「肝斑にはレーザーがダメと聞いたのに、トーニングは良いと言われた」「何回通えばいいのか分からない」。レーザートーニングは名前がよく知られている一方で、どんなシミに向いていて、どんなリスクがあるのかが分かりにくい治療です。受ける前に知っておきたいことを整理します。
レーザートーニングとは(仕組み)
一般的なシミ取りレーザーは、強い出力をシミの部分だけに当て、メラニンを一気に壊してかさぶたにします。これに対してレーザートーニングは、出力を弱くして、顔全体に何度も重ねるように当てる方法です。皮膚に強い炎症を起こさない程度の刺激で、メラニンを少しずつ減らすことを狙います。
肝斑は、こすれや紫外線、女性ホルモンなどの刺激でメラニンを作る細胞が「過敏」になっている状態です。強いレーザーを当てると、その刺激でかえって濃くなることがあります。トーニングは刺激を抑えて当てるため、肝斑にも使われるようになりました。使われる機器はQスイッチヤグレーザーやピコ秒レーザーなどがあります。
向いているシミ・向いていないシミ
| シミの種類 | トーニングの位置づけ |
|---|---|
| 肝斑(頬骨あたりに左右対称に広がる薄茶色) | 内服・外用・刺激を避けるケアに加える選択肢 |
| くすみ・全体の色むら | 選択肢になる。効果の感じ方に個人差が大きい |
| 老人性色素斑(境界のはっきりした茶色いシミ) | トーニングだけでは取りきれないことが多い。スポット照射が中心 |
| そばかす | IPLやスポット照射が中心になることが多い |
| ADM(後天性真皮メラノサイトーシス) | 深い層の色素のため、別の照射方法を検討 |
| 炎症後色素沈着(ニキビ跡などの茶色) | 時間とともに薄くなることが多く、まずは紫外線対策と様子見 |
実際には、肝斑と老人性色素斑が同じ頬に混ざっていることがよくあります。どのシミが混ざっているかで治療の順番が変わるため、照射の前に診察で見分けることが大切です。
治療の流れと回数の考え方
トーニングは1回で大きく変わる治療ではありません。間隔をあけて複数回重ねるのが一般的で、5〜10回程度を一区切りとする医療機関が多いとされています。効果が出てきたあとも、こすれや紫外線などの刺激が続けば肝斑は戻りやすいため、日常のケアを続けることが前提です。
- 照射前: 日焼けを避ける。肝斑ではトラネキサム酸の内服を併用することが多い(市販薬にも肝斑の効能をもつものがあります)
- 照射当日: 軽い赤みやほてりが出ることがある。メイクは当日から可能なことが多い
- 照射後: 保湿と日焼け止め。洗顔やスキンケアでこすらない
※レーザートーニングは自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。
主なリスク
- 白斑(色が抜ける): 短い間隔で多くの回数を重ねたときに、まだらに白く色が抜けることが報告されています。戻りにくいことがあるため、回数と間隔は慎重に決めます
- 肝斑の悪化・リバウンド: 刺激が強すぎると、かえって濃くなることがあります
- 赤み・ほてり・乾燥: 多くは数時間〜数日でおさまります
- 効果が乏しい: シミの種類が合っていない場合や、体質によって変化が少ないことがあります
「何回でも当てれば薄くなる」わけではありません。変化が乏しいまま回数だけ増えている場合は、いったん止めて診断と治療方針を見直すことをおすすめします。
受診の目安・受ける前に確認したいこと
- 自分のシミが肝斑なのか、ほかのシミなのか診断を受けたか
- 内服・外用・紫外線対策といった基本の治療を試したか
- 回数・間隔・やめどきの説明があったか
- 白斑やリバウンドのリスクについて説明があったか
シミが急に大きくなった、盛り上がってきた、色がまだらで形がいびつ、出血するといった場合は、レーザーの前に皮膚の病気を除外する必要があります。まず皮膚科で診察を受けてください。
診察室でよく聞かれる質問
肝斑にレーザーは当ててはいけないのではないのですか?
強い出力のレーザーをそのまま当てると、肝斑は悪化しやすいとされています。トーニングは出力を抑えて刺激を少なくする方法なので、肝斑に使われることがあります。ただし、肝斑治療の中心はあくまで刺激を避けることと内服・外用です。
痛みはありますか?
輪ゴムで軽くはじかれるような感覚や、温かさを感じる程度のことが多く、麻酔なしで受ける方がほとんどです。
やめたら元に戻りますか?
こすれや紫外線などのきっかけが続くと、肝斑はまた濃くなることがあります。治療をやめたあとも、日焼け止めとこすらないスキンケアを続けることが、良い状態を保ついちばんの方法です。
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参考情報
- 日本美容外科学会(確認日: 2026-10-11)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-11)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

