「手のひらや足の裏の湿疹が何年も治らない。銀歯が原因と聞いたけれど、全部取り替えたほうがいいの?」。インターネットで調べてこう考える方は少なくありません。歯の金属を外すのは時間も費用もかかり、元には戻せません。順番を間違えないことが大切です。
歯科金属アレルギーとは(仕組み)
口の中の金属は、唾液や食べ物、かむ力によってごくわずかずつ溶け出します。溶け出した金属が体に吸収され、その金属にアレルギーがある人では、口から離れた皮膚にも湿疹などの症状が出ることがあります。皮膚に直接触れていない場所に出るため「全身型金属アレルギー」とも呼ばれます。
原因になりやすい金属として、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、水銀などが知られています。歯科で使われる合金には複数の金属が混ざっているため、どの金属に反応しているかを調べる必要があります。
症状・見分け
歯科金属アレルギーとの関係が指摘されることの多い皮膚の症状は、次のようなものです。
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう): 手のひらや足の裏に、膿をもった小さなブツブツと皮むけをくり返す
- 汗疱(かんぽう)・手湿疹: 手のひらや指に小さな水ぶくれができ、かゆみや皮むけをくり返す
- 全身の湿疹: 治療しても体のあちこちに湿疹をくり返す
- 口の中の症状: 金属に接する歯ぐきや頬の内側の赤み、白い模様など
| よくある誤解 | 実際 |
|---|---|
| 銀歯があれば、それが原因 | 金属の詰め物がある方は多く、ほとんどの方は症状が出ない。原因かどうかは検査と経過で判断する |
| アクセサリーで大丈夫なら歯も大丈夫 | 歯科の合金には、アクセサリーとは違う金属が含まれていることがある |
| 外せばすぐ治る | 外して改善する方もいるが、改善までに数か月かかることがあり、変わらない方もいる |
手のひらや足の裏の症状には、水虫や喫煙、扁桃炎など、金属以外の原因が関係していることも多くあります(関連記事: 掌蹠膿疱症)。
検査と治療の進め方
おすすめする順番は次のとおりです。
- まず皮膚の治療をする: 湿疹や掌蹠膿疱症には、それぞれに合った塗り薬や飲み薬、光線療法などがあります。皮膚の治療だけで十分に落ち着く方も多いです
- パッチテストで金属アレルギーを調べる: 金属の試薬を背中などに貼り、2日後・3日後・1週間後ごろに皮膚の反応を見ます。陽性になった金属が、自分の歯に使われているかどうかがポイントです(関連記事: アレルギー検査の種類)
- 歯科で口の中の金属の種類を確認する: 陽性の金属が含まれているかを歯科医に確かめてもらいます
- 外すかどうかを相談する: 陽性の金属が歯に使われていて、皮膚の治療を続けても改善しない場合に、金属を使わない材料への置き換えを歯科医と相談します
金属を外す作業そのものによって、一時的に金属の粉が口に入り、症状が強まることもあります。置き換えは一度に全部ではなく、少しずつ進めることが多いです。
食べ物にも微量の金属(ニッケルやコバルトなど)が含まれています。金属アレルギーと分かった方で、食事の調整を勧められることもありますが、自己判断で極端な食事制限をするのは避けてください。
受診の目安
- 手のひら・足の裏の湿疹や膿のブツブツが、治療しても何か月も続く
- アクセサリーやベルトの金具でかぶれたことがあり、湿疹がくり返す
- 歯の治療をしてから、皮膚の症状が出るようになった気がする
- 銀歯を外すかどうかで迷っている(外す前に一度相談を)
診察室でよく聞かれる質問
銀歯は全部、保険外の白い歯にしたほうがいいですか?
パッチテストで陽性の金属が分からないうちに、すべてを替えることはおすすめしません。原因でない金属を替えても皮膚は良くならず、費用と時間だけがかかってしまいます。まず検査で確かめましょう。
パッチテストの期間中に気をつけることは?
試薬を貼っている間は、貼った場所を濡らさない、汗をかく激しい運動を控える、といった注意があります。背中に貼るため、お風呂はシャワーで下半身だけ流す程度になります。日程に余裕のある時期を選ぶと安心です。
インプラントや矯正の金属も関係しますか?
使われている金属の種類によっては関係することがあります。パッチテストの結果を歯科医に伝えて、材料を選ぶときの参考にしてもらってください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A かぶれ(確認日: 2026-10-15)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-15)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

