「すねがずっとかゆくて、かいているうちに茶色いブツブツが固まってきた」「背中の肩甲骨のあたりが黒ずんでザラザラする」「湿疹の薬を塗っても、なかなか平らにならない」。中高年の方に多い相談です。見た目が湿疹に似ているため、長く湿疹として治療されていることもあります。
アミロイド苔癬とは(仕組み)
アミロイドとは、たんぱく質が変化して固まったものです。アミロイド苔癬では、皮膚のすぐ下(真皮の浅いところ)に、このアミロイドが少しずつたまっていきます。全身の臓器にたまる「アミロイドーシス」という病気とは別で、皮膚だけにとどまるタイプです。
たまる原因として考えられているのが、かく・こするといった刺激の繰り返しです。刺激で傷んだ皮膚の細胞から出たたんぱく質がアミロイドに変わり、皮膚の浅いところに残ると考えられています。つまり「かゆいからかく → かくとアミロイドがたまる → さらにかゆくなる」という悪循環が起こりやすい病気です。
大きく次の2つのタイプがあります。
- 苔癬型(ブツブツ型): すねに多い。米粒くらいまでの硬い茶色のブツブツが密に集まり、表面がザラザラします。かゆみが強いのが特徴です
- 斑状型(しみ型): 背中の肩甲骨の間などに多い。さざ波のような網目状の茶色い色素沈着として見えます。ナイロンタオルやブラシで体を強くこする習慣との関係が知られています
症状・見分け方
アミロイド苔癬は、「茶色い」「硬い」「ザラザラ」「長く続く」がそろうのが特徴です。似た見た目の病気との違いは次のとおりです。
| 病気 | できやすい場所 | 見た目 | かゆみ |
|---|---|---|---|
| アミロイド苔癬 | すね、背中、腕の外側 | 茶色く硬い小さなブツブツが密集。表面がザラザラ | 強い。年単位で続く |
| 慢性湿疹(慢性単純性苔癬) | 首の後ろ、すね、陰部など | 皮膚が厚く硬くなり、しわが深くなる | 強い |
| 摩擦黒皮症 | 背中、鎖骨、腕 | こする場所に一致した茶色〜灰色の色素沈着。ブツブツは目立たない | ない〜軽い |
| 痒疹 | 手足、体 | 硬く盛り上がったしこりが点々と散らばる | 非常に強い |
見た目で見当はつきますが、湿疹や痒疹とはっきり区別がつかない場合は、皮膚を小さく取って顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)でアミロイドがたまっているかを確かめます。局所麻酔で行い、数ミリの小さな傷で済む検査です。
治療・セルフケア
アミロイド苔癬は治るまでに時間がかかる病気です。たまったアミロイドがなくなるのはゆっくりなので、「まずかゆみを止めて、かく回数を減らす」ことを最初の目標にします。かゆみが減れば、ブツブツは少しずつ平らになっていきます。
- 強めのステロイド外用薬: 治療の中心です。皮膚が厚いので、強さのランクが高めの薬を使うことが多く、上から保護テープやラップで覆って効きを高める方法をとることもあります
- かゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬): 夜間のかゆみで目が覚める場合などに併用します
- 保湿剤: すねは乾燥しやすく、乾燥はかゆみを強めます。治療中もずっと続けてください
- 紫外線治療: 範囲が広く、塗り薬だけでは難しい場合に検討することがあります
そして、薬と同じくらい大切なのが刺激をやめることです。
- ナイロンタオル・ボディブラシをやめる: 手や柔らかい綿のタオルで、泡で洗うようにしてください。斑状型は、これだけで進行が止まることもあります
- かきたくなったら冷やす: 保冷剤をタオルで包んで当てると、かゆみが一時的におさまります。かくよりも皮膚へのダメージがずっと少ない方法です
- 爪を短く切る: 寝ている間に無意識にかいてしまうのを、少しでも浅くするためです
受診の目安
- すねや背中のかゆいブツブツが、1か月以上続いている
- 市販のかゆみ止めや湿疹の薬で良くならない
- かゆみで眠れない、仕事に集中できない
- ブツブツが茶色く硬くなり、範囲が広がってきた
長く「湿疹」として治療していても良くならない場合は、一度診断を見直すきっかけになります。どの薬をどのくらい使ってきたかが分かるよう、お薬手帳を持参してください。
よくある質問
体を洗うとき、ナイロンタオルを使わないと汚れが落ちない気がします
皮膚の汚れや汗は、石けんの泡を手でなでるようにのせるだけで十分に落ちます。ナイロンタオルでこすると、汚れと一緒に皮膚の表面のバリアまで削り取ってしまい、乾燥やかゆみ、色素沈着の原因になります。「ゴシゴシ洗わないと気持ち悪い」という方も、2〜3週間続けると慣れることが多いです。
茶色い色は消えますか?
かゆみが止まり、かく刺激がなくなると、ブツブツは少しずつ平らになり、色も年単位でゆっくり薄くなっていきます。ただ、すっかり元通りになるまでには長い時間がかかることが多い病気です。まずはかゆみをなくし、これ以上濃くしないことを目標にしてください。
全身の病気(アミロイドーシス)が隠れていることはありますか?
アミロイド苔癬は、皮膚だけにアミロイドがたまるタイプで、通常は内臓の病気とは関係ありません。ただ、まぶたの紫斑、舌が大きくなる、むくみや息切れなど、皮膚以外の症状がある場合は別の病気を考えるため、診察のときに伝えてください。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-02)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-02)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

