「蕁麻疹と言われて抗ヒスタミン薬を飲んでいるのに、なかなか治らない」「かゆいというより、ヒリヒリ・ジンジンする」「消えたあとが、ぶつけたあとのように黒っぽくなる」。こうした場合は、蕁麻疹とよく似た別の病気を考えます。
蕁麻疹様血管炎とは(仕組み)
普通の蕁麻疹は、皮膚の中で「ヒスタミン」という物質が出て、血管から水分がにじみ出ることで膨らみができます。血管そのものは傷んでいないため、膨らみは15分〜数時間、長くても1日以内に跡を残さず消えるのが特徴です。
一方、蕁麻疹様血管炎は、皮膚の細い血管の壁そのものに炎症が起きる病気(血管炎)です。血管が傷んで赤血球が外に漏れ出すため、膨らみが長く残り、消えたあとに内出血のような色の跡が残ります。
原因がはっきりしないことも多いですが、次のような病気や状況と関係することが知られています。
- 膠原病(全身性エリテマトーデス・シェーグレン症候群など)
- ウイルス性肝炎などの感染症
- 一部の薬
症状・見分け方
| 見るところ | 普通の蕁麻疹 | 蕁麻疹様血管炎 |
|---|---|---|
| 1つの膨らみが続く時間 | 15分〜数時間、長くても1日 | 24時間以上(2〜3日続くことも) |
| 感じ方 | かゆい | かゆみよりヒリヒリ・痛み・焼ける感じが目立つことがある |
| 消えたあと | 跡を残さない | 茶色〜紫色のあざのような跡が残る |
| ほかの症状 | ふつうはない | 関節の痛み、発熱、だるさ、お腹の痛みを伴うことがある |
| 抗ヒスタミン薬 | 多くは効く | 効きにくい |
自宅でできる確かめ方として、膨らみの1つにペンで丸をつけておき、翌日も同じ場所に残っているかを見る方法があります。消えたり出たりする場所が変わるなら普通の蕁麻疹、同じ場所に1日以上残るなら血管炎を疑う手がかりになります。受診前にスマートフォンで写真を撮っておくと、診察で経過を伝えやすくなります。
皮膚科では、皮膚の一部を取って顕微鏡で血管の炎症を確かめる検査(皮膚生検)と、血液検査・尿検査で全身の状態を調べます。とくに血液中の「補体」という成分が下がっているタイプは、内臓の病気を伴いやすいとされ、注意して経過を見ます。
治療
症状が皮膚だけで軽い場合は、抗ヒスタミン薬に加えて、炎症を抑える飲み薬(コルヒチン、ジアフェニルスルホンなど)を使います。これらはこの病気に対しては適応外の使用となるため、医師が必要性と副作用を説明したうえで使います。症状が強い場合や、関節・腎臓などにも炎症が及んでいる場合は、ステロイドの飲み薬や免疫を抑える薬を使います。
膠原病や肝炎などの病気が見つかった場合は、その病気の治療が優先されます。内科・リウマチ科と連携して進めます。
受診の目安
- 同じ場所の膨らみが24時間以上消えない
- 消えたあとに、あざのような跡が残る
- 抗ヒスタミン薬を飲んでも、ほとんど変わらない
- 関節の痛み、発熱、むくみ、尿の泡立ちなどを伴う
唇やまぶたが急に腫れる、息苦しい、声がかすれる、ぐったりするといった症状があるときは、蕁麻疹の種類にかかわらず救急車を呼んでください。迷うときは救急安心センター(#7119)に相談できます。
よくある質問
かゆみが強いときは、どうしたらいいですか?
保冷剤をタオルで包んで冷やすと、かゆみや熱っぽさが和らぎます。熱いお風呂や飲酒は血管を広げて症状を強めやすいため、ぬるめのシャワーにしておくのがおすすめです。
普通の蕁麻疹から、この病気に変わることはありますか?
「変わる」というより、最初から別の病気であることが多いです。慢性蕁麻疹と思われていた方の一部に、この病気が見つかることがあります。経過がいつもと違うと感じたら、遠慮なく伝えてください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-03)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-03)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

