高齢の家族の皮膚トラブル|かゆみ・内出血・皮膚の裂け・床ずれを防ぐ毎日のケアと、受診の目安

高齢の家族の皮膚トラブル|かゆみ・内出血・皮膚の裂け・床ずれを防ぐ毎日のケアと、受診の目安
DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
更新日: 2026年10月4日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

「父が夜中にすねをかきむしっている」「母の腕に、ぶつけた覚えのない紫のあざがよくできる」「車いすに移るとき、腕の皮膚がペロッとめくれてしまった」。年齢を重ねた皮膚は、若いころと同じケアでは守りきれなくなります。ご本人は「年だから」と言って相談しないことも多いため、ご家族が気づいてあげることが大切です。

目次

年齢とともに皮膚が変わる仕組み

年齢を重ねると、皮膚の表面で水分を抱える成分と皮脂が減り、バリア(外からの刺激を防ぎ、内側の水分を逃がさない働き)が弱くなります。さらに皮膚そのものが薄くなり、皮膚を支える弾力も落ちて、血管ももろくなります。その結果、次のような変化が起きやすくなります。

  • 乾燥してかゆくなり、かくと湿疹になる
  • 軽くこすれただけで皮膚が裂ける
  • 軽くぶつけただけで内出血する
  • 同じ姿勢が続くと、圧迫された場所の血流が途絶えて傷になる

よくある皮膚トラブルと見分け方

トラブル よく出る場所 見た目・様子
乾燥によるかゆみ・湿疹(皮脂欠乏性湿疹) すね・腰・背中 白く粉をふき、ひび割れのような線。冬や入浴後にかゆい
老人性紫斑(内出血) 手の甲・前腕 ぶつけた覚えのない紫色のあざ。痛みはない
スキン-テア(皮膚の裂け) 前腕・すね テープをはがす・移乗介助などで皮膚がめくれる
褥瘡(床ずれ) お尻(仙骨部)・かかと・腰の骨の出たところ 押しても消えない赤み、皮むけ、ただれ
おむつかぶれ・カンジダ 陰部・お尻 赤くただれる。周りに小さな赤いブツブツが飛ぶとカンジダのことも
疥癬(ダニの一種の感染) 手指の間・手首・陰部・体幹 夜に強いかゆみ。家族や同じ施設の人にも広がる
水虫・爪水虫 足の指の間・足の爪 皮むけ・爪が白く厚くなる

毎日のケア

洗い方

お湯は38〜40度くらいのぬるめにして、ナイロンタオルでこするのはやめましょう。熱いお湯と強い摩擦は、残り少ない皮脂を落として乾燥とかゆみを強めるためです。石けんは泡立てて手でなでるように洗い、すねや腕など汗をかきにくい場所は毎日石けんを使わなくてもかまいません。

保湿

入浴後、タオルで押さえるように拭いて、できれば5分以内に保湿剤を塗ります。皮膚にまだ水分が残っているうちにふたをするためです。すり込まず、手のひらでやさしくのせるように広げてください。皮膚の弱い方は、すり込む摩擦だけでも皮膚が傷むことがあります。

傷を防ぐ工夫

  • 爪は短く整え、かきこわしを防ぐ
  • 腕や足を持つときはつかまず、下から支えるように持つ(つかむ力で皮膚が裂けることがあるため)
  • ベッド柵や車いすのひじ掛けにカバーをつける。長袖・長ズボンで皮膚を守る
  • テープを使うときは、はがす方向に皮膚を押さえながら、ゆっくりはがす
  • 寝たきりの方は、同じ場所に体重がかかり続けないよう、こまめに姿勢を変える

受診の目安

  • 保湿を2週間ほど続けてもかゆみが治まらない、夜眠れていない
  • ご本人と一緒に暮らす家族、同じ施設の方にもかゆみが出ている
  • 押しても消えない赤みがお尻やかかとにある(床ずれの始まりのことがあります)
  • 皮膚が裂けた・ただれた場所が、1〜2週間たっても治らない
  • 傷の周りが赤く腫れて熱をもつ、熱が出た

全身のかゆみが続く場合は、皮膚の乾燥だけでなく、腎臓・肝臓の病気や薬の影響が隠れていることもあります。飲んでいる薬が分かるお薬手帳を持って受診してください。

診察室でよく聞かれる質問

皮膚が裂けてしまったときは、どう手当てすればいいですか?

まず水道水で汚れを洗い流し、めくれた皮膚がつながっていれば、濡らした綿棒などでそっと元の位置に戻してください。戻した皮膚がそのまま傷のふたになり、治りが早くなるためです。その上から、傷にくっつきにくいガーゼや医療用の被覆材で覆います。普通の絆創膏の粘着部分は、はがすときに新しい傷を作ることがあるので避けましょう。

保湿剤はどれを選べばいいですか?

皮膚科ではヘパリン類似物質やワセリンなどを処方することが多く、市販でも同じ成分のものが選べます。冬は伸びのよいクリームより、乾燥を防ぐ力が強い軟膏やしっかりしたクリームが向いています。介護する側が塗りやすいものを選ぶことも、続けるうえでは大切です。

紫のあざがよくできるのは、血液の病気ではないですか?

手の甲や前腕にだけ出て、痛みがなく、数週間で消えていくものは、多くが年齢による血管のもろさによるものです。ただ、すねや体にも細かい点状の出血が出る、歯ぐきや鼻から出血しやすい、という場合は血液の検査が必要なので受診してください。

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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