「まぶたに米つぶのようなしこりがある」「ものもらいだと思って目薬をさしていたけど、しこりだけが残った」。まぶたのしこりで相談の多い代表が霰粒腫です。ものもらい(麦粒腫)と似ていますが、原因も経過も違います。違いを知っておくと、あわてずに済みます。
霰粒腫とは(仕組み)
まぶたの縁には、マイボーム腺(せん)という、涙が蒸発しないように油を出す小さな腺が並んでいます。この腺の出口が詰まると、出られなくなった脂がまぶたの中にたまり、そのまわりに体の反応で「肉芽(にくげ)」という固まりができます。これが霰粒腫です。
ものもらい(麦粒腫)が細菌の感染で起きるのに対して、霰粒腫は基本的には感染ではなく「詰まり」です。そのため、抗菌薬の目薬だけでは、しこりそのものは消えにくいのです。
子どもから大人まで起こり、まぶたの油が多い方、アイメイクをよくする方、マイボーム腺の機能が落ちている方はくり返しやすい傾向があります。
症状と見分け方: ものもらいとの違い
典型的な霰粒腫は、痛みのない、まぶたの中のコロコロしたしこりです。上まぶたにも下まぶたにもでき、大きさは数ミリ〜1cm程度。ただし、中に細菌が入って炎症を起こすと、赤く腫れて痛む「急性霰粒腫」になり、ものもらいと見分けにくくなります。
| 項目 | 霰粒腫 | ものもらい(麦粒腫) |
|---|---|---|
| 原因 | 油の出口が詰まる(感染ではない) | 細菌の感染 |
| 痛み | ないことが多い(炎症を起こすと痛む) | ある。まばたきで痛む |
| 見た目 | 皮膚の下にころっとしたしこり | 赤く腫れ、先端に膿(うみ)が見えることも |
| 経過 | 数週間〜数か月かけてゆっくり小さくなる | 数日〜1週間ほどで膿が出て治ることが多い |
| くり返すと | 同じ場所なら別の病気との見分けが必要 | 体調・目元の清潔と関係 |
まぶたのできものには、ほかにも黄色く平たい「眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)」や、白い小さな粒の「稗粒腫(はいりゅうしゅ)」などがあります。しこりが皮膚の表面にあるのか、まぶたの中にあるのかが見分けの手がかりになります。
治療・セルフケア
小さく痛みのない霰粒腫は、まず様子を見るのが基本です。多くは時間とともに脂が吸収されて小さくなります。そのあいだ、次のことを心がけてください。
- 温める — 清潔なタオルを蒸してまぶたに当てる(熱すぎない温度で数分)。固まった脂がゆるみ、流れ出やすくなるためです
- まぶたの縁を清潔に — アイメイクは丁寧に落とす。油の出口が化粧品でふさがれるのを防ぐためです
- 自分で押し出さない・針で刺さない — 細菌が入って炎症が広がったり、まぶたに傷あとが残ったりするためです
しこりが大きくて見た目が気になる、視界にかかる、なかなか小さくならない場合は、眼科で、しこりにステロイドを注射する方法や、まぶたの裏側(または表側)から小さく切開して中身を取り出す方法が選ばれます。赤く腫れて痛む急性期には、まず抗菌薬の目薬・飲み薬で炎症を抑えます。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 人にうつりますか? | うつりません | 霰粒腫は細菌の感染ではなく、油の出口の詰まりで起きるためです |
| コンタクトレンズは使っていいですか? | 痛みや赤みがなければ、多くは使えます | ただし炎症を起こしているときは目に負担がかかるので、治まるまでメガネにするのが無難です |
| アイメイクはしていいですか? | しこりの部分は控えめにしてください | 化粧品が油の出口をさらにふさぎ、治りを遅らせることがあるためです |
| ものもらいの市販の目薬で治りますか? | しこり自体は小さくなりにくいです | 市販の目薬の多くは細菌に対するもので、たまった脂には効きにくいためです |
受診の目安
- 受診を — 1〜2か月たっても小さくならない、見た目や視界が気になる
- 早めの受診を — 赤く腫れて痛む、まぶた全体が腫れてきた
- 早めの受診を — 中高年で、同じ場所に何度もできる・形がいびつ・まつ毛が抜けてきた(まれにまぶたの悪性腫瘍が霰粒腫に似ることがあり、切除して病理検査で確かめることがあります)
- すぐ受診を — 目の奥が痛い、見え方がおかしい、熱が出て顔まで腫れてきた(夜間で迷うときは #7119)
まぶたの中のしこりの治療は、基本的には眼科が中心です。まぶたの皮膚の表面のできもの(ほくろ・黄色腫・稗粒腫など)は皮膚科でも診察します。あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本眼科医会 目の健康情報(確認日: 2026-09-24)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(確認日: 2026-09-24)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

