「鏡を見たら、下唇に黒い点ができていた」「前からあった唇のシミが、少し大きくなった気がする」「押すと色が薄くなる、紫っぽいふくらみがある」。唇は毎日目にする場所なので、小さな変化にも気づきやすく、不安になりやすい場所です。唇にできる色の変化には、いくつかの決まったタイプがあります。
唇の黒いシミ・点とは(なぜできるのか)
唇の皮膚はとても薄く、皮膚の色をつくる「メラニン」や、すぐ下を流れる血管の色が透けて見えやすい場所です。そのため、メラニンが増えたものと、血管が広がったものの両方が、黒っぽい点やシミとして見えます。
- 唇の色素斑(口唇メラノーシス) — メラニンが唇の一部に増えた、平らな茶色〜黒のシミ。下唇に多く、大人になってから気づかれることが多いです
- ほくろ — 母斑細胞という細胞が集まったもの。平らなものも、少し盛り上がったものもあります(関連記事: ほくろとシミの違い)
- 静脈湖 — 細い静脈が広がって、血がたまったもの。青紫色のやわらかいふくらみで、押すと色が薄くなるのが特徴です。中高年に多く、紫外線の影響が考えられています(関連記事: 静脈湖)
- 薬によるもの — 同じ薬を飲むたびに、唇など同じ場所に赤〜黒っぽい跡ができる「固定薬疹」があります(関連記事: 固定薬疹)
唇や口の中、指先に小さな色素斑がたくさんある場合は、まれに体の病気(腸のポリープを伴う体質など)のサインのことがあります。子どものころからいくつもある場合は、一度相談してください。
症状と見分け方
| 考えられるもの | 見た目 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 唇の色素斑 | 平らな茶色〜黒のシミ。ふちは比較的なめらか | ゆっくり、または変わらない。盛り上がらない |
| ほくろ | 黒〜茶色の点。平ら〜少し盛り上がる | 形と色が均一。大きさは長く変わらないことが多い |
| 静脈湖 | 青紫〜黒っぽいやわらかいふくらみ | 押すと色が薄くなる。ぶつけると出血しやすい |
| 固定薬疹 | 赤〜紫褐色の丸いシミ | 特定の薬を飲むたびに、同じ場所がヒリヒリ赤くなる |
| メラノーマ(まれ) | 形がいびつ、色にむら、ふちがギザギザ | 数か月で広がる・形が変わる・出血する |
皮膚科では、ダーモスコピーという拡大鏡で、色素の並び方や血管の様子を詳しく見て見分けます。痛みはありません(関連記事: ダーモスコピー検査)。判断が難しいときは、一部を取って顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)を行うこともあります。
治療と自分でできること
良性とわかれば、治療をしなくても体への害はありません。見た目が気になる場合に、取る方法を相談します。
- 唇の色素斑 — 見た目が気になる場合、レーザー治療が選ばれることがあります。自由診療になることが多いです
- ほくろ — 切り取る、削る、レーザーなどの方法があります。唇は形が目立つ場所のため、傷あとの残り方も含めて相談します(関連記事: ほくろ除去の方法)
- 静脈湖 — 出血をくり返す、見た目が気になる場合は、レーザーや切除などで治療します
- 固定薬疹 — 原因の薬をやめることが基本です。お薬手帳を持って相談してください
※見た目の改善を目的としたレーザー治療などは自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。
毎日のケアとしては、UVカット効果のあるリップクリームで唇の紫外線対策をすることが大切です。唇は日焼けしやすいのに、日焼け止めを塗り忘れやすい場所だからです(関連記事: 唇の荒れ・かぶれ)。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 唇のほくろは、がんになりやすいですか? | 唇だからといって、特にがんになりやすいわけではありません | ただし、見えにくい口の中や唇の内側の色の変化は気づくのが遅れやすいため、変化があれば早めに相談してください |
| コンシーラーで隠しても大丈夫ですか? | 隠すこと自体は問題ありません | ただし、隠していると変化に気づきにくくなるため、ときどき素の状態で確認してください |
| 自分で取ってもいいですか? | やめてください | 出血や感染、傷あとの原因になるうえ、良性かどうかを確かめる機会を失うためです |
受診の目安
- 早めの受診を — 数か月で広がった、形がいびつになった、色にむらがある、出血する・じくじくする
- 受診を — 新しくできた唇の黒い点が気になる、良性か確かめたい
- 受診を — 唇・口の中・指先に、小さな色素斑がいくつもある
- 受診を — 薬を飲むたびに、同じ場所が赤く・黒っぽくなる
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ホクロ(確認日: 2026-09-27)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A メラノーマ(確認日: 2026-09-27)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

