水虫(足白癬)は、白癬菌というカビ(真菌)の一種が足の皮膚に感染して起こる病気です。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでは、白癬は新たに皮膚科を受診する患者の10%程度を占めるありふれた病気とされています。
大切なポイントは、「足がかゆい・皮がむける=水虫」とは限らないことです。水虫によく似た別の皮膚病もあり、市販の水虫薬で治らない足のトラブルの中には、そもそも水虫ではないケースが含まれます。皮膚科では顕微鏡検査でその場で白癬菌の有無を調べられるため、検査で確定してから適切な薬を使うことが、遠回りに見えて確実な治し方です。
水虫とは・うつる仕組み
白癬菌は、皮膚の表面にある角質のケラチンを栄養にして増えるカビです。足の発汗により足の指の間が温かく湿った環境になると、真菌が増殖しやすくなります。
白癬菌は、感染した人の皮膚から剥がれ落ちた角質(アカ)を介して広がります。家庭内の足拭きマットやスリッパの共用、プール・温浴施設などの素足環境が感染の機会になり、日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでも家庭内に白癬菌を持ち込まない工夫が取り上げられています。ただし、菌が付いてもすぐ感染が成立するわけではなく、洗い流す・乾燥させるといった日常のケアが予防につながります。
タイプ別の症状

足白癬の症状の出方には、いくつかのタイプがあります。
趾間型(しかんがた)
足の指の間の皮がむける・白くふやける・じくじくするタイプです。かゆみを伴うことが多い、よくみられる病型です。
小水疱型
土踏まずや足のふち周辺に、小さな水ぶくれがぽつぽつとでき、皮がむけるタイプです。
角質増殖型
かかとを中心に足の裏全体の皮膚が厚く硬くなり、ひび割れを起こすタイプです。かゆみが目立たないことも多く、「ただの乾燥・ガサガサかかと」と思われて見逃されやすい病型です。
なお、かゆみがない水虫も少なくありません。「かゆくないから水虫ではない」とは言えない点にご注意ください。
水虫に似た別の病気
足の皮むけ・水ぶくれ・かゆみを起こす病気は水虫だけではありません。
- 汗疱・異汗性湿疹: 手足に小さな水ぶくれができる湿疹の一種
- 接触皮膚炎(かぶれ): 靴や靴下の素材などによる皮膚炎(関連記事: 湿疹とは?種類・原因・かぶれやアトピーとの違いを解説)
- 掌蹠膿疱症: 手のひら・足の裏に膿をもった発疹が繰り返しできる病気
これらは水虫と治療がまったく異なり、水虫薬を塗り続けるとかえって悪化することもあります。見た目だけでの区別は難しいため、診察と検査で確認することが重要です。
検査: 顕微鏡検査でその場でわかる
皮膚科では、皮がむけている部分などから角質を少し採り、顕微鏡で白癬菌の有無を確認する検査(直接鏡検)を行います。痛みはほとんどなく、その場で結果がわかることが多い検査です。
ひとつ注意点があります。受診前に市販の水虫薬を塗っていると、菌が検出されにくくなり、検査の精度が下がることがあります。水虫かどうか確かめたい場合は、自己流の治療を始める前に受診するのがおすすめです。
治療: 外用薬が基本、タイプによっては内服薬
足白癬の治療は抗真菌薬の外用(塗り薬)が基本で、重症例などでは内服薬(テルビナフィン、イトラコナゾールなど)が使われます。
- 外用抗真菌薬: 多くの足白癬の基本治療です。症状のある場所だけでなく、医師の指示に従い足全体に塗ることが一般的です
- 内服抗真菌薬: 角質増殖型や、爪にまで感染が及んでいる場合(爪白癬)などで検討されます(関連記事: 爪水虫(爪白癬)とは?飲み薬・塗り薬の治療と期間)
治療期間: 「かゆみが消えた=菌がいなくなった」ではない
見た目やかゆみが良くなっても、角質の中に菌が残っていることがあります。症状が落ち着いた後も一定期間は外用を続けることが推奨されており、途中でやめてしまうことが再燃の大きな原因になります。いつまで続けるかは、診察で皮膚の状態を確認しながら判断します。
家族にうつさないための生活の工夫
日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでは、家庭内での対策や部屋のケアが取り上げられています。一般的な工夫としては次のようなものがあります。
- 足拭きマット・スリッパの共用を避け、こまめに洗濯・交換する
- 床や脱衣所は掃除で角質(アカ)を取り除く
- 帰宅後や入浴時に足の指の間まで洗い、よく乾かす
- 通気性のよい靴を選び、同じ靴を毎日続けて履かない・靴下をこまめに替える
受診の目安
- 足の指の間の皮むけ・じくじく・かゆみが続いている
- 市販の水虫薬を2週間程度使っても改善しない、または悪化した
- かかとの角化・ひび割れが毎年続いている
- 爪が白く濁る・厚くなるなど、爪の変化も出てきた
- 家族に水虫の人がいて、自分にも症状が出てきた
じくじくした部分が赤く腫れて痛む・熱をもつ場合は、細菌感染を合併している可能性があるため早めの受診をおすすめします。また、糖尿病のある方は足のトラブルが重症化しやすいため、軽い症状でも早めに医療機関へ相談してください。
よくある質問
Q. 水虫は放っておくと治りますか?
白癬菌は角質を栄養に生き続けるため、自然に消えることは期待しにくい病気です。放置している間に爪や他の部位、家族へ広がる可能性もあるため、早めの治療をおすすめします。
Q. 市販薬で治してもいいですか?
市販の外用抗真菌薬で改善する場合もあります。ただし、そもそも水虫でない場合には効果がなく、検査の精度にも影響するため、「本当に水虫か」を確認してから治療する方が確実です。市販薬で2週間程度改善しなければ受診をご検討ください。
Q. 家族にうつしてしまいますか?
白癬菌は角質を介して家庭内で広がりえます。ただし、マットやスリッパの共用を避ける、床を清潔に保つ、本人がきちんと治療する——といった対策で感染の機会を減らすことができます。
編集部より
水虫は「恥ずかしいから市販薬でこっそり治したい」と思われがちな病気ですが、皮膚科では毎日のように診ているありふれた病気であり、検査もその場で済むことが多いものです。長年繰り返している足のトラブルほど、一度検査で正体を確かめる価値があります。
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「白癬(水虫・たむしなど)」 – https://qa.dermatol.or.jp/qa10/index.html (2026年8月27日確認)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状の診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は皮膚科の受診をご検討ください。

