「もう手遅れですか」と聞かれることがあります。手遅れではありません。その根拠は、ご自身の体にあります。いつも服で覆われている二の腕の内側やお腹の皮膚と、顔・首・手の甲の皮膚を見比べてみてください。年齢は同じはずなのに、質感がまったく違います。この差が、紫外線がしてきたことです。裏を返せば、紫外線を減らせば、その分だけ進み方が変わるということでもあります。
光老化とは — 日焼けは「皮膚の奥」に蓄積する
紫外線には波長の違うものがあり、皮膚への届き方が違います。
- UVB — 皮膚の浅いところで作用します。赤くヒリヒリする日焼け(サンバーン)とシミの原因です。夏の日中に強くなります
- UVA — 皮膚の奥(真皮)まで届きます。肌を支えるコラーゲンなどの繊維を傷めて、深いしわ・たるみ・ごわつきをつくります。窓ガラスを通過し、曇りの日にも降り、一年中量があまり変わりません
「痛くならないから大丈夫」が通用しないのはここです。ヒリヒリする日焼けはUVBによるもので、しわやたるみをつくるUVAは痛みを起こしません。自覚のないまま、通勤・洗濯物干し・運転で毎日積み重なっていきます。
傷んだ繊維は完全には元に戻らず、修復のたびに少しずつ質が変わっていきます。これが年月をかけて、皮膚が厚くごわつき、深いしわが刻まれ、シミが増える状態につながります。
自然な加齢と光老化は見た目が違う
| 自然な加齢による変化 | 光老化による変化 | |
|---|---|---|
| 出る場所 | 全身どこでも同じように | 顔・首の後ろ・手の甲・前腕など、日の当たる場所に偏る |
| 皮膚の厚み | 薄く、なめらかになる | 厚くごわつき、キメが粗くなる |
| しわ | 細かい浅いしわ | 深く刻まれた太いしわ |
| 色 | 全体的に薄くなる | シミ・くすみ・まだらな色むらが出る |
| そのほか | — | 毛穴が開く、細い赤い血管が浮く、ザラついたできものが増える |
最後の行は皮膚科として重要です。長年紫外線を浴びた場所には、日光角化症というザラザラしたシミのようなできものが出ることがあります(関連記事: 日光角化症)。これは治療の対象になるものなので、「シミが増えた」の中に混ざっていないかを診察で確かめます。細い赤い血管が浮いてくるのも同じ背景です(関連記事: 顔の細い赤い血管)。
今日からできること
対策の柱は3つで、順番も決まっています。
- ①日焼け止めを一年中、毎日 — 最も効果が確かめられている方法です。曇りでも、冬でも、室内で窓際にいても塗ってください。UVAは季節でも天気でもあまり減らないためです。塗る量が足りない人が非常に多く、顔全体ならクリームで真珠2粒分、朝と昼過ぎの2回が目安です(関連記事: 日焼け止めの選び方)
- ②物理的に遮る — つばの広い帽子、日傘、長袖。塗り忘れ・塗りムラの影響を受けないのが強みです
- ③保湿を続ける — 乾いた皮膚はバリアが弱く、外からの刺激で炎症を起こしやすくなります。炎症は色素沈着の引き金になります
すでにある変化に対しては、シミ・しわそれぞれの治療の選択肢があります(関連記事: シミ治療の比較 / しわ治療の基礎知識)。市販のレチノール配合化粧品を使う場合は、刺激が出やすいため使い方に注意してください(関連記事: レチノール)。そして何を行うにしても、日焼け対策が土台になります。治療で薄くしても、紫外線を浴び続ければ同じ場所に戻ってくるためです。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 何歳から始めれば意味がある? | 何歳からでも意味があります | これから浴びる分を減らすことで、進む速さが変わるためです |
| 子どものうちの日焼けは関係ある? | 大きく関係します | 生涯に浴びる紫外線のかなりの割合を子ども時代に浴びるためです(関連記事: 子どもの紫外線対策) |
| 車の運転中も焼ける? | 焼けます | 波長の長い紫外線は窓ガラスを通過するためです。右手・右頬に差が出る方がいます |
| 日焼け止めだけでビタミンD不足にならない? | 日常生活の範囲では、過度に心配しなくて構いません | 手のひらなど普段覆われない部分から得られるほか、食事からも摂れるためです |
| 日焼けサロンや日焼けマシンは? | おすすめしません | 皮膚の老化と皮膚がんの危険を高めることが知られているためです |
受診の目安
- 受診を — 顔や手の甲に、ザラザラして赤みのあるシミが出てきた(日光角化症の可能性があります)
- 早めに受診を — シミの一部だけが盛り上がる、出血する、色がまだらになった
- 受診を — 日焼け止めを塗ると赤くなる・かゆくなる(かぶれや光線過敏症の可能性があります)
- 受診を — 少しの日光で赤くなる、発疹が出る(関連記事: 光線過敏症)
- 受診を — シミやしわの治療を検討したいが、種類が分からない
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-18)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「皮膚悪性腫瘍」(確認日: 2026-09-18)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

