「冬になるとすねが白く粉をふいて、ひび割れ模様になる」「保湿してもすぐにカサカサに戻る」「親も同じような肌だった」。こうした悩みは、ただの乾燥肌ではなく、体質としての乾燥が関係していることがあります。病名はこわそうに聞こえますが、うつるものではなく、命にかかわるものでもありません。
尋常性魚鱗癬とは(なぜカサカサしやすいのか)
皮膚のいちばん外側には、角層(かくそう)と呼ばれる薄い膜があり、水分を逃がさないバリアの役目をしています。このバリアをつくる材料のひとつに、フィラグリンというたんぱく質があります。
尋常性魚鱗癬では、生まれつきこのフィラグリンが少なく、角層が水分を抱えにくくなっています。さらに、古い角層がはがれにくく、皮膚の表面に厚く積み重なるため、うろこのような模様に見えます。親から子へ受け継がれることが多く、家族に同じような肌の方がいるのが特徴です。
アトピー性皮膚炎と一緒にみられることも多く、バリアが弱い分、かぶれや湿疹も起こしやすくなります(関連記事: アトピー性皮膚炎)。
症状と見分け方
- すね・腕の外側・背中に、白っぽい〜灰色のうろこ状のカサカサが出る
- ひじの内側・ひざの裏・わきの下など、曲がるところにはほとんど出ない
- 手のひら・足の裏のしわが深く、多いことがある
- 乳幼児期から目立ち始め、冬に悪化し、夏は軽くなる
- かゆみは軽いことが多いが、乾燥がひどい時期や、湿疹を合併したときは強くなる
| 考えられるもの | いつから | 特徴 |
|---|---|---|
| 尋常性魚鱗癬 | 子どものころから | すねなどにうろこ状の模様。曲がるところには出にくい。家族に同じ肌の人がいることが多い |
| 乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹) | 中高年以降・冬に多い | すねの粉ふき・ひび割れ模様。年齢とともに皮脂が減ることが主な原因(関連記事: 乾燥肌) |
| アトピー性皮膚炎 | 乳幼児期から | 強いかゆみのある湿疹が、ひじの内側・ひざの裏など曲がるところに出やすい |
| 大人になってから急に出たうろこ状の乾燥 | 成人以降 | 体質ではなく、ほかの病気や薬が関係していることがあるため、一度診察を受けてほしい |
治療と毎日のケア
治療の中心は保湿です。体質そのものをなくす治療はありませんが、保湿で角層に水分を補い、厚くなった角層をやわらかくすることで、見た目もかゆみも改善します。
- ヘパリン類似物質 — 水分を抱え込む保湿剤。刺激が少なく、子どもにも使いやすい(関連記事: ヘパリン類似物質)
- 尿素の入った保湿剤 — 厚くなった角層をやわらかくする力がある。ただし、ひび割れや、かき傷があるところではしみることがあるため、傷があるうちは避ける
- ワセリン — 表面を覆って水分の蒸発を防ぐ。しみにくいので、傷があるところにも使える
- サリチル酸の入った軟膏 — うろこが厚いところに使うことがある。広い範囲に長く使うかどうかは医師と相談する
- 湿疹を合併したとき — ステロイドの塗り薬で炎症を抑えてから、保湿に戻す
塗り方のコツは、お風呂から上がってすぐ、皮膚がしっとりしているうちに塗ることです。時間がたつほど角層から水分が逃げていくためです。量はケチらず、塗ったあとに皮膚がしっとり光るくらいが目安です(関連記事: 保湿剤の種類と使い分け)。
入浴では、ナイロンタオルでこすらないことも大切です。うろこを落とそうと強くこすると、バリアがさらに傷み、かえってカサカサが悪化するためです。石けんをよく泡立てて、手でなでるように洗ってください。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 治りますか? | 体質そのものは残りますが、保湿を続ければ目立たない状態を保てます | 生まれつきのバリアの弱さが原因のため、保湿をやめると元に戻りやすいためです |
| 子どもに遺伝しますか? | 受け継がれることがあります | ただし程度は人によって違い、軽い人は乾燥肌と区別がつかないくらいのこともあります |
| 夏は保湿をやめてもいいですか? | 軽くなったら回数を減らしてかまいません | 汗と湿気で角層がうるおう季節は症状が軽くなるためです。秋に乾燥を感じ始めたら、早めに再開してください |
| 市販の保湿剤でもいいですか? | かまいません。続けられるものを選んでください | 毎日続けることがいちばん効果に関わるためです。範囲が広い、湿疹を合併している場合は受診をおすすめします |
受診の目安
- 受診を — 保湿を続けても、カサカサやひび割れが改善しない
- 受診を — かゆみが強く、かき傷や湿疹ができている
- 受診を — 子どもの皮膚がうろこ状で、アトピー性皮膚炎との区別がつかない
- 早めの受診を — 大人になってから急にうろこ状の乾燥が広がってきた(ほかの病気や薬が関係していることがあるため)
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(確認日: 2026-09-26)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-26)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

