「ハンドクリームを塗っているのに手荒れが治らない」「尿素のクリームを塗ったら指先がしみた」「どれを買えばいいのか分からない」。秋から冬にかけて、手荒れの相談は一気に増えます。ハンドクリームは成分によって得意なことが違うため、手の状態に合ったものを選ぶことが近道です。
手荒れとは(仕組み)
手のひらには皮脂を出す腺がほとんどなく、もともと乾燥しやすい場所です。そこへ、手洗い・水仕事・アルコール消毒・洗剤がくり返し加わると、皮膚の一番外側でうるおいを守っている角層の油分(セラミドなど)が流れ出てしまいます。角層のすき間が広がると、水分が逃げてカサカサになり、さらに進むと指先が硬くなって割れ(ひび・あかぎれ)、刺激が入って赤みやかゆみ(手湿疹)に進みます。
状態に合った成分の選び方
| 手の状態 | 向いている成分 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| カサカサ・つっぱる | ヘパリン類似物質、セラミド、グリセリン | 角層に水分を抱え込ませる。べたつきが少なく日中も使いやすい |
| 硬くガサガサ・皮が厚い(指先・かかとのように) | 尿素 | 硬くなった角質をやわらかくする。傷や割れがあるとしみる |
| ひび割れ・あかぎれ | ワセリン(白色ワセリン) | しみにくく、傷を覆って守る。べたつくので夜向き |
| 水仕事が多い | ワセリンやシリコーン配合の、水をはじくタイプ | 水仕事の前に塗ると、洗剤や水から皮膚を守る |
| 赤み・かゆみ・小さなブツブツ・水ぶくれ | クリームだけでは不十分 | 手湿疹の可能性。ステロイドなどの塗り薬が必要 |
香料やメントールの入ったものは、荒れた手にはしみたり、かぶれたりすることがあります。手が荒れている時期は、無香料・シンプルな成分のものが無難です。
効く塗り方(セルフケア)
- 手を洗うたびに塗る: 1日1〜2回では足りません。手洗いのあと、水けをふいたらすぐ塗るのが基本です。理由は、洗った直後がもっとも水分が逃げやすいためです
- 量をケチらない: 両手の甲・手のひら・指の間・指先までしっかり伸ばして、少しテカる程度が目安です
- 指先と爪のまわりも: 割れやすい指先、ささくれができやすい爪のまわりは塗り忘れが多い場所です
- 夜は綿の手袋: 寝る前にワセリンなどをたっぷり塗り、綿の手袋をすると、寝ている間にこすれて取れるのを防げます
- 水仕事はゴム手袋で: ゴム手袋の内側に綿の手袋を重ねると、汗でムレてかぶれるのを防げます
アルコール消毒が欠かせない仕事の方は、消毒のあと乾いてからクリームを塗る、休憩ごとに塗り直すといった「回数」の工夫が効果的です。
受診の目安
- ハンドクリームを2週間しっかり塗っても良くならない
- 赤み・かゆみがある、小さなブツブツや水ぶくれが出る
- ひび割れが深く、痛みで仕事や家事に困る
- ハンドクリームを塗るとかゆくなる・赤くなる(かぶれの可能性)
- 皮がむけて、指の間や爪のまわりがジクジクする
手湿疹まで進んでいる場合、保湿だけでは治りません。炎症を抑える塗り薬で一度しっかり治してから、保湿で良い状態を保つ流れが一般的です。
診察室でよく聞かれる質問
尿素のクリームがしみるのはなぜですか?
尿素には角質をやわらかくする働きがありますが、傷やひび割れがあると刺激になり、しみることがあります。割れているところにはワセリンを使い、硬くガサガサしたところにだけ尿素を使うといった塗り分けがおすすめです。
病院でもらう保湿剤と市販のハンドクリームは違いますか?
病院で処方されるヘパリン類似物質や白色ワセリンと同じ成分のものは、市販品にもあります。大切なのは成分と塗る回数です。ただ、手湿疹がある場合は保湿剤だけでは不十分なので、受診して治療を受けてください。
ハンドクリームを塗ったあと、すぐに紙や書類をさわりたいときは?
べたつきの少ないヘパリン類似物質のローションやクリームを日中用に、ワセリンを夜用に、と使い分けると続けやすくなります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A かぶれ(確認日: 2026-10-11)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-11)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

