「重い買い物袋を持ったあと、夜になって手のひらがパンパンに腫れた」「長く歩いた翌日、足の裏が腫れて痛い」「長時間座ったあと、お尻が腫れる」。原因が分かりにくく、押されたことと腫れが結びつかないまま悩んでいる方が少なくない病気です。
遅延性圧蕁麻疹とは(仕組み)
蕁麻疹は、皮膚の中のマスト細胞(肥満細胞)から、ヒスタミンなどのかゆみや腫れを起こす物質が出ることで起こります。遅延性圧蕁麻疹は、皮膚に一定の時間、強い圧がかかることがきっかけになる蕁麻疹です。
ふつうの蕁麻疹と違い、ヒスタミン以外の炎症を起こす物質も関わると考えられており、皮膚の深いところまで腫れることや、抗ヒスタミン薬が効きにくいことがあります。慢性蕁麻疹と一緒に起こることもよくあります。
症状・見分け方
- 圧がかかってから30分〜6時間ほどたって腫れが出てくる
- 赤く、深く、硬めに腫れて、かゆみよりも痛み・焼ける感じが目立つことがある
- 腫れは半日〜2日ほど続く
- だるさ、微熱、関節の痛みを伴うことがある
- 出やすい場所: 手のひら(荷物)・足の裏(歩行)・腰(ベルト)・お尻(座る)・肩(リュック)
こすったり押したりで出る、ほかの蕁麻疹との違いを表にします。
| 種類 | きっかけ | 出るまで | 続く時間 |
|---|---|---|---|
| 皮膚描記症(機械性蕁麻疹) | こする・ひっかく | すぐ(数分) | 30分〜数時間 |
| 遅延性圧蕁麻疹 | 一定時間の強い圧迫 | 30分〜6時間後 | 半日〜2日 |
| 寒冷蕁麻疹 | 冷たいもの・冷たい風 | すぐ〜温まるとき | 30分〜数時間 |
| ふつうの蕁麻疹 | はっきりしないことが多い | — | 15分〜数時間、長くても1日 |
皮膚科では、問診に加えて、一定の重さを肩や太ももに一定時間かけ、数時間後に腫れが出るかを確かめる検査を行うことがあります。受診前に、腫れが出た時間と、その前に何をしていたかをメモしておくと、診断の大きな手がかりになります。
治療・セルフケア
治療は、ほかの蕁麻疹と同じく抗ヒスタミン薬の飲み薬から始めます。効きが不十分な場合は、医師の判断で量を増やしたり、ほかの薬を組み合わせたりします。症状が強い時期に、短期間だけステロイドの飲み薬を使うこともあります。慢性蕁麻疹を合併して重症の場合は、注射薬(生物学的製剤)が検討されることもあります。
薬と同じくらい大切なのが、圧迫そのものを減らす工夫です。
- 荷物: 手に持たず、肩掛けやキャリーを使う。持ち手にタオルを巻いて圧を分散する
- 服装: ベルトやゴムのきつい服、締め付ける下着を避ける
- 靴: クッション性の高い中敷きを使い、長時間の立ち仕事・歩行の合間に休む
- 座るとき: クッションを使い、ときどき姿勢を変える
受診の目安
- 荷物を持った・長く歩いたなどの数時間後に、腫れて痛むことを繰り返す
- 抗ヒスタミン薬を飲んでも、腫れが十分に引かない
- 腫れのせいで、仕事や家事に支障が出ている
唇やまぶた、のどが腫れる、息苦しい、声がかすれる、といった症状がある場合は、すぐに救急車を呼んでください。迷うときは救急安心センター(#7119)に相談できます。
よくある質問
腫れて痛いときは、冷やしてもいいですか?
冷やして構いません。保冷剤をタオルで包んで当てると、熱っぽさや痛みが和らぎます。ただし、冷やすために腫れた部分を強く押し当てると、それ自体が圧迫になるため、そっと当てる程度にしてください。
いつまで続く病気ですか?
数か月〜数年続くことがありますが、多くは時間とともに軽くなっていくとされています。症状が落ち着いたら、医師と相談しながら薬を減らしていきます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-03)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-03)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

