「包丁で指を切った。これって縫う傷?」「子どもがおでこをぶつけて切れた。テープで大丈夫?」。切り傷は、縫ったほうがきれいに早く治る傷と、テープや絆創膏で十分な傷があります。その場で判断するためのポイントを整理します。
縫う目的とは(仕組み)
皮膚の傷は、傷のふち同士がぴったり合っているほど、早く・細い線で治ります。ふちが離れたまま治ると、その間を新しい組織が埋めるため時間がかかり、幅の広い傷あとになりやすくなります。
縫う(縫合する)目的は、主に次の3つです。
- 止血: 押さえても止まらない出血を止める
- 傷のふちを合わせる: 早く治し、傷あとを細くする
- 深い部分を守る: 腱・神経・血管など、傷の奥にあるものを確認し、必要なら治療する
一方、浅くてふちが自然に合っている傷は、医療用のテープで寄せるだけでも十分きれいに治ります。「傷が長いから縫う」ではなく、「深さ」と「開き方」で決まると考えてください。
縫ったほうがいい傷・テープで済む傷の見分け方
| 傷の様子 | 考え方 |
|---|---|
| しばらく押さえ続けても血が止まらない | 縫って止血が必要なことが多い |
| 傷口がぱっくり開き、指で寄せないと閉じない | 縫ったほうが早く・きれいに治る |
| 傷の奥に黄色い脂肪や白っぽい組織が見える | 深い傷。奥の確認が必要 |
| 指が動かしにくい・しびれる | 腱や神経の損傷を確認する必要がある |
| 顔・唇・まぶたの傷 | 見た目への影響が大きいので受診をおすすめ |
| 浅く、ふちが自然に合っている。出血はすぐ止まった | テープや絆創膏で治ることが多い |
関節の上(指の曲がるところ・ひざなど)の傷は、動かすたびに開きやすいため、浅く見えても縫ったほうがよい場合があります。
その場でやること(応急処置)
- 圧迫して止血: 清潔なガーゼやタオルで傷を強めに押さえ、心臓より高い位置に上げます。何度も離して確認せず、しばらく押さえ続けるのがコツです
- 流水で洗う: 出血が落ち着いたら、水道水で汚れを洗い流します
- 覆って受診: 縫う必要がありそうなら、清潔なガーゼで覆ってそのまま受診します
受診の前に、傷に軟膏やパウダーを厚く塗ったり、消毒液を何度も使ったりする必要はありません。洗って清潔に覆うだけで十分です。塗ったものは診察時に洗い流すことになり、傷の状態も見えにくくなります。
縫うまでの時間と、縫ったあとの過ごし方
傷は時間がたつほど細菌が増え、縫って閉じると中で化膿するリスクが上がります。そのため縫う処置は、できるだけ早いほうがよいと考えます。時間がたった傷や汚れの強い傷は、あえて縫わずに開いたまま治すこともあります。「明日でいいか」と迷ったら、その日のうちに相談してください。
- シャワー: 多くの場合、翌日からシャワーで洗えます。洗ったほうが傷はきれいに保てます
- 抜糸: 顔は早め、手足や背中など動きや張力がかかる場所は遅めに抜糸します。場所によって日数が変わります
- 抜糸のあと: 傷あとが落ち着くまでの数か月は、テープで保護し、日焼けを避けると目立ちにくくなります
受診の目安
- 押さえても血が止まらない、または脈打つように出血する(すぐ受診・救急)
- 傷がぱっくり開いている、深い、奥に脂肪などが見える
- 指の動きが悪い・しびれがある
- 顔の傷、子どもの傷で見た目が心配
- 土やサビなどで汚れた傷、動物にかまれた傷
出血が止まらず意識がもうろうとする、大量に出血しているなどの場合は、迷わず救急車を呼んでください。判断に迷うときは救急安心センター(#7119)に相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
縫うのは痛いですか?
局所麻酔をしてから縫うので、縫っている間の痛みはほとんど感じません。麻酔の注射のときにチクッとした痛みがあります。
テープで寄せておけば、縫わなくても同じですか?
浅い傷ならテープでも十分きれいに治ります。ただ、深い傷や開く力の強い傷はテープだけでは閉じきれず、傷あとが広がりやすくなります。迷う傷は一度見せてください。
子どもの顔の傷は、どこに行けばいいですか?
皮膚科や形成外科で縫合に対応しているところがあります。夜間や休日は救急外来を受診し、後日の傷あとのケアを皮膚科で相談する方法もあります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-07)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ケロイド(確認日: 2026-10-07)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

