「陰部に痛い水ぶくれができた」「熱が出たあと、手や顔にブツブツが出てきた」「ニュースで聞くエムポックスかもしれない」。エムポックス(以前はサル痘と呼ばれていました)は、皮膚の症状から見つかることの多い感染症です。ほかのよくある病気とも似ているため、特徴を知っておくと落ち着いて行動できます。
エムポックスとは(仕組み)
エムポックスは、エムポックスウイルスによる感染症です。日本では感染症法で4類感染症に指定されており、診断した医師は保健所へ届け出ます。
主なうつり方は、発疹・かさぶた・体液に直接触れることです。性的な接触を含む、皮膚と皮膚が触れ合う密接な接触でうつる例が多く報告されています。発疹のある方が使ったシーツやタオルなどを介してうつることや、近い距離での長時間の会話による飛まつでうつることもあります。一方で、すれ違う程度の接触でうつることは考えにくいとされています。
感染してから症状が出るまでは、おおむね1〜2週間(長いと3週間ほど)とされています。
症状・見分け方
典型的には、発熱・頭痛・だるさ・リンパ節の腫れ(首・わき・足の付け根)が先に出て、その後に発疹が出ます。ただし、熱が出ずに発疹だけが出ることや、陰部やお尻のまわりにだけ数個出ることもあります。
発疹は、赤い斑点 → 盛り上がったブツブツ → 水ぶくれ → 膿をもったブツブツ(中央がくぼむことがある) → かさぶたと、2〜4週間ほどかけて順番に変わっていきます。痛みが強いことが多く、口の中・お尻(肛門)のまわりに出ると、食べにくさや排便時の痛みにつながります。
| 考えられる病気 | 発疹の特徴 | 手がかり |
|---|---|---|
| エムポックス | 水ぶくれ〜膿をもったブツブツ。痛い。同じ時期のものは同じ段階にそろいやすい | 発熱・リンパ節の腫れ。陰部・お尻・手・顔 |
| 水ぼうそう | 赤いブツブツ・水ぶくれ・かさぶたが混在する。かゆい | 体の中心から広がる。子どもに多い |
| 性器ヘルペス | 小さな水ぶくれが集まり、ただれる。痛い | 同じ場所に繰り返す |
| 梅毒 | 痛みの少ないしこりやただれ、体の赤い発疹 | 手のひら・足の裏にも発疹が出ることがある |
| 帯状疱疹 | 体の片側に帯状に並ぶ水ぶくれ。ピリピリした痛み | 左右どちらか一方だけに出る |
見た目だけで区別するのは難しいため、発疹の部分から検体を取ってウイルスの遺伝子を調べる検査で確定します。
治療・療養中の過ごし方
多くの方は、2〜4週間ほどで自然に回復します。治療は、痛みや熱を和らげる薬、皮膚の細菌感染を防ぐケアなど、症状に合わせたものが中心です。重症になりやすい方(免疫の働きが落ちている方など)には、抗ウイルス薬が使われることがあります。
療養中は、うつさないための工夫が大切です。
- 発疹を覆う: 衣類やガーゼで覆い、かさぶたがすべて取れて新しい皮膚になるまで続けます
- 密接な接触を避ける: 性的接触を含め、皮膚が触れ合う接触は避けます
- タオル・寝具・食器を分ける: 洗濯は通常の洗剤で構いませんが、使ったものを振るって払わないようにします。かさぶたやウイルスが飛び散るのを防ぐためです
- 手洗い: 発疹に触れたあとは、石けんで手を洗います
具体的な療養期間や外出については、医療機関と保健所の指示に従ってください。予防のためのワクチンもあり、接触のあとに使われることもあります。
受診の目安と受診の仕方
- 陰部・お尻・口のまわりなどに、痛い水ぶくれや膿をもったブツブツが出た
- 発熱やリンパ節の腫れのあとに発疹が出た
- エムポックスと診断された方と密接な接触があった
受診するときは、事前に医療機関へ電話で症状と接触の心当たりを伝え、受診方法の指示を受けてください。発疹は衣類やガーゼで覆い、マスクを着けて移動します。どこに相談すればよいか分からない場合は、お住まいの地域の保健所に相談できます。
強い息苦しさ、目の痛みや見えにくさ、意識がもうろうとするなどの症状があるときは、すぐに医療機関を受診してください。迷うときは救急安心センター(#7119)に相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
パートナーに伝えたほうがいいですか?
伝えることをおすすめします。症状がなくても、潜伏期間中の可能性があるためです。相手の方が早めに体調の変化に気づき、必要に応じて相談・検査を受けられます。
治ったあと、跡は残りますか?
膿をもったブツブツのあとは、色素沈着や小さなくぼみとして残ることがあります。かさぶたを無理にはがさないこと、かき壊さないことが、跡を残しにくくするいちばんの方法です。
検査を受けたことは周りに知られますか?
医療機関や保健所には守秘義務があり、本人の同意なく職場や家族に伝えることはありません。不安なことは遠慮なく相談してください。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ヘルペスと帯状疱疹(確認日: 2026-10-05)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-05)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

