「腕に小さなしこりがあって、押すとビリッとしびれる」「ぶつけると指先まで電気が走る」「脂肪のかたまりだと思っていた」。皮膚の下のしこりの多くは痛みがありませんが、神経鞘腫は神経から発生するため、押したときに独特の響き方をするのが特徴です。
神経鞘腫とは(仕組み)
神経は、電線のように体のすみずみへ信号を伝えています。その神経のまわりは、シュワン細胞という細胞でできた「さや(鞘)」におおわれています。神経鞘腫は、このさやの細胞が増えてできる良性のかたまりです。
- 腕・脚・首・頭など、神経が通っている場所ならどこにでもできる
- 多くは1個。大きさは数mm〜数cmで、ゆっくり大きくなる
- 大人に多いが、年齢を問わずできる
- 悪性に変わることはきわめてまれ
神経の「中」ではなく「さや」から生じるため、手術では神経を残して、かたまりだけを取り出せることが多いのが特徴です。
症状・見分け方
皮膚の下に、丸くてやや硬いしこりを触れます。表面の皮膚は正常です。しこりは神経の走る方向と直角には動くが、神経に沿った方向には動きにくい、という特徴があります。
最も特徴的なのは、しこりを押したり叩いたりすると、その神経の先(指先・足先など)へ、しびれや電気が走るような痛みが響くことです。何もしなくても、しびれを感じることもあります。
| 皮膚の下のしこり | 押したときの感じ | 特徴 |
|---|---|---|
| 脂肪腫 | 痛みなし | やわらかい。背中・肩・首に多い。数cm以上になることも |
| 粉瘤 | ふだんは痛みなし(炎症時は痛い) | 皮膚とくっついて動き、中央に黒い点。くさい中身が出ることがある |
| 血管脂肪腫 | 押すとその場所が痛い | 小さく、複数できる。前腕に多い |
| 神経鞘腫 | 押すと先へ響く、しびれる | 多くは1個。神経の走る方向に動きにくい |
| ガングリオン | 痛みは少ない | 手首・指に多い。中にゼリー状の液体 |
診断には、超音波(エコー)検査やMRIが役立ちます。しこりが神経とつながっているかどうかが分かり、手術の計画にも必要な情報になります。最終的には、取り出したものを病理検査(顕微鏡の検査)で確定します。
治療
神経鞘腫は良性なので、小さくて症状がなければ、経過観察も選択肢です。大きさを定期的に確認していきます。
次のような場合は、手術で取り出すことを考えます。
- 押すと響く痛みやしびれで、生活に支障がある
- しこりが大きくなってきている
- ほかの腫瘍との区別をはっきりさせたい
手術では、神経のさやを開いて、神経の線維を傷つけないようにかたまりだけを取り出します(核出術)。多くは取ったあとに症状が軽くなりますが、手術のあとに一時的なしびれや感覚の鈍さが出ることがあります。神経の太さや場所によって、形成外科・整形外科など神経の手術に慣れた診療科で行うのが一般的です。
しびれがあるからといって、しこりを強く揉んだり押したりするのは避けてください。神経が刺激されて、症状が強くなることがあります。
受診の目安
- 押すとビリッと響く、しびれるしこりがある
- しこりが短期間(数週間〜数か月)で大きくなっている
- 手足に力が入りにくい、細かい作業がしにくい
- しこりが5cm以上ある、硬く動かない
皮膚科では、しこりを触診とエコーで確認し、皮膚の病気(粉瘤・脂肪腫など)か、神経由来のものかを見分けます。神経の手術が必要な場合は、適した医療機関へ紹介します。
よくある質問
手術のあとに手が動かなくなることはありますか?
多くの場合、神経を残してかたまりだけを取り出せるため、手足が動かなくなることはまれです。ただし、一時的なしびれや感覚の鈍さが出ることはあり、多くは時間とともに回復します。神経の場所によってリスクが変わるので、手術前に詳しく説明を受けてください。
いくつもできることはありますか?
ほとんどは1個ですが、まれに複数できることがあります。体に多数のしこりやカフェオレ色のあざがある場合は、神経線維腫症などの病気がないか確認することがあります。
取らないと悪くなりますか?
悪性に変わることはきわめてまれです。症状がなければ、定期的に大きさを確認しながら様子を見ることもできます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-10-01)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-01)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

