「扁桃炎のあと、背中やお腹に小さな赤いブツブツがたくさん出てきた」「湿疹の薬を塗っているのに、数がどんどん増える」。滴状乾癬(てきじょうかんせん)は、こうした急な出方をするため、本人もご家族も驚いて受診されることが多い病気です。見た目のわりに、うつる病気ではありません。
滴状乾癬とは(仕組み)
乾癬は、免疫の働きが皮膚で過剰になり、皮膚の細胞が通常よりずっと速いペースで作られて、赤く盛り上がった斑と白いフケのような皮(鱗屑・りんせつ)ができる病気です。その中で、直径数mm〜1cmほどの小さな斑が全身に散らばって出るタイプを滴状乾癬と呼びます。
きっかけとしてよく知られているのが、溶連菌(ようれんきん)による喉の感染です。喉の感染に反応した免疫が、皮膚でも反応を起こすと考えられています。風邪や扁桃炎のあと1〜3週間ほどで出てくるのが典型的です。
- 子ども・10〜20代に多い
- 人にうつる病気ではない
- 喉の感染を繰り返すと、そのたびに出ることがある
症状・見分け方
胴体(背中・お腹・胸)や腕・太ももを中心に、水滴くらいの大きさの赤い斑が数十個から百個以上、短い期間に一度に出ます。表面に白っぽい薄い皮がのり、かゆみは軽いこともあれば強いこともあります。
| 考えられる原因 | 見た目 | 手がかり |
|---|---|---|
| 滴状乾癬 | 小さな赤い斑に白い皮。全身に散らばる | 喉の感染の1〜3週間後に急に出る |
| ジベル薔薇色粃糠疹 | 楕円形の淡い赤い斑。背中でクリスマスツリー状に並ぶ | 最初に大きめの斑が1つ出て、その後広がる |
| 湿疹 | ジクジク・カサカサの赤み、かゆみが強い | 斑のふちがはっきりしないことが多い |
| 薬疹 | 全身に赤いブツブツ | 新しい薬を飲み始めてから出た |
| 体部白癬(たむし) | リング状に広がる赤み。ふちが盛り上がる | 顕微鏡の検査でカビが見つかる |
見た目が似た病気が多いため、皮膚科では皮膚の表面をこすってカビの有無を確かめたり、必要に応じて血液検査や皮膚生検を行ったりして区別します。最近の喉の痛み・発熱があったかどうかは大切な情報なので、受診時に伝えてください。
治療・セルフケア
滴状乾癬は、数週間〜数か月で自然に落ち着くことも多いタイプです。そのうえで、症状を早く抑えるために次の治療を組み合わせます。
- 塗り薬: ステロイドやビタミンD3の塗り薬で、赤みと皮のむけを抑えます。数が多いと塗るのが大変なので、塗りやすい剤形を選びます
- 光線療法: 数が多く塗り切れない場合に、紫外線の特定の波長を当てる治療を行います。滴状乾癬はこの治療によく反応すると言われています
- 喉の感染の治療: 溶連菌の感染が残っている場合は、内科や耳鼻科で治療します。扁桃炎を何度も繰り返し、そのたびに乾癬が悪化する場合は、耳鼻科と相談することもあります
一部の方は、滴状乾癬のあと、ひじ・ひざ・頭皮などに厚い斑が残る慢性の乾癬(尋常性乾癬)に移っていきます。いったん落ち着いたあとも、同じ場所に斑が残る・再び出てくる場合は、早めに受診してください。乾癬は今では塗り薬・飲み薬・注射など治療の選択肢が多く、症状に合わせて治療を選べる病気です。
日常で気をつけること
- こすったり、かいたりした場所に新しい斑が出やすいので、体を洗うときはナイロンタオルを避け、泡でやさしく洗います
- 保湿剤で皮膚の乾燥を防ぐと、皮のむけやかゆみが軽くなります
- 風邪をひいたら早めに休み、喉の痛みが強いときは受診します
受診の目安
- 小さな赤いブツブツが短期間に体じゅうに増えた
- 湿疹の薬を塗っても増え続ける
- 喉の痛みや扁桃炎のあとに発疹が出た
- 一度落ち着いた斑が、ひじ・ひざ・頭皮に残っている
- 関節の痛みや腫れがある(乾癬に関節の症状を伴うことがあります)
診察室でよく聞かれる質問
学校や保育園を休む必要はありますか?
乾癬はうつらないので、発疹のために休む必要はありません。ただし、きっかけになった溶連菌の感染が治療中であれば、そちらの登園・登校の目安に従ってください。
一生治らないのですか?
滴状乾癬は、数か月以内に落ち着いてそのまま出なくなる方も多いタイプです。慢性の乾癬に移るかどうかは個人差があるため、経過を見ながら判断します。
温泉やプールは大丈夫ですか?
入ってかまいません。日光にほどよく当たると良くなる方もいますが、日焼けしすぎると悪化することがあるので気をつけてください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-06)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-06)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

