「おむつ替えのとき、お尻の割れ目の上にえくぼのようなくぼみがあるのに気づいた」。乳児健診で指摘されたり、ご家族が見つけたりして相談されることの多い所見です。ほとんどは成長に影響しませんが、確認しておきたい形があります。
仙骨部のくぼみとは(仕組み)
お尻の割れ目の上あたりには、仙骨(せんこつ)という背骨の一番下の骨があります。赤ちゃんがお母さんのお腹の中で育つとき、背中の皮膚と背骨・脊髄(せきずい:背骨の中を通る神経の束)は、近い場所から一緒に作られます。そのため、皮膚の表面の目印から、背骨の中の様子を推し量れることがあります。
くぼみは、皮膚がその場所で少し引き込まれてできたものです。多くは皮膚だけの小さな変化で、神経とはつながっていません。まれに、皮膚の下で細い管が奥へ続いていたり、脊髄が下のほうで引っ張られていたりすること(潜在性二分脊椎・脊髄係留)があり、これを見逃さないために形を確認します。
症状・見分け
| 確認するところ | 様子を見てよいことが多い | 相談をすすめる |
|---|---|---|
| 位置 | お尻の割れ目の中、肛門に近い | 割れ目より上、腰に近い高い位置 |
| 深さ | 浅く、広げると底が見える | 深く、底が見えない |
| 大きさ・数 | 小さく、1つだけ | 大きい、複数ある |
| まわりの皮膚 | ほかの皮膚と同じ | 毛の束、赤い・青いあざ、皮膚の突起、やわらかいふくらみ |
| お尻の割れ目 | まっすぐ | 左右に曲がっている、二股に分かれている |
| 汁・赤み | ない | 汁や膿が出る、赤く腫れる |
判断の目安になるのは「位置」と「くぼみ以外の目印があるか」です。肛門のすぐ近くにある浅いくぼみ1つだけ、という形が最も多く、これは心配のいらないことがほとんどです。
検査と治療
相談をすすめる形の場合、小児科で背中の超音波(エコー)検査を行うことがあります。生後しばらくの赤ちゃんは背骨がまだやわらかく、超音波で脊髄の様子を見やすいため、気になる形なら早めの時期に相談するのが勧められます。必要に応じてMRI検査を行い、脳神経外科と連携します。
くぼみだけで治療が必要になることはほとんどありません。くぼみが奥へ続く管になっていて、感染を繰り返す場合などに、手術を検討します。
家庭でのケア
- ふだんどおり洗う: お風呂でやさしく洗い、よく乾かします。くぼみにうんちが入り込みやすいため、おむつ替えのときにさっと拭いてください
- 綿棒などで奥をつつかない: 奥に管が続いている場合、傷をつけて感染のきっかけになることがあるためです
受診の目安
- くぼみが割れ目より上にある、深くて底が見えない、大きい、複数ある
- くぼみのまわりに毛の束、あざ、皮膚の突起、やわらかいふくらみがある
- お尻の割れ目が左右に曲がっている
- くぼみから汁や膿が出る、赤く腫れている(早めに受診してください)
- 足の動きに左右差がある、足の形が気になる、おしっこやうんちの出方がおかしい(脊髄の症状のことがあるため、小児科へ)
乳児健診で指摘された場合は、健診の担当医の案内に沿って受診先を決めてください。
診察室でよく聞かれる質問
大人になってからできるお尻の割れ目のできものと同じものですか?
別のものです。思春期以降にお尻の割れ目にできて膿が出るものは「毛巣洞(もうそうどう)」といい、毛が皮膚に刺さり込むことが主な原因です(関連記事: 毛巣洞とは)。赤ちゃんのくぼみは生まれつきの形です。
くぼみは成長すると消えますか?
体が大きくなるにつれて目立たなくなることが多いです。消えなくても、心配のいらない形であれば生活に影響はありません。
何科に行けばいいですか?
まずは小児科(かかりつけ医や乳児健診の担当医)に相談してください。皮膚の表面の変化(あざ・できもの・赤み)については皮膚科でも診ることができ、必要な検査は小児科や脳神経外科と連携して進めます(関連記事: 子どもの皮膚トラブルは小児科と皮膚科どちらへ)。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-14)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-14)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

