な理由です。繰り返す場合は、鼻の中の菌を減らす治療や、鼻炎の治療をあわせて行うことがあります。
子どもがよく鼻をほじってしまいます。
爪を短く切り、かさぶたにワセリンを塗って乾燥を防ぐと、気になって触る回数が減ります。鼻の下にジュクジュクしたかさぶたが広がってきた場合は、とびひのことがあるので受診してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A とびひ(確認日: 2026-10-01)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ヘルペスと帯状疱疹(確認日: 2026-10-01)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

