「人差し指の第一関節の横に、硬いしこりができた」「押してもつぶれず、少しずつ大きくなっている」「ガングリオンかと思っていたけれど、針を刺しても何も出なかった」。手の指にできるしこりとしては、ガングリオンの次に多いとされる腫瘍です。
腱鞘巨細胞腫とは(仕組み)
指を動かす腱(すじ)は、「腱鞘(けんしょう)」というトンネルのような膜の中を通っています。腱鞘巨細胞腫は、この腱鞘や関節を包む膜の細胞が増えてできる良性の腫瘍です。顕微鏡で見ると、大きな細胞(巨細胞)が混じっていることから、この名前がついています。
- 30〜50代に多く、女性にやや多いとされています
- 指(とくに人差し指・中指の手のひら側や関節の横)にいちばん多く、足の指や手首にもできます
- はっきりした原因は分かっていません
悪性化することはまれですが、腱や骨に沿って広がる性質があり、大きくなると指の動きを邪魔したり、骨を押して変形させたりすることがあります。
症状・見分け方
- 痛みはないか、あっても軽い
- 硬く、ゴムのような弾力がある
- 皮膚の下であまり動かない(腱や骨にくっついている)
- 数か月〜数年かけて、ゆっくり大きくなる
指にできる代表的なしこりとの違いを表にします。
| しこり | 硬さ・中身 | 見分けの手がかり |
|---|---|---|
| ガングリオン | やわらかめ〜弾力。中はゼリー状の液体 | 大きさが変わることがある。針で刺すとゼリーが出る |
| 腱鞘巨細胞腫 | 硬い。中身は詰まった組織 | 大きさは変わらず、ゆっくり大きくなる。針を刺しても何も出ない |
| 粘液嚢腫(ミューカスシスト) | 半透明の水ぶくれ状 | 指の第一関節の背中側。爪にへこみの線が出ることがある |
| 粉瘤 | 皮膚と一緒に動く | 中央に黒い点(開口部)がある。臭いのある中身が出ることがある |
皮膚科・整形外科・形成外科では、触診に加えて超音波(エコー)検査やMRIで、腫瘍の広がりや腱・骨との関係を確かめます。最終的には、取ったものを顕微鏡で調べる病理検査で確定します。
治療
治療は手術で取り除くことが基本です。塗り薬や飲み薬で小さくする方法はありません。
腱鞘巨細胞腫は、周りの組織の間に入り込むように広がるため、取り残しがあると再発しやすい腫瘍です。再発は数年たってから起こることもあり、手術のあとも、しばらくは同じ場所にしこりが出てこないかを見ていきます。
指の中を通る神経や腱のすぐそばにできることが多いため、腫瘍の大きさや場所によっては、手の外科を専門とする整形外科・形成外科での手術が適しています。皮膚科では診断と、適切な専門科への紹介を行います。
受診の目安
- 指や手首に、硬くて動きにくいしこりがある
- しこりが少しずつ大きくなっている
- 指が曲げにくい、しびれる
- ガングリオンと言われたが、針を刺しても中身が出なかった
痛みがなくても、大きくなるほど手術の範囲が広がりやすいため、気づいた段階で一度診てもらうことをおすすめします。
よくある質問
悪性になることはありますか?
悪性化することは、まれとされています。ただし、まれな悪性腫瘍が似た見た目をとることもあるため、取ったものを病理検査で確かめることが大切です。
手術のあと、すぐに手を使えますか?
小さな腫瘍であれば、手術当日から軽い日常動作はできることが多いです。ただし、傷が開かないように、抜糸までは重い物を持つ・水仕事をするなどは控えめにします。腱の近くを大きく扱った場合は、しばらく指の固定やリハビリが必要になることがあります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-03)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-03)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

