「無料カウンセリングのつもりが、数十万円のコースを契約していた」「思っていた施術と違ったのに、解約できないと言われた」。美容医療の相談窓口には、こうした契約の相談が毎年多く寄せられています。施術を受ける前に知っておきたいことを整理します。
トラブルが起きやすい仕組み
美容医療の多くは自由診療で、価格や内容を医療機関が自由に決めます。保険診療のように全国共通の料金がないため、同じ名前の施術でも内容と費用に大きな幅があります。
また、美容医療では次のような状況が重なりやすく、冷静に判断しにくくなります。
- 広告の安い価格をきっかけに来院し、当日により高いプランを提案される
- 「今日だけの割引」「キャンペーンは本日まで」と即決を促される
- 悩みを打ち明けた直後で、気持ちが揺れている
- 回数券やコースなど、まとまった金額を前払いする
よくあるトラブルの種類(見分け)
| トラブル | 起こりやすい場面 | 予防のポイント |
|---|---|---|
| 想定より高額な契約 | 広告価格で来院し、当日に上位プランを契約 | 総額(麻酔・薬・再診料込み)を書面で確認 |
| 解約・返金でもめる | 回数券・コースの前払い | 解約時の返金ルールを契約前に確認 |
| 説明と違う仕上がり | リスク・ダウンタイムの説明が短い | 起こりうる副作用と対応を確認 |
| 施術後の不調への対応 | トラブル時の連絡先・費用が不明 | 再診・修正の費用負担を確認 |
クーリングオフと中途解約の考え方
脱毛、ニキビ・シミなどの除去、しわ・たるみの軽減、脂肪の減少などを目的とした美容医療のうち、契約期間が1か月を超え、金額が5万円を超える継続的な契約は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」の対象とされています。
- 契約書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリングオフ(無条件での解約)ができるとされています
- 8日を過ぎても、定められた範囲の解約料を支払えば中途解約できるとされています
1回だけの施術や、条件を満たさない契約は対象外になることがあります。自分の契約が当てはまるか迷ったら、契約書を手元に用意して、消費者ホットライン188(いやや)に相談してください。最寄りの消費生活センターにつながります。
受ける前の確認リスト(セルフケア)
- カウンセリング当日には契約しない。いったん持ち帰って考える
- 施術の内容・回数・総額を、口頭ではなく書面でもらう
- 起こりうる副作用・ダウンタイム・効果が出ない可能性の説明を受けたか
- トラブルが起きたときの連絡先、再診・治療の費用負担はどうなるか
- 途中でやめたくなったときの返金ルール
- 医師が診察して、施術が自分に合うかを判断しているか
- ローンを勧められた場合、総支払額はいくらになるか
※美容医療の多くは自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。
受診・相談の目安
- 施術後に、赤み・腫れ・痛みが強くなる、膿が出る、しこりができた(まず施術を受けた医療機関へ。連絡がとれなければ皮膚科・形成外科へ)
- 契約内容や返金で話がまとまらない(消費者ホットライン188へ)
- 施術直後に息苦しさ・じんましん・顔の腫れが出た(すぐに救急要請)
診察室でよく聞かれる質問
「今日契約すれば半額」と言われたら?
その場で決めなくて大丈夫です。医療の内容は、価格よりも自分に必要かどうかで判断するものです。持ち帰って考える時間をくれない場合は、それ自体を判断材料にしてください。
施術後の不調を、別の皮膚科で診てもらってもいいですか?
構いません。受診するときは、受けた施術の名前、使った薬剤や機器、日付が分かるもの(説明書・領収書など)を持参すると、原因を判断しやすくなります。
美容医療を受けるか迷っています。保険の治療で済むことはありますか?
ニキビ、肝斑、一部のシミ、多汗症などは、保険診療の治療で改善を目指せることがあります。まず皮膚科で診断を受け、保険で対応できる範囲と、自由診療が選択肢になる範囲を分けて考えると、納得して選びやすくなります。
関連ページ
参考情報
- 日本美容外科学会(JSAPS)(確認日: 2026-10-16)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-16)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

