「髪を乾かしていたら、10円玉くらいの髪のない場所を見つけた」「頭をよく触っていて、一部だけ髪が短く切れている」「頭にフケのようなものがあって、そこだけ髪が抜ける」。子どもの髪が抜けると、保護者の方は「何か大きな病気では」「ストレスをかけてしまったのでは」と心配になります。まずは、どのタイプかを知ることが第一歩です。
子どもの脱毛の主な原因(なぜ抜けるのか)
髪の毛は、伸びる時期・休む時期・抜ける時期をくり返して生え変わっています(毛周期)。子どもの脱毛は、この毛周期が乱れるものと、毛が外から抜かれたり、切れたりするものに分けて考えると整理しやすくなります。
- 円形脱毛症 — 体の免疫が、誤って自分の毛根を攻撃してしまう病気。子どもにも起こり、アトピー性皮膚炎などのアレルギーの体質がある子で見られることがあります(関連記事: 円形脱毛症)
- 抜毛症(ばつもうしょう) — 無意識や、気持ちを落ち着かせるために、自分で髪を抜いてしまう状態。学童期に見られることが多いです(関連記事: 抜毛症)
- 頭部白癬(とうぶはくせん) — 水虫と同じカビ(真菌)が頭皮に感染したもの。ペットや、格闘技などの接触からうつることがあります(関連記事: 頭部白癬)
- 牽引性脱毛 — ポニーテールなどで同じ場所を強く引っぱり続けて、生え際などが薄くなるもの(関連記事: 牽引性脱毛症)
症状と見分け方
| 原因 | 髪の抜け方・頭皮の見た目 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 円形脱毛症 | 境目のはっきりした、丸い髪のない場所。頭皮はつるっとしている | 抜けた場所のふちに、根元が細くなった短い毛が見えることがある。爪に小さなへこみが出ることも |
| 抜毛症 | 形がいびつで、長さの違う毛や、途中で切れた毛が残る | 手の届きやすい側(利き手側)に多い。触る・抜く様子を家族が見ていることがある |
| 頭部白癬 | フケのような白い粉、かさぶた、赤み。毛が途中で折れる | ペットに脱毛がある、同じ部活の仲間に似た症状がある。顕微鏡の検査でカビを確かめる |
| 牽引性脱毛 | 生え際や分け目が少しずつ薄くなる | いつも同じ髪型で強く結んでいる |
頭部白癬の中には、頭皮が大きく腫れて膿が出る「ケルスス禿瘡(とくそう)」という強い炎症になるものがあります。これを細菌の感染と間違えて治療すると、治りにくくなることがあるため、早めに皮膚科で調べることが大切です。
治療と、保護者ができること
治療は原因によってまったく違います。
- 円形脱毛症 — ステロイドの塗り薬などが中心です。小さなものは自然に生えてくることも多い一方、範囲が広い場合は、年齢に応じた治療を相談します
- 抜毛症 — 叱らずに、抜いてしまう状況や気持ちを一緒に振り返ることが治療の中心です。必要に応じて、小児科や児童精神科と連携します
- 頭部白癬 — 塗り薬だけでは毛の奥まで届きにくいため、カビを抑える飲み薬を使うことが多いです。ペットにも症状があれば、動物病院での治療も必要です(関連記事: ペットからうつる白癬)
- 牽引性脱毛 — 髪型を変え、結ぶ位置をときどき変えることで、多くは改善が期待できます
保護者の方ができることとして、「抜けた場所の写真を月に1回ほど撮っておく」ことをおすすめします。広がっているのか、生えてきているのかを、客観的に比べられるためです。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| ストレスが原因ですか?親のせいでしょうか? | 親のせいではありません | 円形脱毛症は免疫のしくみの病気で、ストレスだけで起こるものではないためです。自分を責めずに、治療を一緒に進めましょう |
| 学校や園は休ませるべきですか? | 円形脱毛症・抜毛症・牽引性脱毛は、休む必要はありません | 人にうつらないためです。頭部白癬はうつることがあるため、治療を始め、帽子やタオル・くしの共用を避けてください(関連記事: 学校・園を休む皮膚の病気) |
| 本人にどう声をかければいいですか? | 「病院で診てもらおうね」と、責めずに伝えてください | 抜けたことを強く指摘すると、気にして触ったり、かえって抜いてしまったりすることがあるためです |
受診の目安
- 受診を — 頭に髪のない場所・薄い場所を見つけた
- 早めの受診を — 抜けている場所が広がっている、いくつも出てきた、まゆ毛やまつ毛も抜けている
- 早めの受診を — 頭皮にフケ・かさぶた・赤み・腫れ・膿がある、ペットにも脱毛がある
- 受診を — 髪を抜く癖がやめられず、本人がつらそうにしている
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関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 脱毛症(確認日: 2026-09-27)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 白癬(確認日: 2026-09-27)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

