放射線治療で皮膚が赤い・ヒリヒリする(放射線皮膚炎)|治療中にしてよいケア・避けたいことと、相談の目安

放射線治療で皮膚が赤い・ヒリヒリする(放射線皮膚炎)|治療中にしてよいケア・避けたいことと、相談の目安
DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
更新日: 2026年10月2日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

「照射しているところが日焼けしたように赤くなってきた」「下着がこすれてヒリヒリする」「保湿剤を塗っていいのか分からない」。乳がんや頭頸部(首まわり)のがんなどで放射線治療を受けている方、またそのご家族からよく聞かれる不安です。

目次

放射線皮膚炎とは(仕組み)

放射線は、体の外から皮膚を通ってがんのある場所に届きます。そのとき、皮膚の細胞も少しずつ影響を受けます。とくに皮膚の表面をつくり替える細胞は分裂が盛んなため影響を受けやすく、新しい皮膚が作られにくくなることで、赤み・乾燥・皮むけが起こります。

SKIN STRUCTURE — CROSS SECTION 表皮(バリアの層・約0.2mm) 真皮(弾力を支える層) 皮下組織(脂肪の層) 毛穴(毛包) 皮脂腺皮脂を分泌して肌を保護 汗腺汗をつくる バリアのすき間から刺激が入り込む
放射線で皮膚の生まれ変わりが遅れると、バリアが弱り赤みやヒリヒリが出やすくなります図: あび皮膚科メディア編集部作成(イメージ図であり、実際の構造を簡略化しています)

症状は照射を始めて2〜3週間ごろから出てきて、治療の後半から終了直後にかけていちばん強くなることが多いです。わきの下、首、乳房の下、お尻など、皮膚どうしがこすれる場所や汗がたまる場所は強く出やすい傾向があります。

症状・経過の目安

症状は段階的に進みます。どの段階かによって、セルフケアで様子をみてよいか、相談が必要かが変わります。

段階 皮膚の様子 対応の目安
軽い 日焼けのような赤み、つっぱり、かゆみ、乾燥して皮がむける やさしいケアを続け、治療時に伝える
中くらい 赤みが強く痛む、しわの部分で皮がむけてじくじくする 放射線治療チームに相談。塗り薬や保護材を使う
強い しわ以外でもじくじくが広がる、出血、強い痛み 早めに相談。治療計画の調整を検討することもある

治療が終わると、多くは2〜4週間ほどで赤みやじくじくが落ち着き、その後は色が少し茶色っぽく残ることがあります。この色も時間をかけて薄くなっていきます。

また、治療が終わって数か月〜数年たってから、照射した部分の皮膚が薄く硬くなる、細い血管が浮き出る、乾燥しやすくなるといった変化(晩期の変化)が出ることがあります。この部分は傷が治りにくいことがあるため、傷やただれが長引くときは早めに相談してください。

治療中のケア(してよいこと・避けたいこと)

基本は「清潔に・こすらず・乾燥させず・刺激を足さない」です。施設ごとに方針が異なることがあるので、迷ったときは放射線治療チームの指示を優先してください。

してよいこと

  • ぬるめのお湯でやさしく洗う: 洗わないほうが皮膚炎が悪化しにくい、ということはありません。低刺激の石けんを泡立てて手でなでるように洗い、シャワーでよく流します
  • タオルは押さえるように拭く: こすると皮膚がむけやすくなるためです
  • 指示された保湿剤を塗る: 乾燥はかゆみやひび割れを招きます。照射の直前に塗るかどうかは施設の方針に従ってください
  • やわらかい綿の下着、ゆったりした服: 摩擦を減らすためです。乳がんの治療中は、ワイヤー入りの下着を避ける方も多いです

避けたいこと

  • 照射部位にテープや湿布を貼る: はがすときに皮膚がむけてしまいます
  • 熱いお湯、長風呂、サウナ、カイロ: 熱で赤みやヒリヒリが強くなります
  • カミソリでの剃毛: 照射部位の毛を処理するなら電気シェーバーを使います
  • 自己判断で市販薬や新しい化粧品を塗る: 成分によってはかぶれを起こし、放射線皮膚炎と区別がつきにくくなります
  • 照射部位の日焼け: 治療中も治療後も、帽子や衣服で日差しを避けてください

受診・相談の目安

放射線皮膚炎の相談先は、まず放射線治療を受けている医療機関です。次のような場合は、次回の照射を待たずに連絡してください。

  • 皮膚がじくじくしてきた、出血している
  • 痛みが強くて眠れない、服が着られない
  • 照射部位が腫れて熱をもつ、膿が出る、発熱がある(細菌感染の可能性があります)
  • 照射していない場所にも発疹が広がってきた(薬疹など別の原因の可能性があります)

治療が終わったあとの色素沈着、乾燥、皮膚の硬さ、治りにくい傷については、皮膚科で相談することもできます。その際は、照射した時期と部位が分かるメモがあると診察がスムーズです。

よくある質問

照射部位に描かれた線(マーキング)が消えないように洗うのが不安です

マーキングは治療の位置合わせに大切なものなので、こすり洗いは避け、泡をのせて流す程度にしてください。薄くなってきたら自分で描き足さず、治療スタッフに伝えれば描き直してもらえます。

デオドラントは使ってもいいですか?

わきの下が照射範囲に入っている場合、制汗剤やデオドラントの成分が刺激になることがあります。使ってよいか、どの製品ならよいかは施設によって方針が異なるため、治療チームに確認してください。

放射線を受けた皮膚は、ずっと弱いままですか?

多くの場合、治療後の赤みやじくじくはきちんと治ります。ただ、照射した部分の皮膚は、年単位で乾燥しやすさや薄さが残ることがあります。保湿と紫外線対策を続け、傷ができたら早めにケアすることで、トラブルを減らせます。

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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