「手首に紫っぽいブツブツができて、かゆみが強い」「口の中に白いレース状の模様があると言われた」——扁平苔癬は名前になじみがない一方、皮膚科では珍しくない病気です。特徴と、受診で何が行われるかを整理します。
どういう病気か
皮膚の表皮と真皮の境目に、免疫にかかわる細胞(リンパ球)が集まり、表皮の細胞を攻撃する形で炎症が起こります。この炎症の結果、平らに盛り上がった紫がかった発疹ができます。
原因ははっきり特定されていません。免疫の反応が関係すると考えられており、薬の使用をきっかけに似た発疹が出る場合(薬剤性)、肝臓の病気との関連が話題になる場合などがあります。人にうつるものではありません。中年以降にやや多く見られます。
症状の特徴
- 色——赤紫〜暗い紫がかった色調。日本人の肌では治ったあとに褐色の色素沈着を残しやすいのが特徴です
- 形——平らな面を持つ盛り上がり。表面に白い細かい網目模様が見えることがあります
- 場所——手首の内側・前腕・すね・足首に多く、腰まわりにも出ます
- かゆみ——強いことが多いのが、かゆみの少ない発疹との違いです
- 掻いた線に沿って新しい発疹が並ぶことがあります
- 口の中——頬の内側に白いレース状の模様。しみる・ヒリつくことがあり、無症状で歯科で指摘される場合もあります
- 爪——縦の筋、薄くなる、割れる、進行すると変形が残ることがあります
- 頭皮——赤みとかさつきを伴い、髪が抜けたまま戻りにくくなることがあります
| 扁平苔癬 | 湿疹 | 乾癬 | |
|---|---|---|---|
| 色 | 紫がかった赤 | 赤〜淡紅 | はっきりした赤 |
| 表面 | 平らに光り、白い網目 | ざらつき・じくじく | 厚い銀白色の鱗屑 |
| 好発部位 | 手首内側・すね・口の中 | 全身どこでも | 肘膝の外側・頭皮・爪 |
| あとに残るもの | 褐色の色素沈着 | 軽い色素沈着 | 赤みが引いて戻る |
| 口の中の変化 | あり(レース状) | ふつうなし | まれ |
診断と治療
診断は発疹の見た目と出ている場所から進められ、判断が難しい場合には皮膚生検(局所麻酔で一部を採取して顕微鏡で調べる検査)が行われます。薬の飲み始めと発疹の時期が重なる場合は、服薬内容の確認が重要になるため、お薬手帳を持参してください。自己判断で薬をやめないこと——中止の判断は処方元と相談して決めます。
- ステロイド外用薬——治療の中心です。部位に合った強さを、期間を決めて使います
- かゆみに対する抗ヒスタミン薬の内服
- 口の中の病変——口腔用の外用薬やうがい薬が用いられます。歯科・口腔外科と連携して診ることがあります
- 広範囲・難治の場合——光線療法(紫外線治療)や内服薬が検討されます
- 色素沈着——炎症が治まったあとも数か月〜年単位で薄れていく経過をとることが多く、日焼けは濃く残る要因になるため紫外線対策が勧められます
効果の出方や必要な期間には個人差があり、よくなったり再燃したりを繰り返すことがあります。「塗ってすぐ治らないからやめる」より、経過を見ながら量と期間を調整していくのがこの病気の付き合い方です。
セルフケア
- 掻かない。掻いた線に沿って新しい発疹が並ぶため、掻くほど広がる形になります
- 保湿と、こすらない洗い方を続けます
- 口の中に病変がある場合——熱いもの・辛いもの・酸味の強いものがしみることがあります。歯みがきは丁寧に、刺激の強い洗口液は避けるほうが無難です
- 禁煙と歯の状態の管理が、口の中の状態に関わるとされています
- 紫外線対策——色素沈着を濃くしないために有用です
受診の目安
- 紫がかった発疹が2週間以上続く、増えている
- かゆみで眠れない
- 口の中の白い模様がしみる、痛む、治らない口内炎がある——長く続く口の中の変化は、他の病気との区別のため必ず診てもらってください
- 爪の変形・頭皮の脱毛を伴う——これらは早期に対応するほうが元に戻りやすいとされています
- 新しく薬を飲み始めてから出た
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。長引く発疹は、いつから・どこから始まり・どう広がったかを伝えられると、診断の手がかりになります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-09)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-09)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

