「まぶたが赤く腫れぼったいのが何週間も続いている」「指の関節の上だけが赤くてガサガサする」「最近、階段や髪を洗うのがつらい」。こうした症状は、ひとつずつ見ると湿疹やかぶれと間違われやすいものです。皮膚筋炎は、皮膚の特徴的なサインから見つかることの多い病気です。
皮膚筋炎とは(仕組み)
皮膚筋炎は、体を守るはずの免疫の働きが、自分の皮膚や筋肉を攻撃してしまう膠原病(こうげんびょう)のひとつです。皮膚に特徴的な発疹が出ることと、筋肉に炎症が起きて力が入りにくくなることが主な症状です。
ただし、すべての方に筋肉の症状が出るわけではありません。皮膚の症状だけが目立ち、筋肉の症状がほとんどないタイプもあります。また、次の2点が、この病気で特に注意が必要な理由です。
- 肺の病気(間質性肺炎)を伴うことがある: 一部のタイプでは、短い期間で肺の状態が悪くなることがあります
- 大人では、体の中のがんが隠れていることがある: そのため、診断がついたら全身の検査を行います
症状・見分け方
皮膚筋炎の発疹は、出る場所に特徴があります。
| 皮膚のサイン | 見た目 | 間違われやすいもの |
|---|---|---|
| まぶたの赤紫の腫れ(ヘリオトロープ疹) | 上まぶたが赤紫色に腫れぼったくなる。かゆみは少ないことも多い | まぶたのかぶれ、アレルギー |
| 指の関節の上の赤み(ゴットロン徴候) | 手の指の関節やひじ・ひざの外側が赤く、ガサガサ盛り上がる | 手湿疹、乾癬 |
| 首・胸元・背中上部の赤み | Vネックや肩かけの形に赤くなる。日光で悪化しやすい | 日焼け、湿疹 |
| 爪の根元の赤み | 爪のきわが赤く、ささくれや痛みを伴うことがある | ささくれ、爪囲炎 |
| 手のひら・指の腹の赤いブツブツ | 指の腹や手のひらのしわに沿って赤く、押すと痛む | しもやけ |
皮膚以外では、次のような症状に注意します。
- 太もも・二の腕など体に近い筋肉に力が入りにくい(階段を上がる、立ち上がる、髪を洗う、腕を上げるのがつらい)
- 空せき、少し動いただけでの息切れ
- だるさ、微熱、体重の減少
- 食べ物や飲み物が飲み込みにくい
湿疹の薬を塗ってもまぶたや指の赤みが良くならない場合は、こうした症状がないか振り返ってみてください。
検査と治療
皮膚科では、発疹の見た目を確認したうえで、血液検査(筋肉が壊れているときに増える値や、皮膚筋炎に関係する自己抗体を調べます)、必要に応じて皮膚の一部を取って調べる検査(皮膚生検)を行います。肺の状態を確かめるためのレントゲンやCT、がんが隠れていないかを調べる全身の検査も行います。
治療は、免疫の働きを抑えることが中心です。ステロイドの飲み薬を基本に、免疫を抑える薬などを組み合わせます。肺や筋肉の症状がある場合は、膠原病内科・呼吸器内科と連携して治療を進めます。皮膚の症状には塗り薬を使い、日光で悪化しやすいため、日焼け止めや衣類での紫外線対策も治療の一部になります。
受診の目安
- まぶたの赤紫の腫れや、指の関節の上の赤みが2週間以上続いている
- 湿疹の薬を塗っても良くならない
- 発疹に加えて、力が入りにくい・息切れ・せきがある
息苦しさが強い、急に息切れが悪化した、飲み込めないといった場合は、その日のうちに医療機関を受診してください。迷うときは救急安心センター(#7119)に相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
まぶたが腫れているだけでも受診したほうがいいですか?
まぶたの腫れの多くは、かぶれやアレルギーなど身近な原因によるものです。ただ、2週間以上続く、色が赤紫っぽい、指や胸元にも赤みがある、という場合は、一度皮膚科で相談してください。原因を見分けることが、適切な治療への近道です。
がんの検査をすると聞いて不安です。
皮膚筋炎と診断されると、念のため体の中を調べるのが一般的な流れです。検査をするのは、隠れている病気を早く見つけて一緒に治療を考えるためで、検査をすることが「がんがある」という意味ではありません。
日常生活で気をつけることはありますか?
日光は皮膚の症状を悪化させることがあるため、季節を問わず日焼け止めを使い、帽子や長袖で紫外線を避けてください。治療中は感染症にかかりやすくなる薬を使うこともあるので、発熱やせきが出たら早めに主治医へ連絡してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-05)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-05)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

