がん治療中の皮膚トラブル|手足のひび割れ・ニキビ様の発疹・爪の変化への対処と相談先

がん治療中の皮膚トラブル|手足のひび割れ・ニキビ様の発疹・爪の変化への対処と相談先
DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
更新日: 2026年9月13日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

抗がん剤や分子標的薬、免疫の働きを利用する薬では、皮膚・爪・髪に変化が出ることがあります。これらは効果と表裏の関係にあることも多く、「出たから効いていない」わけではありません。ここでは、よくある変化と、家でできる手当てを整理します。

目次

よくある皮膚の変化と、その理由

変化 どんな症状か 主な対処
手足の皮膚障害(手足症候群) 手のひら・足の裏の赤み、ヒリヒリ、角が厚くなる、ひび割れ、水ぶくれ。歩行や物を持つのがつらくなる 保湿の徹底、圧迫・摩擦・熱を避ける、必要に応じて外用薬。厚くなった角質の処置
ざ瘡様皮疹(ニキビのような発疹) 顔・頭・胸・背中に赤いブツブツや膿をもった発疹。治療開始後、数日〜数週間で出やすい 抗菌薬の外用・内服、ステロイド外用。ニキビの市販薬は合わないことがある
乾燥・かゆみ 全身がカサカサし、粉をふく。夜かゆい 保湿剤をたっぷり、回数多く。かゆみ止めの内服
爪の変化・爪のまわりの炎症 爪がもろい、横筋、色が変わる、爪の脇が赤く腫れて痛い(肉芽ができることも) 深爪を避ける、保護、外用。悪化時は処置(関連記事: ひょう疽・爪囲炎)
色素沈着 手指・顔・爪が黒ずむ 日焼け対策。多くは治療終了後に徐々に薄くなる
脱毛 髪・まゆ毛・まつ毛が抜ける 治療終了後に生えてくることが多い。頭皮も保湿し、刺激を減らす
SKIN STRUCTURE — CROSS SECTION 表皮(バリアの層・約0.2mm) 真皮(弾力を支える層) 皮下組織(脂肪の層) 毛穴(毛包) 皮脂腺皮脂を分泌して肌を保護 汗腺汗をつくる 皮膚の表面が粉をふき、ひび割れる
治療中はバリアが弱り、水分が逃げやすくなる。保湿は「症状が出る前から」が要点図: あび皮膚科メディア編集部作成(イメージ図であり、実際の構造を簡略化しています)

家でできること: 予防が最も効く

皮膚障害は、出てから対処するより、始まる前から守るほうが軽く済みます。治療開始の時点で、次のことを習慣にしてください。

  • 保湿を1日2回以上 — 入浴後5分以内と、寝る前。手足は多めに。量が足りないことが、うまくいかない最大の理由です(関連記事: 保湿剤の種類と使い分け)
  • 摩擦・圧迫・熱を減らす — きつい靴を避け、クッション性のある中敷きを使う。重い荷物を長く持たない。熱い湯に長くつからない。手足症候群は、力がかかる場所から出るためです
  • 刺激の少ない洗い方 — 泡でやさしく、ナイロンタオルでこすらない。洗浄力の強すぎる洗剤や、アルコールを多く含むものは避ける
  • 日焼け対策 — 治療中は光に過敏になることがあります。日焼け止めと、帽子・衣類での物理的な遮蔽を(関連記事: 光線過敏症)
  • 爪を守る — 深爪をしない、水仕事は手袋、マニキュアやジェルで隠さずに状態を見えるようにしておく
  • 市販薬を自己判断で重ねない — 見た目が似ていても、原因が違えば正解が変わります

診察室でよく聞かれる質問

質問 答え 理由
皮膚がつらい。薬を減らしていい? 自己判断で中断しないでください。必ず主治医に相談を 休薬や減量は治療全体に関わる判断で、皮膚の対処で続けられることも多いためです
どこに相談すればいい? まず主治医。皮膚の対処は皮膚科と連携します 使っている薬の種類と時期の情報がないと、皮膚科も正しく判断できないためです
発疹が出た。効いている証拠? 関連が指摘される薬もありますが、我慢する理由にはなりません 適切に対処したほうが、結果的に治療を続けやすくなるためです
保湿剤は何を使えば? しみないもの。傷やひび割れには白色ワセリンが無難 尿素を含むものは、ひび割れにしみることがあるためです
ネイルで爪を隠していい? おすすめしません 変化が見えなくなり、感染の発見が遅れることがあるためです(関連記事: ジェルネイルと爪のトラブル)
受診のとき何を持っていけば? お薬手帳と、治療のスケジュールが分かるもの いつ始めて何日目かが、原因と対処を決める材料になるためです

受診・連絡の目安

  • すぐに主治医へ連絡 — 38℃以上の発熱(治療中は感染が重くなることがあります)/広い範囲が急に赤くなる/口の中・目・陰部にただれが出た/皮膚がずるむけるように剥がれる(重い薬の反応のことがあります)
  • 早めに受診 — 手足の痛みで歩けない・物が持てない/ひび割れから出血する/爪のまわりが赤く腫れて痛む/膿が出る
  • 相談を — かゆみで眠れない/保湿を続けても乾燥が改善しない/発疹が広がってきた
  • 夜間・休日で判断に迷うときは、治療を受けている医療機関の連絡先へ。連絡先が分からない場合は救急安心センター(#7119)が利用できます

あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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