「公園で銀杏を拾った次の日から、手の指が赤くブツブツしてきた」「殻をむいていたら顔までかゆくなった」。10月から11月は、銀杏によるかぶれの相談が増える時期です。銀杏は食べ物としておなじみですが、実のまわりの果肉には、皮膚をかぶれさせる成分が含まれています。
銀杏かぶれとは(仕組み)
銀杏の実は、においの強い黄色い果肉(外側の柔らかい部分)に包まれています。この果肉に含まれる成分が皮膚に触れることで起こるアレルギー性のかぶれ(接触皮膚炎)が銀杏かぶれです。
アレルギー性のかぶれは、触れてすぐではなく半日〜2日ほどたってから症状が出るのが特徴です。そのため「拾った日には何ともなかった」という方が多く、原因に気づきにくいことがあります。成分が付いた手で顔や首、腕などを触ると、そこにも同じかぶれが広がります。
漆(うるし)にかぶれたことがある方は、銀杏にも反応しやすいことが知られています。逆に、毎年拾っていて平気だった方でも、ある年から急にかぶれるようになることがあります。体が成分を覚えるまでに何度か触れる必要があるためです。
症状・見分け方
典型的なのは、指先・指の間・手の甲の赤み、強いかゆみ、小さなブツブツです。ひどくなると水ぶくれやジクジクが出ます。顔・まぶた・首は皮膚が薄いため、手より強く腫れることがあります。
| 考えられる原因 | 出方 | 手がかり |
|---|---|---|
| 銀杏かぶれ | 拾った・むいた手、その手で触った顔や首 | 秋に銀杏を触った半日〜2日後に出る。強いかゆみ |
| 漆・ハゼノキのかぶれ | 山歩き・庭仕事で触れた腕や顔に、線状の赤み | 植物の汁が付いた形どおりに出る |
| 手湿疹 | 指先・手のひらのガサガサやひび割れ | 水仕事が多いと続く。季節を問わない |
| 虫刺され | 露出した場所に点々と | 1つずつのふくらみがはっきりしている |
治療・セルフケア
触ったと気づいたら、できるだけ早く石けんと流水で洗うことが第一です。成分が皮膚に残っている時間が短いほど、かぶれは軽く済みます。爪の間にも果肉が残りやすいので、ていねいに洗ってください。
- ステロイドの塗り薬: かぶれの炎症を抑える基本の治療です。手は皮膚が厚いため強めのもの、顔は弱めのものと、場所によって使い分けます
- かゆみ止めの飲み薬: かゆみが強く眠れないときに使います
- 冷やす: かゆいときは保冷剤をタオルで包んで当てると楽になります。かくと皮膚が傷つき、治りが遅くなるうえ、とびひなどの感染のきっかけになります
- 水ぶくれは破らない: 破ると細菌が入りやすくなります。大きいものは皮膚科で処置します
市販のかゆみ止めでも軽いものは治まることがありますが、3〜4日塗っても広がる・ジクジクしてくる場合は、薬の強さが足りていないことが多いので受診してください。
予防のために
- 拾うときはゴム手袋やビニール手袋を使う(軍手は果肉がしみ込むので向きません)
- 果肉を取る作業は手袋をしたまま行い、終わったら手袋を外してから手を洗う
- 果肉が付いた靴や服は、素手で触らずに洗う
- 一度かぶれた方は、次の年も同じようにかぶれる前提で対策する
受診の目安
- 顔・まぶたが腫れて目が開けにくい
- 水ぶくれやジクジクが出ている
- 触っていない体の広い範囲にまで、かゆいブツブツが広がってきた
- 市販薬を3〜4日使っても良くならない
- かゆみで眠れない
触れた場所以外に全身へ発疹が広がるのは、かぶれが体全体の反応に広がったサインのことがあります。飲み薬が必要になることもあるため、早めにご相談ください。
診察室でよく聞かれる質問
銀杏を食べてもかぶれますか?
かぶれの原因は主に果肉です。殻を割って加熱した中身を食べてかぶれることは多くありません。ただし、果肉が付いたままの殻を素手で扱うとかぶれます。
一度かぶれたら、毎年かぶれますか?
体が成分を覚えている限り、触れればまたかぶれると考えてください。慣れて平気になる、ということは期待しないほうが安全です。
子どもが公園で触ってしまいました。どうすればいいですか?
すぐに石けんで手を洗い、顔を触らないように声をかけてください。翌日以降に赤みが出たら、子どもは皮膚が薄く広がりやすいので、早めに受診をおすすめします。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A かぶれ(確認日: 2026-10-06)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-06)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

