DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
「熱湯がかかった」「フライパンに触れた」「湯たんぽで寝ていたら朝に赤くなっていた」——やけどは家庭で起こりやすく、最初の数分の対応でその後の経過が変わります。反対に、よく知られた民間療法の中には、傷を深くしてしまうものもあります。ここでは、その場ですべきことと受診の線引きを整理します。
目次
やけどの深さと見た目
やけどは、熱が皮膚のどこまで届いたかによって分類されます。深いほど痛みが乏しくなることがあり、「痛くないから軽い」とは限りません。
| 深さ | 見た目 | 痛み・経過 |
|---|---|---|
| I度(表皮まで) | 赤くなる。水ぶくれはない | ヒリヒリする。数日で落ち着き、あとを残しにくい |
| 浅いII度(真皮浅層) | 水ぶくれができる。底は赤い | 強く痛む。1〜2週間で治ることが多い |
| 深いII度(真皮深層) | 水ぶくれの底が白っぽい | 痛みが鈍い。治るのに3週間以上かかり、あとが残りやすい |
| III度(皮下まで) | 白色・褐色・黒色に硬くなる | 痛みを感じない。自然には治らず、専門的な治療が必要 |
その場でやること(応急処置)
- すぐ冷やす — 水道の流水を、痛みが和らぐまで15〜20分を目安に当てます。勢いを強くしすぎず、患部の少し上から流します。氷や保冷剤を直接当てるのは、凍傷や血流の低下を招くため避けます
- 衣服の上からかかった場合は、服を脱がせずそのまま冷やす — 無理に脱がせると皮膚がはがれることがあります。衣服の上から流水を当てます
- 指輪・時計・ベルトを外す — あとから腫れて締めつけになります
- 広い範囲・小さな子ども・高齢者は冷やしすぎに注意 — 体温が下がりやすいため、全身を冷水につけ続けるのは避け、患部を中心に冷やして受診します
- 清潔なもので覆う — 冷やしたあとは、ラップや清潔なガーゼでそっと覆い、乾燥と摩擦から守ります
やってはいけないこと
- 水ぶくれを自分で破る — 水ぶくれの膜は傷を守る覆いです。破ると痛みが増し、感染しやすくなります
- 油・味噌・アロエ・歯磨き粉などを塗る — かぶれや感染のもとになります。医療機関での観察も難しくなります
- 消毒薬を塗り込む — 傷を治す細胞にも障害となることがあり、現在は必須の処置とは考えられていません
- 冷やさずに我慢する — 熱は受傷直後も皮膚の中に残り、やけどの深さを進めます
低温やけどに注意
44〜50度程度の「熱いと感じない温度」でも、長時間触れていると深いやけどになります。湯たんぽ、電気あんか、カイロ、ノートパソコンの排気、長時間の入浴後の暖房器具などが原因になります。
- 見た目は赤いだけ・小さい範囲でも、深くまで届いていることがあります
- 痛みが弱く、気づくのが遅れます
- 糖尿病や神経の病気で感覚が鈍い方、就寝中の使用では特に起こりやすくなります
- 治るのに時間がかかり、皮膚移植などの処置が必要になる場合があります
「小さいから大丈夫」と判断せず、低温やけどが疑われる場合は一度診てもらうほうが安全です。
受診の目安
- 手のひらよりも広い範囲のやけど(小児ではより狭くても受診の対象になります)
- 顔・首・手・足・関節・陰部のやけど — あとの残り方や動きに関わります
- 水ぶくれがある、破れている
- 白っぽい・黒い・痛みを感じない — 深いやけどのサインです
- 低温やけどの疑い(暖房器具に長時間触れていた)
- 電気・化学薬品によるやけど、煙を吸い込んだ可能性がある場合
- 数日後に赤みが広がる・膿む・熱が出る(感染が疑われます)
- 糖尿病など、傷が治りにくい持病がある
広範囲のやけど、意識がもうろうとする、呼吸が苦しいといった状態は救急要請(119番)の対象です。受診すべきか判断に迷う場合は、救急安心センター(#7119)や子ども医療電話相談(#8000)で相談できます。
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しており、開業後は日常生活で起こるやけどの診察と、専門的な治療が必要な場合の医療機関のご案内を行う予定です。
※特定の医療機関を指すものではありません。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(一覧)(確認日: 2026-09-01)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン・指針一覧(確認日: 2026-09-01)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

