「冬のあいだに、すねにまだら模様ができた」「痛くもかゆくもないけれど、消えない」。寒くなるとこうした相談が増えます。見た目が独特なので驚かれますが、原因がはっきりしていて、早い段階なら熱源を離すだけで薄くなっていくものです。
火だこ(温熱性紅斑)とは
火だこは、「温かい・少し熱いけれど、やけどはしない」程度の温度に、皮膚が長期間くり返しさらされることで起こります。熱によって皮膚の浅いところの血管が広がる状態が毎日続くと、はじめは赤い網目模様が出て、だんだんと茶色い色素沈着(しみのような色)として残るようになります。
網目の形になるのは、皮膚の中の血管が網のように走っていて、その形に沿って変化が出るためです。「網目状」「まだら」「熱源に当たる側だけ」の3つがそろっていれば、火だこをまず考えます。
原因になりやすい熱源
| 熱源 | 出やすい場所 | ポイント |
|---|---|---|
| こたつ | すね・太もも | 最も多い原因。こたつの中で寝てしまう習慣がある方に多い |
| 湯たんぽ・あんか | すね・足首・太もも | 寝ている間に同じ場所に当たり続ける |
| 電気ストーブ・ファンヒーター | すねの前面・片側だけ | ストーブに向いている側にだけ出るのが特徴 |
| 電気毛布・ホットカーペット | 腰・背中・お尻 | 横になって長時間使う方 |
| カイロ・温熱パッド | 腰・お腹 | 腰痛や冷えで毎日同じ場所に貼る方 |
| ノートパソコン | 太ももの前面 | ひざに乗せて長時間作業する方 |
いずれも「毎日」「同じ場所に」「長時間」が共通点です。1回の強い熱で起こるやけどとは違い、痛みがないため本人が気づかないまま進みます。
症状と、似ているものとの見分け
はじめは赤い網目模様で、温めるのをやめると一時的に薄くなります。続けていると赤茶色〜茶色の網目状の色素沈着として残るようになり、皮膚が少し薄く見えたり、かさついたりすることもあります。かゆみや痛みはほとんどないか、軽いかゆみ・ほてり程度です。
| 状態 | 見た目 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 火だこ(温熱性紅斑) | 網目状の赤茶色〜茶色 | 熱源に当たる側だけ。温める習慣がある |
| 網状皮斑(リベド) | 網目状の赤紫色 | 冷えると濃くなる。両脚に広く出る。膠原病や血管の病気が背景のことがある |
| 低温やけど | 赤み・水ぶくれ・白く硬くなる | 一晩で起こる。見た目より深い傷になりやすい(関連記事: 低温やけど) |
| うっ滞性皮膚炎 | すねの下の茶色い色素沈着・かゆみ | むくみや静脈瘤を伴う。熱源とは関係しない |
熱源に心当たりがないのに網目模様が出ている場合は、火だこではない可能性があるため、一度受診してください。
治療とセルフケア
いちばん大切なのは、熱源をその場所から離すことです。薬を塗っても、温め続けている限りは良くなりません。
- こたつ — 中で寝ない。脚を入れっぱなしにせず、温度設定を下げる
- 湯たんぽ — 寝る前に布団を温めておき、寝るときは布団から出す
- ストーブ — 距離をとり、同じ側だけを長時間向けない
- カイロ — 毎日同じ場所に貼らない。直接肌に貼らない
- ノートパソコン — 机に置くか、ひざとの間に板やクッションを挟む
赤い網目の段階なら、熱源を離すことで数か月かけて薄くなっていくことが多いです。茶色い色素沈着になってからは、薄くなるまでに時間がかかり、長く続いたものは完全には消えないこともあります。だからこそ、気づいた時点で習慣を変えることに意味があります。
乾燥やかゆみがあれば保湿剤や外用薬を使います。何十年も同じ場所を温め続けた場合には、ごくまれに皮膚がんが出てくることが知られています。頻度は高くありませんが、網目模様の中に治らない傷やしこりができたときは、早めに受診してください。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 冬の暖房はやめないといけませんか? | やめる必要はありません。同じ場所に当て続けないことが大切です | 問題は温めること自体ではなく、同じ場所への長時間のくり返しだからです |
| 冷え性なので湯たんぽがないと眠れません | 寝る前に布団を温め、寝るときは足元から離してください | 寝ている間は熱さに気づけず、火だこも低温やけども起こりやすいためです |
| 美白の化粧品で消えますか? | 熱源を離すことが先です | 原因が続いている間は、何を塗っても追いつかないためです |
| うつりますか? | うつりません | 熱による皮膚の変化で、感染症ではないためです |
受診の目安
- 受診を — 熱源に心当たりがないのに網目模様が出ている
- 受診を — 熱源を離して数か月たっても変化がない
- 受診を — かゆみが強く、掻いて悪化している
- 受診を — 冷えると濃くなる網目模様が両脚に広がっている、指先の色が変わる・関節痛がある
- 早めの受診を — 網目模様の中に治らない傷・しこり・盛り上がりができた
- 当日中の受診を — 湯たんぽ・カイロで水ぶくれや白く硬い部分ができた(低温やけどの可能性)
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-23)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-23)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

