アトピー性皮膚炎の治療において、ステロイド外用薬は炎症を抑えるための基本的な塗り薬です。「強い薬」というイメージから、自己判断で薄く塗ったり、途中でやめてしまったりする方が少なくありませんが、日本皮膚科学会の一般向け情報では、怖がってきちんと塗らないと炎症を十分に抑えられず、かえって使用期間と使用量が増えてしまうと指摘されています。
大切なのは、(1) 皮疹の重症度に見合った強さの薬を選ぶこと、(2) FTU(フィンガーティップユニット)を目安に十分な量を塗ること、(3) やめ方・減らし方を自己判断しないこと、の3点です。本記事では、この「使い方」に絞って解説します。
ステロイド外用薬の役割
アトピー性皮膚炎では、皮膚に起きている炎症をきちんと抑えることが治療の中心になります。ステロイド外用薬は、その炎症を抑えるために使われる標準的な外用薬です。日本皮膚科学会の皮膚科Q&A(アトピー性皮膚炎)でも、外用療法の中心的な薬剤として位置づけられ、使い方に関するQ&Aが多数設けられています。
強さのランクと使い分け
ステロイド外用薬には強さのランク(クラス)があり、日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでも説明されているとおり、必要以上に強い薬を使わず、皮疹の重症度に見合った薬剤を選ぶことが基本です。同Q&Aでは、目安として次のような使い分けが示されています。
- 重症の皮疹: ベリーストロングないしストロングクラス
- 中等症の皮疹: ストロングないしミディアムクラス
- 軽症の皮疹: ミディアムクラス以下
- 軽微な皮疹: ステロイドを含まない外用薬
「強い薬ほど危険」「弱い薬なら安心」という単純な話ではなく、症状に合わない弱い薬を漫然と使い続けることも、炎症が長引く原因になりえます。どの部位にどの強さを使うか(例えば顔には強いランクを避けるなど)は皮膚の状態によって判断が変わるため、処方時の医師の指示に従ってください。
正しい塗り方——FTU(フィンガーティップユニット)という目安
「薄くすり込むように塗る」は、実はよくある誤解の一つです。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでは、塗る量の目安としてFTU(フィンガーティップユニット)が紹介されています。
- 1FTU = 大人の人差し指の先端から第1関節までチューブから押し出した量(約0.5g)
- この量で、成人の手のひら2枚分(体表面積の約2%)の範囲に塗るのが目安です
実際は軟膏チューブの口の大きさによって、1FTUで出てくる軟膏の量は変わってきます。1FTUで手のひら2枚分というのは主に25 g チューブの塗り薬にしかあてはまりません。5 g チューブや 10 g チューブは、25 g チューブに比べて小さいものがほとんどです。塗りたい範囲に1FTUで足りないときは追加で塗ってよいです。
なお、十分な量を塗ってもよくならない場合には、スキンケアや悪化因子への対策などが適切かを再検討する必要があります。「効かない」と感じたときは、自己判断で中止せず診察で相談してください。
プロアクティブ療法——「治まった後」の塗り方
アトピー性皮膚炎は、見た目がよくなった後に塗るのをやめると再燃を繰り返しやすい病気です。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでは、再燃を繰り返す皮疹に対する治療として「プロアクティブ療法」が紹介されています。これは、まずステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの抗炎症外用薬で速やかに皮膚の状態を良くしたうえで、保湿によるスキンケアを続けながら、抗炎症外用薬を定期的(週2回など)に塗って良い状態を維持する予防的な治療法です。
「治まったら急にやめる」のではなく、医師と相談しながら計画的に減らしていく——この考え方を知っておくと、治療を安定して続けやすくなります。やめるときの注意点も含め、自己判断での中断は避けてください。
副作用について——「ない」のではなく、正しく知って管理するもの
ステロイド外用薬の副作用は、ゼロではありません。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでは、局所の副作用として次のようなものが挙げられています。
- ステロイドざ瘡(ニキビのような発疹)
- ステロイド潮紅(赤ら顔)
- 皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)
- 多毛
- 細菌・真菌・ウイルスによる皮膚感染症
- アレルギー性接触皮膚炎
一方で、同Q&Aでは、ステロイドの「飲み薬」の全身的な副作用と「塗り薬」が混同されていること、塗るのを中止したときの症状の悪化が副作用と誤認されていることが、不安が広がった背景として指摘されています。副作用は「怖いから使わない」のではなく、医師が皮膚の状態を見ながら強さ・量・期間を調整することで管理していくものと考えてください。
「それでもステロイドが怖い」という方へ
不安を持つこと自体は自然なことです。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでも、どうしても怖い場合には、皮膚科を専門とする医師とよく話し合い、納得してから使うようにと案内されています。不安なまま自己流で減らしたり中断したりすることが、結果的に症状と薬の総量を増やしてしまうことにつながります。「怖いので減らしたい」という気持ちも含めて、診察の場で率直に相談することをおすすめします。
ステロイド以外の外用薬という選択肢
現在は、ステロイド以外の抗炎症外用薬(タクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏など)も使われており、日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでも使用量の上限や塗ってはいけない部位などのQ&Aが設けられています。部位や症状によってステロイドと使い分けたり、組み合わせたりすることがあるため、選択肢について知りたい方は診察時に確認してみてください。
よくある質問
Q1. 保湿剤と一緒に使ってもよいですか?
アトピー性皮膚炎の治療では、保湿によるスキンケアを続けながら抗炎症外用薬を使う方法が紹介されています。塗る順番や組み合わせ方は処方時の指示に従ってください。
Q2. 症状がよくなったら、すぐにやめてよいですか?
自己判断での急な中止はおすすめできません。再燃を防ぐために、週2回など間隔をあけて塗り続けるプロアクティブ療法という方法が紹介されており、減らし方・やめ方は医師と相談しながら進めるのが基本です。
Q3. 市販のステロイド外用薬で様子を見てもよいですか?
市販薬にもステロイドを含む外用薬はありますが、アトピー性皮膚炎の治療では、皮疹の重症度に見合った強さ・量・期間の調整が大切です。市販薬でしのいでいてもよくならない、繰り返すという場合は、自己流を続けずに皮膚科での診断と処方をご検討ください。
Q4. 子どもにステロイドを塗っても大丈夫ですか?
小児への使い方については、日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aにも専用の項目が設けられており、年齢や部位に応じた強さ・量の調整が必要です。処方された薬を指示どおりに使い、不安な点は処方医に確認してください。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「アトピー性皮膚炎」 – https://qa.dermatol.or.jp/qa1/index.html(2026年8月27日確認)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ステロイドの外用薬は副作用が恐いといわれていますが、どのように使えばよいのでしょうか?」 – https://qa.dermatol.or.jp/qa1/q08.html(2026年8月27日確認)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ステロイド外用薬はどのようにつければよいのでしょうか?」 – https://qa.dermatol.or.jp/qa1/q09.html(2026年8月27日確認)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「プロアクティブ療法とはどのような治療法ですか?」 – https://qa.dermatol.or.jp/qa1/q11.html(2026年8月27日確認)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「どうしてもステロイド外用薬をつけるのが怖いのですが?」 – https://qa.dermatol.or.jp/qa1/q14.html(2026年8月27日確認)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状の診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は皮膚科の受診をご検討ください。

