「顔にできたイボが、1か月くらいで急に大きくなった」「真ん中が噴火口のようにへこんでいる」。高齢の方、特に日光によく当たる顔や手の甲にできやすいできものです。ゆっくり何年もかけて大きくなるほくろやイボとは違い、「数週間単位で目に見えて変わる」ことが最大の特徴です。
ケラトアカントーマとは
ケラトアカントーマは、皮膚の表面の細胞(ケラチノサイト)が急に増えてできる腫瘍です。典型的には次のような経過をたどります。
- 増大期 — 小さな赤いブツブツが、数週間で1〜2cmほどのドーム状のしこりになる
- 成熟期 — 中央がくぼみ、そこに角質(白〜黄色の硬いかたまり)が詰まる。噴火口のような形
- 消退期 — 数か月かけて自然に小さくなり、くぼんだ傷あとを残して治ることがある
自然に治ることがある点から、以前は良性のできものと考えられてきました。しかし、顕微鏡で見ても皮膚がんの一種である有棘細胞癌と非常によく似ており、現在は「がんに近いもの」として扱うのが一般的です。自然に消えるのを待っている間に、実は有棘細胞癌だった、ということを避けるためです。
症状と、似ているできものとの見分け
| できもの | 大きくなる速さ | 見た目の特徴 |
|---|---|---|
| ケラトアカントーマ | 数週間で急に | ドーム状。中央がくぼみ、角質が詰まる |
| 有棘細胞癌 | 数か月かけて | 表面がただれる・かさぶた・出血。形がいびつ(関連記事: 有棘細胞癌) |
| 脂漏性角化症(老人性イボ) | ゆっくり(年単位) | 茶色〜黒のざらざらした盛り上がり。貼りついたような見た目 |
| 化膿性肉芽腫 | 数週間で急に | 赤くつやがあり、触ると出血しやすい |
| 粉瘤 | ゆっくり | 皮膚の下のしこり。中央に小さな黒い点(へそ)がある |
できやすい場所は、顔(鼻・頬・下まぶた・唇の周り)、手の甲、腕など日光が当たる場所です。痛みはあまりありませんが、大きくなると角質のかたまりが取れて出血することがあります。
治療
基本は、局所麻酔でできものを切除し、病理検査(顕微鏡の検査)で診断を確定することです。自然に小さくなることがあるとはいえ、見た目では有棘細胞癌と区別できないこと、大きくなると切除の範囲が広がり傷あとも大きくなることから、早い段階で取るほうが、傷も小さく済みます。
切除は通常、日帰りの手術で行います。病理検査の結果が有棘細胞癌だった場合は、取り残しがないかを確認し、必要に応じて追加の治療を行います(関連記事: 病理検査)。
体の状態や場所によって切除が難しい場合には、ほかの治療法を検討することもありますが、まずは診断をはっきりさせることが優先です。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 自然に治るなら、様子を見てもいいですか? | おすすめしません。まず診断を確かめてください | 見た目では皮膚がんと区別がつかず、待つ間に大きくなると手術の範囲も広がるためです |
| がんなのですか? | がんそのものではないことも多いですが、がんに近いものとして扱います | 顕微鏡で見ても有棘細胞癌との区別が難しいためです |
| 手術当日は仕事や家事ができますか? | 小さなものなら、多くは当日から普段の生活ができます | ただし顔の手術は腫れやあざが数日出ることがあります(関連記事: 手術当日の流れ) |
| 再発しますか? | しっかり取れていれば、同じ場所に再発することは多くありません | ただし日光によるダメージは周りの皮膚にもあるので、別の場所に新しくできないか見ていきます |
受診の目安
- 早めの受診を — 数週間〜1〜2か月で、目に見えて大きくなったできもの
- 早めの受診を — 中央がくぼみ、白〜黄色の硬いかたまりが詰まっている
- 早めの受診を — 顔・手の甲など日光の当たる場所に新しくできた盛り上がり
- 受診を — 出血する・かさぶたを繰り返す・治らない傷がある
- 受診を — 以前からあったできものの形や色が変わってきた
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しており、皮膚のできもの・しこりの日帰り手術は開業後に提供予定です。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-09-23)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-23)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

