「朝起きるとお腹に赤いブツブツが増えている」「蚊に刺されるような場所ではないのにかゆい」「家族の中で自分だけ刺される」。このような相談でよくみられるのが、家の中のダニによる刺され(虫刺症)です。蚊と違って刺されたときに気づかず、翌日以降にかゆくなることが多いため、何に刺されたのか分からないまま悩んでいる方も少なくありません。
家のダニ刺されとは(なぜ刺されるのか)
家の中にいるダニで最も多いのは、チリダニ(ヒョウヒダニ)です。チリダニは人を刺しません。ふんや死骸がアレルギーの原因になるダニです。人を刺すのは、主に次の2種類です。
- ツメダニ — 家の中で刺される原因として多いダニ。チリダニやコナダニを食べて暮らしていて、エサになるダニが増えるとツメダニも増え、偶然そばにいた人を刺します。湿気の多い梅雨から秋に増えやすく、畳・カーペット・布団・ソファなどにいます
- イエダニ — ネズミに寄生するダニ。ネズミが死んだり、駆除されていなくなったりすると、エサを求めて人を刺します。天井裏や壁の中にネズミがいる家で起こります
どちらも1mm前後かそれ以下と小さく、目で見つけることはほとんどできません。布団や服の中にもぐり込み、皮膚のやわらかい場所を刺すため、服に隠れた部分に刺し跡が集まるのが特徴です。
症状と見分け方
- 赤いブツブツ — 数mm〜1cmほどの赤く盛り上がった発疹。中央に小さな刺し口や水ぶくれができることもある
- かゆみ — 刺されたその場ではなく、しばらくしてから、または翌日からかゆくなることが多い。かゆみは1週間ほど続くこともある
- できる場所 — お腹、わき腹、太ももの内側、二の腕の内側、腰まわりなど、服の下のやわらかい場所
- 刺される人と刺されない人がいる — 同じ部屋で寝ていても、反応が出るのは一部の家族だけということがよくある
イエダニの場合は、刺される数が多く、かゆみが強い傾向があり、天井裏の物音やネズミのふんなど、ネズミの気配が手がかりになります。
家の中で夜に刺される虫には、ほかにトコジラミ、また虫刺されと間違えやすい病気に疥癬(かいせん)があります。疥癬はステロイドの塗り薬だけを使うと、かえって悪化することがあるため、見分けが大切です。
| 考えられるもの | 刺される・出る場所 | 手がかり |
|---|---|---|
| 家のダニ(ツメダニ・イエダニ) | お腹・太ももの内側など、服の下のやわらかい場所 | ブツブツはばらばらに散らばる。梅雨〜秋に多い。イエダニではネズミの気配 |
| トコジラミ(南京虫) | 首・腕・足など、寝ているときに服から出ている場所 | 2〜3個ずつ並んだり、かたまったりする。シーツに血のしみや黒い点(ふん)。旅行や引っ越しのあとに多い(関連記事: トコジラミ) |
| 疥癬(かいせん) | 指の間・手首・わき・お腹・陰部 | 夜に強いかゆみ。手に細い線のようなすじ(疥癬トンネル)。家族や施設内で同じ症状の人が出る(関連記事: 疥癬) |
| 蚊・ブユなど屋外の虫 | 手足や顔など、外で肌を出している場所 | 刺されてすぐかゆい。外出や庭仕事のあとに気づく(関連記事: 虫刺され) |
治療とセルフケア
治療の中心は、ステロイド外用薬でかゆみと赤みを抑えることです。ダニ刺されのかゆみは、ダニの成分に対する体のアレルギー反応なので、炎症を抑える薬がよく効きます。
- ステロイド外用薬 — 刺された場所の腫れやかゆみの強さに合わせて、適した強さの薬を使う
- かゆみ止めの飲み薬 — かゆみで眠れない、数が多いときに使う
- 冷やす — かゆいときは、保冷剤をタオルで包んで当てると楽になる
- かき壊さない — かき壊すと細菌が入り、とびひになることがあるため、爪を短く切っておく
数か所だけなら、市販のステロイド配合の虫刺され薬でおさまることもあります。ただし、1週間ほど使っても新しいブツブツが出続ける、数が多い場合は、刺されている原因が別にある可能性も含めて受診してください。
家の対策(ここを変えないとくり返します)
薬でかゆみを抑えても、家の中のダニが減らなければ、また刺されます。家のダニ刺されでは、住まいの対策が治療のもう半分です。
- 布団を乾燥させる — ダニは熱と乾燥に弱いため、布団乾燥機でしっかり温めるのが効果的です。天日干しは裏側や中まで熱が届きにくいので、布団乾燥機のほうが確実です
- 乾燥させたあとに掃除機をかける — 死んだダニやふんが布団に残るため、表面を掃除機でゆっくり吸い取る
- 畳・カーペット・ソファの掃除 — 掃除機は速く動かさず、ゆっくり時間をかけてかける
- 湿気を減らす — 除湿機や換気で湿度を下げる。ダニは湿気の多い環境で増えるため
- エサを減らす — 食べこぼしやほこりを減らすと、チリダニが減り、それを食べるツメダニも減る
イエダニの場合は、ネズミ対策が欠かせません。侵入口をふさぎ、必要に応じて専門の業者に相談してください。注意したいのは、ネズミを駆除した直後は、行き場を失ったイエダニが人を刺しやすくなることです。ネズミの巣の撤去や、くん煙タイプの殺虫剤など、ダニへの対策も同時に行いましょう。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 家族の中で、なぜ私だけ刺されるのですか? | ほかの家族も刺されていて、反応が出ていないだけのことがよくあります | ダニ刺されのかゆみはアレルギー反応なので、同じように刺されても、赤くかゆくなるかどうかは人によって違います |
| 人にうつりますか? | うつりません | ダニは人の体に住みつかないため、人から人へ移ることはありません。この点は、人から人へうつる疥癬と大きく違います |
| 布団を買い替えれば解決しますか? | 買い替えだけでは解決しないことが多いです | ダニは畳やカーペットなど部屋全体にいるため、新しい布団にもすぐに移ります。乾燥と掃除を続けることが大切です |
| ダニ用のスプレーを使えば大丈夫ですか? | 補助にはなりますが、それだけでは不十分です | ダニのエサや湿気が残っていると、また増えるためです。乾燥・掃除・除湿と組み合わせてください |
受診の目安
- 受診を — 1週間以上、新しいブツブツが出続ける
- 受診を — かゆみで眠れない、市販薬でおさまらない
- 早めの受診を — 指の間や手首にもブツブツがある、夜のかゆみが強い、家族や同居者にも同じ症状が出ている(疥癬の可能性)
- 早めの受診を — かき壊してじくじくする、黄色いかさぶたができる(とびひの可能性)
- 早めの受診を — 刺された場所のまわりが大きく赤く腫れて熱を持つ、熱が出た
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ダニ類による感染症(確認日: 2026-09-24)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 虫さされ(確認日: 2026-09-24)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

