「湿疹と言われて薬を塗っているけれど、何年も同じ場所に赤い斑がある」「塗ると薄くなるのに、やめるとまた出てくる」「かゆみはそれほどないのに、斑の形がはっきりしている」。こうした場合、皮膚科では、湿疹のほかに皮膚のリンパ腫も考えて検査をすることがあります。
「リンパ腫」と聞くと驚くかもしれませんが、菌状息肉症の多くは早い段階で見つかり、長い年月、早い段階のまま経過することが知られています。正しく診断して、適切に治療と経過観察を続けることが大切です。
菌状息肉症とは(仕組み)
血液の中の白血球のひとつに、体を守る役目をもつリンパ球があります。菌状息肉症は、そのうちの「T細胞」というリンパ球が、皮膚の中で増えてしまう病気です。皮膚にできるリンパ腫(皮膚リンパ腫)の中では、最も多いタイプです。
名前に「菌」とつきますが、カビや細菌による病気ではなく、人にうつることもありません。昔、進行したときの見た目がキノコ(菌)に似ていると表現されたことから、この名前がついています。
中高年に多く、ゆっくりと次のような段階をたどることがあります。
| 段階 | 皮膚の様子 |
|---|---|
| 紅斑期(こうはんき) | 平らで少しかさついた赤い斑。湿疹や乾癬に似ている。多くの方がこの段階で見つかる |
| 局面期(きょくめんき) | 斑が少し厚くなり、盛り上がってくる |
| 腫瘤期(しゅりゅうき) | しこりやこぶのような盛り上がりができる |
すべての方が次の段階に進むわけではなく、紅斑期のまま長く経過する方も多くいます。
症状と湿疹との見分け方
- おしり・腰・太ももの付け根・おなか・わき腹など、服に隠れて日が当たりにくい場所に出やすい
- 赤〜赤茶色の斑で、表面がうっすらかさつく。斑のふちが比較的はっきりしている
- 皮膚が薄くしわっぽく見えたり、色むらが出たりすることがある
- かゆみは、ないこともあれば強いこともある
- ステロイドを塗ると薄くなるが、やめると同じ場所にまた出てくる
| 考えられるもの | 特徴 |
|---|---|
| 菌状息肉症 | 日の当たりにくい場所に、何か月〜何年も続く赤い斑。治療で良くなってもくり返す |
| 湿疹・貨幣状湿疹 | かゆみが強く、じくじくすることがある。治療でしっかり治ることが多い(関連記事: 湿疹とは/貨幣状湿疹) |
| 乾癬 | 厚い銀白色のかさぶたのような鱗屑(りんせつ)がつく。ひじ・ひざ・頭に多い(関連記事: 乾癬) |
| 体部白癬(たむし) | ふちが赤く盛り上がり、輪のように広がる。顕微鏡でカビが見つかる(関連記事: たむし) |
診断と治療
診断には、皮膚の一部を取って顕微鏡で調べる「皮膚生検」が欠かせません。見た目だけでは湿疹や乾癬との区別が難しいためです。早い段階では、1回の検査ではっきりしないこともあり、経過を見ながら検査をくり返すことがあります(関連記事: 皮膚生検)。
診断がついたら、血液検査や画像検査で広がりを確認し、段階に合わせて治療を選びます。早い段階では、皮膚に対する治療が中心になります。
| 治療 | 内容 |
|---|---|
| ステロイドの塗り薬 | 赤い斑を抑える。早い段階の基本の治療 |
| 紫外線療法 | 特定の波長の紫外線を当てて、皮膚の中の異常なリンパ球を減らす。週に数回の通院が必要(関連記事: 紫外線療法) |
| そのほかの治療 | 段階が進んだ場合は、飲み薬・注射薬・放射線治療などを、専門の医療機関で組み合わせる |
段階が進んでいる、あるいは進む可能性がある場合は、皮膚リンパ腫を多く診ている専門の医療機関と連携して治療を行います(関連記事: 紹介状が必要なとき)。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 湿疹と言われていたのに、見逃されていたのですか? | 早い段階は湿疹との区別がとても難しく、経過の中でわかることが多い病気です | 見た目や検査の結果がはっきりするまでに、時間がかかることがあるためです |
| 命に関わりますか? | 早い段階で見つかった多くの方は、長く日常生活を続けています | ゆっくり経過することが多いためです。ただし、定期的に通院して変化を確認することが大切です |
| 治療はずっと続きますか? | 良い状態を保つために、長く付き合っていく病気です | 良くなったあとも再び出てくることがあるため、定期的な経過観察を続けます |
受診の目安
- 受診を — 同じ場所の赤い斑が、数か月以上治らない、治療をやめるとくり返す
- 受診を — 湿疹の治療を続けていても、斑の形や範囲が変わらない・広がる
- 早めの受診を — 赤い斑の上に、しこりやこぶのような盛り上がりができてきた
- 早めの受診を — 首・ワキ・足の付け根のリンパ節が腫れている、原因のわからない発熱・体重減少がある
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-09-25)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-25)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

