傷あとを手術で目立ちにくくする(瘢痕修正術)とは?向いている傷あと・手術の時期・ケロイドとの違いと相談の目安

傷あとを手術で目立ちにくくする(瘢痕修正術)とは?向いている傷あと・手術の時期・ケロイドとの違いと相談の目安
DERMATOLOGY GUIDE | DERMATOLOGIC SURGERY
更新日: 2026年10月11日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

「昔のけがの傷あとが広がって目立つ」「手術の傷がひきつれて動かしにくい」「顔の傷あとをどうにかしたい」。傷あとは、時間とともに目立たなくなるものもあれば、形として残ってしまうものもあります。残ってしまった傷あとには、手術で整えるという選択肢があります。

目次

傷あと(瘢痕)とは(仕組み)

皮膚が深いところ(真皮)まで傷つくと、体はコラーゲンという線維で傷をふさぎます。この「修理あと」が瘢痕です。できたばかりの傷あとは赤く硬いですが、数か月〜1年ほどかけてコラーゲンが整い、白っぽく柔らかい状態に落ち着いていきます。これを傷あとの成熟と呼びます。

傷あとが目立つかどうかは、傷の深さだけでなく、傷にかかる力の向きで大きく変わります。しわの向きと直角に走る傷や、関節をまたぐ傷は、動くたびに引っぱられて幅が広がりやすく、ひきつれも起こりやすくなります。

傷あとのタイプと向いている対処

傷あとのタイプ 見た目 主な対処
幅の広がった傷あと 平らだが太い白い線 傷あとを切り取り、細く縫い直す
ひきつれ(瘢痕拘縮) 関節や口・目のまわりが引っぱられる Z形成術などで傷の向きを変え、つっぱりをゆるめる
段差・へこみのある傷あと 縫い目の両側の高さが違う、くぼむ 切り取って高さをそろえて縫い直す
向きの悪い長い傷あと しわと直角に走る W形成術などでジグザグにし、光の反射を目立たなくする
肥厚性瘢痕・ケロイド 赤く盛り上がる、かゆみ・痛み まず圧迫・テープ・注射などの保存的治療。手術は再発対策とセット

とくに注意が必要なのはケロイドです。ケロイドは傷の範囲を越えて広がる傷あとで、切り取るだけではかえって大きく再発することがあります。手術をする場合も、術後のステロイド注射や放射線治療などを組み合わせるのが一般的です。

治療(手術と、手術以外の方法)

瘢痕修正術は、局所麻酔で行う日帰り手術が多くを占めます。傷あとを切り取り、皮膚の下(真皮)と表面を丁寧に縫い分けることで、傷にかかる力を減らし、細い線で治るようにします。抜糸は顔で1週間前後、体ではもう少し長くかかります。

手術のあとも傷あとは成熟の過程をやり直すため、術後3か月ほどはテープで傷を固定することが大切です。理由は、テープで傷が左右に引っぱられるのを防ぐと、幅が広がりにくくなるためです。あわせて日焼けを避けます。紫外線は治りかけの傷あとに色素沈着を残しやすいためです。

手術以外の方法には次のものがあります。

  • テープ固定・シリコーンジェルシート: 新しい傷あとが広がる・盛り上がるのを抑える
  • ステロイドのテープ・注射: 赤く盛り上がる肥厚性瘢痕やケロイドに使う
  • レーザー: 赤みや凹凸を目立たなくする目的で使うことがある

保険が使えるかどうかは、ひきつれで動かしにくいなど機能に支障があるか、どの治療を選ぶかによって変わります。見た目を整えることだけが目的の場合や、レーザー治療などは自由診療になることがあります。

※見た目の改善を目的とした傷あとの治療は、内容によって自由診療になる場合があります。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。主なリスクとして、傷あとの再発・赤み・色素沈着・左右差があります。

受診・相談の目安

  • けがや手術から半年以上たっても、幅が広い・段差がある傷あとが気になる
  • ひきつれで関節が伸ばしにくい、口や目のまわりが引っぱられる
  • 傷あとが赤く盛り上がってきた、かゆみや痛みがある(肥厚性瘢痕・ケロイドの可能性)
  • 傷あとの範囲を越えて、盛り上がりが広がってきた

赤く盛り上がってきた傷あとは、半年を待たずに早めに相談してください。早い段階でテープや注射を始めるほど、盛り上がりを抑えやすいためです。

診察室でよく聞かれる質問

手術をすれば、傷あとは完全に消えますか?

いいえ。手術をすると新しい傷あとが1本残ります。手術で目指すのは、その傷あとを今より細く、平らに、目立たない向きにすることです。手術前に、どこまで変わるのかを具体的に相談することが大切です。

子どもの傷あとは、いつ治療すればよいですか?

子どもの傷あとは成長とともに変化するため、急いで手術せず、成熟を待つのが基本です。ひきつれで成長や動きに影響が出る場合は、早めに相談してください。

ニキビ跡のへこみも同じ手術で治せますか?

深く大きなへこみは、くり抜いて縫う方法を選ぶこともありますが、多くのニキビ跡にはレーザーなど別の治療を組み合わせます。種類によって考え方が異なります。

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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