「スキー場で指先の感覚がなくなった」「冬の登山のあと、足の指が白くろうのようになっていた」「保冷剤をじかに当てていたら、皮膚が赤黒くなった」。日常ではなじみの薄い凍傷ですが、冬のレジャーや屋外の仕事、保冷剤やドライアイスの扱いで起こることがあります。応急処置を間違えると傷を深くしてしまうため、正しい手順を知っておきましょう。
凍傷とは(しもやけとの違い)
皮膚が0℃を下回る冷たさに長くさらされると、組織の中の水分が凍って、細胞が直接傷つきます。さらに血管が縮んで血の流れが止まり、温まる過程でも傷が広がります。これが凍傷です。
一方、しもやけ(凍瘡)は、凍るほどではない寒さと、1日の中の寒暖差で血の巡りが悪くなり、赤く腫れてかゆくなる状態です(関連記事: しもやけ)。
| 比べるところ | しもやけ(凍瘡) | 凍傷 |
|---|---|---|
| 起こる状況 | 日常の冬の寒さ、寒暖差 | 氷点下の屋外に長くいた、冷たい物にじかに長く触れた |
| 見た目 | 赤紫に腫れる | 白・灰色・黄色っぽく硬くなる → 温めると赤み・水ぶくれ・黒い変色 |
| 感覚 | かゆい、温まるとむずがゆい | しびれる、感覚がない → 温めると強い痛み |
| 起こりやすい場所 | 手足の指、耳たぶ、ほお | 手足の指、耳、鼻、ほお |
症状と深さの見分け
凍傷は、やけどと同じように深さで分けて考えます。最初の見た目だけでは深さがわかりにくく、温めてから数日かけてはっきりしてくるのが特徴です。
- 浅い凍傷 — 皮膚が白っぽく、しびれる。温めると赤く腫れてヒリヒリする。多くは跡を残さずに治ります
- 中くらいの凍傷 — 温めたあと、1日ほどで透明な水ぶくれができる
- 深い凍傷 — 血の混じった水ぶくれ、紫〜黒っぽい変色、触っても感覚がない。組織が死んでしまい(壊死)、治療に長い期間がかかることがあります
寒い場所では、体全体が冷える「低体温症」も同時に起きていないかに注意してください。ふるえが止まらない、ろれつが回らない、ぼんやりしているのは、全身が危険な状態のサインです。
応急処置と治療
いちばん大切なのは「こすらない」「火やストーブであぶらない」ことです。凍った組織はもろく、こすると傷が深くなります。感覚がないため、ストーブやカイロでは気づかないうちにやけどをしてしまいます。
- 暖かい場所へ移動する — 濡れた手袋や靴下を脱ぎ、指輪など締めつける物を外す(腫れてくると外せなくなるため)
- 40℃前後のぬるま湯につけて温める — 皮膚が柔らかくなり、赤みが戻るまで。温める途中で強い痛みが出るのは、血の流れが戻ってきているサインです
- 再び冷える可能性があるなら、その場では温めない — 温めたあとにもう一度凍ると、傷がより深くなるため。安全な場所へ移動してから温めます
- 水ぶくれは破らない — 感染を防ぐため。清潔なガーゼで覆い、受診してください
医療機関では、痛み止め、傷の処置、感染の予防を行います。深い凍傷では、壊死した部分との境目がはっきりするまで数週間待ってから、必要な範囲の処置を判断することが多いです。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 雪でこすって温めるといいと聞きました。 | してはいけません | さらに冷やしたうえに、こすって組織を傷つけるためです。ぬるま湯で温めるのが正しい方法です |
| 保冷剤で冷やしていたら、皮膚が赤黒くなりました。 | 保冷剤による凍傷の可能性があります。受診してください | 保冷剤やドライアイスを皮膚にじかに長く当てると、凍傷になることがあるためです。冷やすときは必ずタオルで包みます |
| 凍傷を防ぐには、何に気をつければいいですか? | 濡れたままにしない、締めつけない、重ね着する | 濡れた皮膚は熱を奪われやすく、締めつけは血の流れを悪くするためです。喫煙や飲酒も血の巡りに影響します |
受診の目安
- すぐに救急へ — ふるえが止まらない、ろれつが回らない、意識がぼんやりしている(低体温症の疑い)。119番へ。迷うときは救急安心センター(#7119)に相談してください
- 当日中の受診を — 温めても感覚が戻らない、白・灰色・紫〜黒っぽい部分がある、血の混じった水ぶくれがある
- 早めの受診を — 透明な水ぶくれができた、赤く腫れて痛みが続く
- 受診を — 毎年冬になると指が赤く腫れてかゆい(しもやけの治療)
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-27)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-27)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

