「ケロイドに注射をしましょうと言われた」「円形脱毛症で頭に注射をすると聞いて不安」。ステロイドと聞くと身構える方もいますが、局所注射は必要な場所に、必要な量だけ薬を届けるための方法です。どんなときに使い、どんなことに気をつければよいかを整理します。
ステロイド局所注射とは(仕組み)
ステロイドには、炎症を抑え、増えすぎた組織の勢いを落とす働きがあります。塗り薬は皮膚の表面から吸収されるため、皮膚の浅いところにはよく効きますが、厚く盛り上がったケロイドや、毛根のある深さの炎症には届きにくいことがあります。
局所注射は、細い針で病変の中に直接薬を入れる方法です。よく使われるのはトリアムシノロンという成分で、効果がゆっくり続くタイプの薬です。飲み薬のように全身に行き渡らせるのではなく、狙った場所で働かせるのが特徴です。
どんな症状に使うか
| 対象 | 注射のねらい | 組み合わせることが多い治療 |
|---|---|---|
| ケロイド・肥厚性瘢痕 | 盛り上がりを平らにし、かゆみ・痛みを和らげる | ステロイドのテープ、圧迫、手術後の再発予防 |
| 円形脱毛症(範囲が限られたもの) | 毛根のまわりの炎症を抑え、発毛を促す | 塗り薬、冷却療法、紫外線療法 |
| 結節性痒疹(かゆいしこり) | 硬くなったしこりとかゆみを鎮める | 強めの塗り薬、かゆみ止めの飲み薬 |
| ピアスケロイド | しこりを小さくする/切除後の再発を減らす | 手術、圧迫 |
どれも「まず塗り薬などで治療し、届かない分を注射で補う」という順番が基本です。注射だけで完結するというより、ほかの治療と組み合わせて使います。
治療の流れと痛み
- 間隔: 一般的には数週間(おおむね1か月前後)おきに行い、効き方を見ながら回数を決めます
- 痛み: ケロイドは組織が硬いため、薬を入れるときに押される痛みがあります。針はできるだけ細いものを使い、少しずつ入れることで痛みを抑えます
- 当日の生活: 入浴やシャワーは基本的に当日から可能です。注射した場所を強くもまないようにしてください
ケロイドは数回で平らになるとは限らず、長く付き合う治療になることもあります。かゆみや痛みが先に軽くなり、盛り上がりはそのあとゆっくり変わっていく、という経過が多いです。
起こりうる副作用と、その理由
局所注射は全身への影響が少ない治療ですが、注射した場所に次のような変化が出ることがあります。
- 皮膚のへこみ(萎縮): 薬が効きすぎて組織が薄くなるためです。多くは時間とともに目立たなくなります
- 細い血管が浮き出る(毛細血管拡張): 皮膚が薄くなることで血管が透けて見えます
- 色が白っぽく抜ける: 一時的なことが多いです
- 生理不順: 量や回数が多いと、女性では生理のリズムが乱れることがあります
これらを避けるために、1回に使う量と間隔を調整しながら進めます。へこみや色の変化に気づいたら、次の注射の前に伝えてください。量や間隔を変える判断材料になります。
ステロイドは「怖い薬」ではなく「強い薬」です。量と場所をコントロールして使うことで、塗り薬だけでは難しかった症状を落ち着かせることができます。
受診の目安
- 傷あとやピアスの穴が、時間がたっても赤く盛り上がり、広がってきた
- 傷あとがかゆい・痛い状態が続いている
- 円形脱毛症で、塗り薬を続けても毛が生えてこない
- かゆいしこりが何か月も治らず、掻いて硬くなっている
診察室でよく聞かれる質問
注射を続けると、体に影響はありませんか?
局所注射は必要な場所に少量を入れるため、飲み薬に比べると全身への影響は小さいとされています。ただし量や回数が増えると影響が出ることもあるので、医師が量を管理しながら行います。
注射のあと、お風呂やお酒は大丈夫ですか?
入浴は基本的に当日から可能です。飲酒も通常の範囲なら制限しないことが多いですが、注射の場所が腫れたり痛んだりしているときは控えめにしてください。
どのくらいでやめられますか?
平らになり、かゆみや痛みがなくなったら間隔をあけていきます。ケロイドは再び盛り上がることがあるので、やめたあとも時々状態を見せてもらうと安心です。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ケロイド(確認日: 2026-10-07)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 脱毛症(確認日: 2026-10-07)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-07)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

