「毎年夏になると、ワキの下がただれて痛い」「湿疹やカンジダと言われて薬を塗ると一度よくなるが、また繰り返す」「親も同じような症状があった」。ヘイリー・ヘイリー病は、こうした繰り返す経過が手がかりになる病気です。
ヘイリー・ヘイリー病とは(仕組み)
皮膚の表面にある細胞どうしは、「接着剤」のような構造でしっかりくっついています。ヘイリー・ヘイリー病では、生まれつきこの接着がゆるみやすく、汗や摩擦などの刺激で、細胞どうしがはがれてしまうことで水ぶくれやただれができます。
- 遺伝による体質の病気で、親から子へ受け継がれることがあります(家族内で同じ症状がないこともあります)
- 症状は10代後半〜40代ごろに出始めることが多いです
- 名前に「天疱瘡」とつきますが、自己免疫の病気である天疱瘡とは別の病気です
- 人にうつる病気ではありません
症状・見分け方
- 首・ワキ・脚の付け根・陰部・お尻の割れ目・乳房の下など、こすれやすくむれやすい場所
- 小さな水ぶくれがすぐに破れて、赤いただれ・ひび割れ(亀裂)になる
- かゆみ、ヒリヒリした痛み、においを伴うことがある
- 夏・汗をかく季節・体調を崩したときに悪化し、冬は落ち着くことが多い
| 病気 | 原因 | 見分けの手がかり |
|---|---|---|
| 間擦疹(こすれによる湿疹) | 汗と摩擦 | 赤み・ただれ。ステロイドで治り、繰り返しは比較的少ない |
| 皮膚カンジダ症 | カビ(真菌) | 赤いただれの周りに、小さな膿のブツブツが散らばる |
| いんきんたむし(股部白癬) | カビ(真菌) | ふちが盛り上がった輪の形。かゆみが強い |
| ヘイリー・ヘイリー病 | 体質(遺伝) | 毎年夏に同じ場所で繰り返す。家族に同じ症状。ひび割れが目立つ |
ヘイリー・ヘイリー病のただれには、カンジダや細菌、ヘルペスウイルスがあとから感染することがあり、これが悪化の大きな原因になります。皮膚科では、カビの検査や、必要に応じて皮膚の一部を取って調べる検査(皮膚生検)で診断します。
治療・セルフケア
悪化したときは、ステロイドの塗り薬で炎症を抑えるのが基本です。カンジダや細菌の感染が重なっている場合は、抗真菌薬や抗菌薬を組み合わせます。症状が落ち着いている時期には、タクロリムスやビタミンD3の塗り薬(いずれも適応外)で再燃を減らすこともあります。
同じくらい大切なのが、毎日の生活で刺激を減らすことです。
- 汗をかいたら早めに流す・拭く: 汗は細胞どうしの接着をゆるめる大きなきっかけです
- ゆったりした、通気性のよい服を選ぶ: きつい下着や締め付けの強い服は摩擦を増やします
- 体重の管理: 皮膚どうしが重なる部分が減ると、こすれとむれが減ります
- ワキの多汗が強い場合は、多汗症の治療(ボツリヌス毒素注射など)で汗を減らすことが症状の改善につながることがあります
繰り返す重い症状には、レーザーなどで患部の皮膚を入れ替える治療が検討されることもあります。
受診の目安
- 首・ワキ・股のただれが、毎年同じ季節に繰り返す
- 市販薬や湿疹の薬を使っても、すぐにぶり返す
- 家族に同じような症状の人がいる
- ただれが急に広がった、強く痛む、発熱がある(感染の可能性)
よくある質問
お風呂ではどう洗えばいいですか?
泡立てた石けんで、手のひらでやさしくなでるように洗い、ぬるめのお湯でよく流してください。ナイロンタオルでこするのは避けます。洗ったあとは、こすらずにタオルで押さえるように水分を取り、しっかり乾かしてから薬を塗ります。
子どもに遺伝しますか?
親から子へ受け継がれる可能性があります。ただし、同じ体質を受け継いでも症状の出方には個人差があります。心配な場合は皮膚科で相談してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-03)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-03)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

