「肘をついたら、ぷにっとしたものがある」「肘の先がぶよぶよに腫れてきた」「硬いしこりが肘の外側にある」。肘は机や床につく機会が多く、しこりに気づきやすい場所です。原因によって相談する診療科が変わるため、見分け方を整理します。
肘のしこりとは(仕組み)
肘のしこりは、どの深さにできているかで原因が分かれます。
- 皮膚とその直下: 皮膚の下にできた袋に角質がたまる「粉瘤」、脂肪のかたまりの「脂肪腫」など
- 肘の先の骨の上: 骨と皮膚のあいだにあるクッションの袋(滑液包)に水がたまる「滑液包炎」
- 全身の病気と関係するもの: 関節リウマチの「リウマチ結節」、痛風の「痛風結節」、コレステロールが高い体質の「黄色腫」など
肘の先は、机に肘をつく・床に手をついて立ち上がるといった動作で、繰り返し圧迫や摩擦を受ける場所です。この刺激が、滑液包炎の主なきっかけになります。
症状・見分け
| 考えられるもの | 触った感じ・特徴 | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 肘頭滑液包炎 | 肘の先が、水風船のようにぶよぶよ腫れる。痛みは軽いことが多い | 整形外科 |
| 粉瘤 | 皮膚と一体になったドーム状のしこり。中央に黒い点があることも | 皮膚科 |
| 脂肪腫 | やわらかく弾力があり、皮膚の下で少し動く | 皮膚科・形成外科 |
| リウマチ結節 | 肘の先〜前腕の外側に、硬く痛みの少ないしこり。関節の痛みやこわばりを伴う | リウマチ科・整形外科 |
| 痛風結節 | 硬く、皮膚から白っぽい中身が透けて見えることがある | 内科・整形外科 |
| 黄色腫 | 肘やひざに、黄色っぽい硬いしこり | 皮膚科(血液検査で脂質を確認) |
滑液包炎や粉瘤が、細菌が入って赤く腫れ、熱を持って強く痛むことがあります(化膿性滑液包炎・炎症性粉瘤)。この場合は早めの治療が必要です。
治療
- 肘頭滑液包炎: 多くは、肘をつかないようにして圧迫を避けると、少しずつ小さくなります。腫れが大きいときは注射器で水を抜くことがありますが、再びたまることもあります。細菌が入っている場合は抗菌薬を使い、膿を出す処置を行います
- 粉瘤: 袋ごと取り除く手術が根本的な治療です。肘は曲げ伸ばしで皮膚が引っぱられるため、傷の向きや大きさを考えて手術の方法を選びます
- 脂肪腫: 大きくなる、邪魔になるといった場合に切除します
- リウマチ結節・痛風結節: もとの病気の治療が中心です。皮膚が破れそうな場合などに切除を考えます
- 黄色腫: 血液の脂質を調べ、高ければ内科で治療します
受診の目安
- 肘が赤く腫れて熱を持ち、痛みが強い(早めに)
- 腫れとともに発熱がある、赤みが腕に広がっている(早めに)
- しこりがだんだん大きくなっている
- 手や指の関節にも痛みやこわばりがある
- 足の親指の付け根などに、痛風の発作を起こしたことがある
皮膚科で診察して、滑液包炎や関節の病気が疑われる場合は、整形外科やリウマチ科を紹介されることがあります。どこに行けばよいか迷う場合は、まず皮膚の状態を見てもらうところから始めて構いません。
診察室でよく聞かれる質問
肘のぶよぶよを自分で押してつぶしてもいいですか?
やめてください。滑液包炎も粉瘤も、押しても中身はなくなりません。皮膚が傷つくと細菌が入り、化膿する原因になります。
仕事で肘をつくのですが、どうしたらいいですか?
肘の下にタオルやクッションを置き、圧迫を減らしてください。滑液包炎は繰り返し押される刺激で悪化するため、肘をつく時間を減らすことが、いちばんの治療になります。
しこりは、がんの心配はありますか?
肘のしこりの多くは良性です。ただし、硬くて動かない、短い期間で急に大きくなったといったしこりは、まれに悪性の腫瘍のことがあるため、画像検査などで確かめます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 粉瘤(確認日: 2026-10-12)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-10-12)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

