ワキ・お尻・脚のつけ根に何度もおできができる|化膿性汗腺炎という病気の可能性

ワキ・お尻・脚のつけ根に何度もおできができる|化膿性汗腺炎という病気の可能性
DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
更新日: 2026年9月8日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

「またワキにしこりができた」「病院で切ってもらうと一度は治るのに、半年もするとまた同じところが腫れる」「恥ずかしくて相談しづらい」——この病気は、繰り返すこと自体が特徴です。そして繰り返す部位が決まっていることが、単なる「おでき」との最大の違いになります。

目次

化膿性汗腺炎とは何が起きているのか

名前に「汗腺」とありますが、始まりは汗そのものではありません。現在は毛包(毛穴の袋)の出口がふさがり、そこに炎症が起きて袋が壊れ、周囲に炎症が広がっていく病気と考えられています。

SKIN STRUCTURE — CROSS SECTION 表皮(バリアの層・約0.2mm) 真皮(弾力を支える層) 皮下組織(脂肪の層) 毛穴(毛包) 皮脂腺皮脂を分泌して肌を保護 汗腺汗をつくる 詰まり(角栓)ができる場所
化膿性汗腺炎は毛包の出口がふさがるところから始まり、深いところで炎症が広がる図: あび皮膚科メディア編集部作成(イメージ図であり、実際の構造を簡略化しています)

炎症が繰り返されると、皮膚の下でトンネル状の通り道(瘻孔)ができ、離れた場所から膿が出るようになります。ここまで進むと自然に治まりにくく、傷あとが硬く盛り上がって残ることがあります。

関係が指摘されている要因には、喫煙、肥満、こすれや締めつけ、ホルモンの影響、家族内での発症などがあります。「不潔だから起きる」病気ではありません。洗いすぎても防げず、むしろ強くこすることは悪化要因になります。この点は誤解されやすいので、はっきりお伝えしておきます。

できる場所と、進み方

好発する部位ははっきりしています。ワキの下、脚のつけ根(そけい部)、お尻・肛門のまわり、乳房の下、下腹部——いずれも皮膚どうしがこすれ合う場所です。

  • 初期 — 痛い赤いしこりが1つできる。押すと痛く、膿の点は見えないことが多い
  • 進行期 — 破れて膿が出る。一度おさまるが、同じ場所や近くにまた出る
  • 慢性期 — 複数のしこりが皮膚の下でつながり、トンネルから膿が出続ける。硬いひきつれた傷あとになる

痛みで座れない、腕を下ろせない、下着や衣類に膿がつく、においが気になる——といった形で、生活への影響が大きくなりやすい病気でもあります。

粉瘤やおできとの見分け

状態 できる場所 回数 見分けの手がかり
化膿性汗腺炎 ワキ・そけい部・お尻など、こすれる場所 同じ部位に何度も 複数がつながる。トンネルから膿。硬い傷あとが残る
粉瘤(アテローム) 体のどこにでも単発 基本は同じものが1つ 中心に黒い点。炎症がないときは痛くない袋として触れる
毛包炎・せつ(おでき) 毛穴に一致 ふつうは1回で治る 中心に膿の点。治れば同じ場所には戻りにくい
リンパ節の腫れ ワキ・そけい部の決まった位置 感染に合わせて 皮膚の色は変わらず、深いところで動くしこり
ニキビ 顔・背中・胸 広い範囲に多発 面皰(白・黒ニキビ)が混じる。トンネルはできない

「粉瘤が繰り返しできる体質」と説明されたまま数年たっている方が、実際にはこの病気だった、ということがあります。「同じ場所に、何度も」がキーワードです。

治療とセルフケアの考え方

治療の目的は、今の炎症を抑えることと、次の炎症を減らすことの2本立てです。膿を出す処置だけでは後者に届きません。

  • 炎症を抑える薬(外用・内服) — 重症度に応じて選ばれます。急性期だけでなく、再燃を減らす目的で続けることがあります
  • 膿がたまって強く痛むとき — 切開して圧を下げる処置が行われることがあります。楽にはなりますが、これ自体は根本的な対応ではありません
  • 進行した部分の手術 — トンネルや硬い傷あとが定着している場合、その範囲を取り除く方法が検討されます
  • 禁煙 — 経過に関わることが指摘されています。取り組む価値のある項目です
  • 体重・こすれの管理 — 締めつけの強い下着や衣類を避け、汗をかいたら押さえるように拭きます
  • 脱毛やカミソリでの処理 — 刺激が引き金になることがあります。自己判断で続けず、状態を診てもらってから相談してください

やらないほうがよいこととして、自分でつぶす・針で刺す・強く絞るがあります。皮膚の下で炎症が広がり、トンネルの形成を早めることにつながります。消毒薬を長く塗り続けても、深い炎症には届きません。

受診の目安

  • 同じ部位に3回以上、痛いしこりや膿を繰り返している
  • しこりが複数つながっている、離れた場所から膿が出る
  • 硬い傷あとが盛り上がってきた、ひきつれて動かしにくい
  • 痛みで座れない・腕を下ろせないなど、生活に支障が出ている
  • 「粉瘤」「おでき」と言われて処置を受けたが、何度も戻ってくる

次の場合は早めの受診が必要です。赤みが急速に広がる、強い発熱がある、痛みが急激に強くなる——感染が深いところへ広がっている可能性があります。夜間・休日で迷うときは救急安心センター(#7119)に相談してください。

受診の際は、いつから・どこに・年に何回くらい出ているかをメモしておくと、経過の全体像が伝わりやすくなります。写真を残しておくのも有効です。相談しづらい部位ですが、診断がついた時点で選べる治療の幅が変わる種類の病気です。

あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。進行した状態では、手術を含めた対応が必要になることがあります。

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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