「お腹のしわの間が赤くただれてくる」「太ももの付け根がいつもヒリヒリする」「赤ちゃんの首のくびれが真っ赤」——年齢も体型も違う方から、同じ相談を受けます。共通しているのは、皮膚と皮膚が重なって、汗が逃げられない場所だという点です。
なぜ重なった場所は赤くなるのか
原因は3つが重なって起こります。
- 汗がたまる — 皮膚が重なっていると汗が蒸発できず、皮膚の表面がずっと濡れた状態になります
- 皮膚がふやける — 濡れ続けた皮膚は、水を吸ってやわらかくなり、もろくなります。爪を長くお湯につけたあとの、あの状態が皮膚で起きていると考えてください
- こすれる — もろくなった皮膚どうしが動くたびにこすれ、表面が削れて赤くただれます
つまり、間擦疹は「汗をかいたから」ではなく「汗が乾かないまま、こすれ続けたから」起こります。対処が「乾かす・こすらない」の2つになるのは、このためです。あせもは汗の出口が詰まって起こる別の病気ですが、汗がこもる場所という点では重なります(関連記事: あせも)。
起こりやすい場所と人
| 場所 | とくに多い方 | ひとこと |
|---|---|---|
| 首のくびれ・わきの下・ももの付け根 | 赤ちゃん | ミルクや汗がたまりやすい場所です。くびれを広げて洗えているかが分かれ目になります |
| おなかのしわ・乳房の下 | 体型がふくよかな方、授乳中の方 | 下着の当たる位置と重なると、治りにくくなります |
| 股・おしりの割れ目 | おむつを使う方、長時間座る方 | おむつの中は湿度が高く、尿や便の刺激も加わります(関連記事: おむつかぶれ) |
| 足の指の間 | 革靴・長靴を履く方 | この場所は白癬(水虫)との区別がとくに必要です(関連記事: 水虫) |
| 装具・サポーターの下 | ひざ・腰の装具を使う方 | 毎日同じ場所が擦れるため、慢性化しやすい場所です |
また、糖尿病のある方は、間擦部のトラブルが長引きやすく、カビの感染も加わりやすいことが知られています。心当たりがあれば、その情報も診察のときに伝えてください(関連記事: 糖尿病と皮膚のケア)。
単純な擦れか、カビが加わっているか
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。見た目はよく似ていますが、治療が逆になります。
| 擦れだけの間擦疹 | カンジダが加わったもの | 白癬(いんきんたむし) | |
|---|---|---|---|
| 赤みの形 | こすれている面と同じ形に、べたっと赤い | 赤みのふちの外側に、小さなブツブツや皮むけが散る | 輪のように広がり、ふちが盛り上がって中心は薄い |
| 場所 | 触れ合う面そのもの | いちばん奥のくびれ、しわの底が強い | ももの内側へ扇形に広がる |
| かゆみ | ヒリヒリ感のほうが強い | かゆみと痛みの両方 | かゆみが強い |
| ステロイドを塗ると | よくなります | 一時的に赤みが薄れ、その後広がります | 輪郭がぼやけ、範囲が広がります |
ステロイドは炎症を抑える薬で、炎症を抑えるということは、カビを追い出そうとしている免疫の働きも抑えるということです。だから、カビが原因の発疹にステロイドだけを塗ると、最初の数日は赤みが引いて「効いた」と感じ、そのあとで広がります。市販薬で一度よくなったのに、やめたら前より広がった——という経過は、この可能性を強く疑わせます。
見分けは、顕微鏡で皮膚の表面をわずかに採って調べれば、その日のうちにつくことがほとんどです(関連記事: 皮膚の真菌検査)。自己判断で塗り分けるより、一度調べてしまうほうが早く治ります。
家でできること
- 洗ったあとは、しっかり乾かす — タオルでこすらず、押さえるようにして水分を取ってください。くびれは指で広げて、奥まで乾かします。ドライヤーの冷風を当てるのも有効です
- 触れ合う面を離す — 乳房の下や腹部のしわには、やわらかい布やガーゼを挟むと、こすれと湿りの両方を減らせます
- 下着は吸湿性のよいものに — 汗を持ったまま張りつく素材は不利です。日中に着替えられるなら、それがいちばん効きます
- ワセリンなどで保護する — 皮膚どうしの摩擦を減らし、尿や汗が直接あたるのを防げます。ただしじくじくが強いときは、かえって蒸れることがあります
- ベビーパウダーは、じくじくしているときには使わない — 汗と混ざって固まり、それ自体が刺激物になることがあるためです。乾いた予防目的なら、薄くつける範囲で構いません
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 市販薬はどれを買えばいい? | 見分けがつかないうちは、買わずに受診してください | ステロイドと抗真菌薬は治療の方向が逆で、選び間違えると悪化するためです |
| お風呂で洗いすぎるとよくない? | ゴシゴシ洗うのは逆効果です | すでに表面が削れているところを、さらに削ることになるためです。石けんを泡立てて、手でなでる程度にしてください |
| 汗をかかなければ治る? | 汗を止める必要はありません | 問題は汗そのものではなく、乾かないことだからです。汗をかいたあとに拭いて乾かせれば、それで十分です |
| においが気になります | ふやけた皮膚で菌が増えていることが多く、治療とともに落ち着きます | においの元は、湿った環境で増えた細菌が作る物質だからです |
| 赤ちゃんでも薬を塗って大丈夫? | 部位と月齢に合った薬なら使えます | 皮膚の薄い場所なので、強さの選び方が変わります。自己判断で大人の薬を流用しないでください |
| くり返すのですが | 体型・装具・おむつなど、擦れる条件が続いていないかを見直します | 薬で治しても、条件が変わらなければ同じ場所に戻ってくるためです |
受診の目安
- 受診を — 乾かす工夫を1〜2週間続けても治らない
- 受診を — 赤みのふちに小さなブツブツが散っている、輪のように広がっている
- 受診を — 市販薬でいったんよくなり、やめたら前より広がった
- 早めに受診を — じくじくして汁が出る、皮がむけてただれている、痛くて歩きにくい
- 早めに受診を — 糖尿病の治療を受けている方で、間擦部のただれが出た
- 早めに受診を — 赤ちゃんで、機嫌が悪くおむつ替えのたびに泣く
- すぐに受診を — 赤みが急速に広がる、熱を持って腫れる、発熱がある(皮膚の下に感染が広がっている可能性があります。判断に迷うときは#7119)
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「白癬」(確認日: 2026-09-18)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-18)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

