「塗り直しが面倒なので、飲むタイプに替えたい」「子どもに飲ませてもいいか」——夏になると増える質問です。売られているものを否定したいわけではなく、何ができて何ができないかを分けておかないと、日焼けや将来のシミの面で損をするので整理します。
塗る日焼け止めとは、そもそも仕組みが違う
塗る日焼け止めは、皮膚の表面で紫外線を反射したり吸収したりして、肌に届く量そのものを減らします。物理的に間に立つので、塗った場所は守られ、塗り忘れた場所は守られません。効果の範囲がはっきりしているのが特徴です。
一方、飲むタイプの製品に含まれるのは、抗酸化作用を期待する植物由来の成分やビタミン類が中心です。紫外線が皮膚に届く量を減らすわけではなく、届いたあとに体の中で起こる反応に働きかけることを狙ったものです。
この違いは決定的です。入口を細くするのと、入ってきたものを処理するのとでは、役割がまったく違います。「SPF◯◯に相当する」という表し方は、塗るものを測るための指標なので、飲むものにそのまま当てはめることはできません。
| 塗る日焼け止め | 飲むタイプの製品 | |
|---|---|---|
| 仕組み | 皮膚の表面で紫外線をさえぎる | 体の中での反応に働きかけることを狙う |
| 区分 | 化粧品・医薬部外品 | 多くはサプリメント(食品) |
| 効果の測り方 | SPF・PAという指標がある | 同じ指標では表せない |
| カバーする範囲 | 塗ったところだけ | 全身(ただし遮る働きはない) |
| 弱点 | 塗り忘れ・塗り直しが必要 | 単独では日焼けを防げない |
皮膚科として順番をつけるなら
紫外線の対策は、効果の確実な順に積み上げるのが原則です。
- ①時間帯を避ける — 日ざしの強い時間の外出を減らす。いちばん確実で、費用もかかりません
- ②物理的に覆う — 帽子・長袖・日傘・サングラス。塗り直しが要らないという点で、実は塗るものより頼りになります
- ③塗る日焼け止めを使う — 量が足りないことが多いので、「多いかな」と思うくらいで適量です(関連記事: 日焼け止めの選び方)
- ④それでも足りない場面で、補助を検討する — 屋外の仕事、長時間のレジャー、塗り直しが難しい状況
①②③を飛ばして④だけをやるのは、順番が逆です。診察室では「飲んでいるから大丈夫だと思って、塗らずに海に行った」という日焼けを見ます(関連記事: 日焼けした後のケア)。飲むものに切り替えたことで対策が薄くなるなら、使わないほうがまだ安全という結果になります。
※美容目的で行う診療は自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。
使うときに確かめておきたいこと
- 食品か医薬品か — 多くはサプリメントです。食品である以上、病気の治療や予防をうたうことはできません
- 飲み合わせ — ほかの薬を飲んでいる方、持病のある方は、始める前に主治医か薬剤師に確認してください
- 妊娠中・授乳中 — 自己判断で始めず、相談してください
- 子どもに飲ませる — 年齢の対象が定められている製品があります。子どもの紫外線対策は、まず衣類・帽子・時間帯の工夫が中心です(関連記事: 子どもの紫外線対策)
- 光線過敏がある方 — わずかな日光でも発疹が出る方は、サプリメントより先に原因の診断が必要です(関連記事: 光線過敏症)
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 飲めば塗らなくていい? | いいえ。塗るものは続けてください | 紫外線が皮膚に届く量を減らす働きは、飲むものにはないためです |
| いつ飲めばいい? | 製品の表示に従ってください | 成分も想定している飲み方も製品ごとに違うためです |
| シミが薄くなる? | そうした効果を期待して使うものではありません | すでにあるシミへの治療は別に考える必要があります(関連記事: シミの種類) |
| 日焼け後に飲んでも意味がある? | 日焼けしたあとの対応は、冷やすことと保湿が先です | ひりつく段階はやけどと同じ扱いになるためです |
| 副作用はない? | 「ない」とは言えません | 食品でも体質に合わないことはあり、発疹や胃腸の不調が出たら中止して相談してください |
受診の目安
- 早めに受診 — 日焼けで水ぶくれができた、広い範囲がひりついて眠れない
- 受診を — 少しの日光で毎回発疹が出る(光線過敏症の可能性があります)
- 受診を — サプリメントを始めてから発疹・かゆみ・体調の変化が出た
- 受診を — シミが急に濃くなった、形が変わった、盛り上がってきた
- 相談を — 持病があり、飲み合わせが心配なとき(主治医・薬剤師へ)
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-15)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-15)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

