「ケガの傷あとが白く残ってしまった」「手術のあとが赤く盛り上がってきた」——傷あとは、できてしまってから消す方法が限られる一方で、治る過程での手当てによって変わる部分が大きいという特徴があります。時期ごとに、やるべきことが違います。
傷が治り、あとが落ち着くまでの流れ
皮膚のケガは、おおまかに次の順で回復します。仕上がりに関わる期間は、皮膚がふさがった後も続きます。
- 数日間(炎症の時期) — 赤く腫れ、浸出液が出ます。細菌が入らないようにしつつ、乾かさないことが大切な時期です
- 数日〜3週間ほど(再生の時期) — 新しい皮膚と、傷を埋めるコラーゲンが作られます。表面がふさがります
- 1か月〜1年ほど(成熟の時期) — 表面は治っていても、皮膚の中では作り替えが続きます。赤みが徐々に薄れ、盛り上がりが平らになっていく期間です。ここでのケアが最終的な見た目を左右します
「もう治ったから何もしなくていい」と考えやすいのが3つめの時期ですが、ケアの効果がもっとも出るのもこの時期です。
時期別にやること
| 時期 | やること | 避けること |
|---|---|---|
| ふさがるまで | 水道水で洗う/乾かさず被覆材やワセリンで覆う/1日1回状態を見る | 毎日の消毒/かさぶたを作って乾かす/自己判断で放置 |
| ふさがった直後〜3か月 | テープで固定して引っぱりを減らす/保湿/こすらない | 強い伸展・こすれ/かきむしり |
| 3か月〜1年 | 紫外線を避ける/保湿を続ける/赤みと盛り上がりの経過を見る | 日焼け/自己流のマッサージで強くもむこと |
テープによる固定がなぜ効くのか
傷あとが盛り上がりやすいのは、皮膚が引っぱられる場所です。胸の中央、肩、上腕、関節の近く、下腹部などが典型で、これは動くたびに傷が引き伸ばされるためです。医療用のテープを傷の線に沿って貼り、皮膚が引っぱられないようにすると、この刺激を減らせます。
- 貼る期間は数か月単位で考えます。数日で効果が出るものではありません
- かぶれたときは無理に続けず、素材を変えるか相談してください
- 手術を受けた場合は、いつから何をどれくらい貼るか、担当医の指示に従ってください(傷の状態と部位で変わります)
紫外線を避ける理由
治りかけの皮膚は、紫外線に対して敏感です。ここで日焼けすると色素沈着が残りやすくなります。いったん濃くなった色は薄れるまでに時間がかかるため、日焼け止め、テープ、衣類で覆うことを、半年から1年を目安に続けます。
「残ってしまう傷あと」には種類がある
- 色だけが残るもの — 赤みや茶色い色素沈着です。時間とともに薄れることが多いものです
- 白く光って平らなもの — 成熟した瘢痕です。目立ちにくくなりますが、元の皮膚とは質感が異なります
- 赤く盛り上がるもの(肥厚性瘢痕) — 傷の範囲を超えず、時間をかけて落ち着くことがあります
- 元の傷を超えて広がるもの(ケロイド) — 傷の外へ横に広がり、かゆみや痛みを伴うことがあります。自然に治まりにくく、治療の対象になります
- へこんだもの — 組織が欠けた場合や、ニキビ跡などで生じます
盛り上がりが強くなる、かゆみや痛みが続く、範囲が広がっているという場合は、様子を見る段階ではありません。早い時期のほうが選べる対応が多いため、気づいた時点で相談してください。
やらないほうがよいこと
- かさぶたを無理にはがす — 再生した表面まで取れて、治りが遅れます
- 毎日消毒を続ける — 汚染された傷の初回の洗浄は別として、日々の消毒は治りを助けません
- 強くもむ・こする — 刺激は盛り上がりの原因になります
- 効果をうたう製品を、判断の材料にしない — 傷あとの状態によって適する対応は異なります。まず状態を見てもらうことをおすすめします
- 感染したまま覆い続ける — 赤みが広がる、膿が出る、においがあるときは覆わずに受診してください
受診の目安
- 傷あとが赤く盛り上がってきた、かゆい、痛い
- 傷の範囲を超えて広がっている
- 関節をまたぐ傷で、つっぱって動かしにくい
- 2週間以上ふさがらない傷(治りにくい理由が別にあることがあります)
- 顔・首・胸元など、目立つ場所の傷あとの経過を相談したい
- 過去にケロイドができたことがあり、また傷を作ってしまった
- 傷の周りが赤く広がり、熱と痛みがある/発熱がある(早めの受診が必要です。夜間・休日は救急安心センター事業(#7119)で相談できます)
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しており、開業後は傷あと・ケロイドのご相談に対応する予定です。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ケロイド」(確認日: 2026-09-05)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(一覧)(確認日: 2026-09-05)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

