「首が日焼けしたまま戻らない」「首の横がまだらに赤くて、湿疹かと思った」「デコルテの開いた服を着ると気になる」。中年以降の、とくに女性に多くみられる変化で、かゆみがほとんどないため、長い間気づかずに進んでいることもあります。
シヴァット多形皮膚萎縮症とは(仕組み)
名前の「多形皮膚萎縮症(ポイキロデルマ)」は、赤み・茶色の色素・皮膚の薄さ(萎縮)が混ざった見た目を表す言葉です。フランスの皮膚科医シヴァットにちなんで名づけられました。
主な原因は、長年浴びてきた紫外線です。首は顔ほど日焼け止めを塗らない一方で、日光がよく当たる場所のため、ダメージがたまりやすくなります。紫外線で皮膚の浅いところの小さな血管が広がり(赤み)、色素の細胞が反応して茶色くなり、皮膚が少しずつ薄くなっていきます。
さらに、首に付ける香水やコロンの成分が日光に反応することも、きっかけの一つと考えられています。女性ホルモンの変化(更年期)が関係するという考え方もあります。
症状・見分け
首の横と前、デコルテに、左右対称に出ます。特徴的なのは、あごの下の、影になって日光が当たりにくい部分だけが、もとの肌の色のまま残ることです。これが紫外線による変化であることを示す大きな手がかりになります。
| 見るところ | シヴァット多形皮膚萎縮症 | 首の湿疹・かぶれ | 首のシミ(日光黒子) |
|---|---|---|---|
| 色 | 赤み+茶色が網目状に混ざる | 赤み、カサカサ | 茶色の丸いシミ |
| かゆみ | ほとんどない(軽いほてり・ヒリヒリ程度) | かゆい | ない |
| あごの下の影の部分 | 色が変わらない | 関係なく出る | 関係なく出る |
| 経過 | 何年もかけてゆっくり広がる | 原因をやめると良くなる | 少しずつ増える |
ネックレスや香水、衣類のかぶれ、首の湿疹は、かゆみが強く、日陰の部分にも出ることで区別できます。迷う場合は、ダーモスコピー(拡大鏡)で血管と色素の様子を確認します。
治療・セルフケア
治療の土台は、これ以上紫外線を当てないことです。理由は、紫外線が当たり続ける限り、治療しても赤みや茶色が戻ってくるためです。
- 首やデコルテにも、顔と同じように日焼け止めを塗る(汗をかいたら塗り直す)
- 日差しの強い季節は、ストールや襟のある服で首を覆う
- 香水やコロンは首に直接付けず、服の上や手首などに変える
- こすらない。保湿で肌のバリアを整える
見た目をより改善したい場合は、光治療(IPL)や血管に反応するレーザーで、赤みと茶色の両方に働きかける方法があります。皮膚が薄くなっている場所なので、出力を慎重に調整しながら、何回かに分けて行うのが一般的です。
※見た目の改善を目的とした光治療・レーザー治療は自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。主なリスクとして、一時的な赤み・腫れ・色素沈着、まれに色が抜けることがあります。
受診の目安
- 首やデコルテの赤茶色のまだらが、何年もかけて広がってきた
- 湿疹だと思って塗り薬を使っても変わらない
- かゆみが強い、ジクジクする(湿疹やかぶれの可能性)
- まだらの中に、盛り上がる・出血するできものがある
診察室でよく聞かれる質問
ステロイドの塗り薬で治りますか?
湿疹ではないので、ステロイドの塗り薬では良くなりません。むしろ、皮膚が薄くなっている場所に長く使うと、さらに薄くなることがあります。かゆみが強い湿疹が重なっている場合を除き、自己判断で使い続けないでください。
放っておくと、皮膚がんになりますか?
この変化そのものが、がんになるわけではありません。ただ、同じように紫外線を浴びてきた場所なので、首や顔に治りにくいかさぶたや、盛り上がるできものが出てきた場合は、早めに診察を受けてください。
日焼け止めを塗れば、色は薄くなりますか?
日焼け止めは、これ以上濃くしないための対策です。すでにある赤みや茶色は、日焼け止めだけではあまり変わらないことが多いです。ただ、続けることで、少しずつ落ち着いていく方もいます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-10)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-10)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

