「全身がかゆいのに、湿疹は見当たらない」「最近、首やワキの皮膚が急に黒っぽくなった」。こうした変化が、皮膚の外の病気と関係していることがあります。とはいえ、怖がりすぎる必要はありません。どんな変化が手がかりになるのかを知っておくと、適切なタイミングで相談できます。
デルマドロームとは(仕組み)
皮膚は体の中でいちばん大きな臓器で、外から直接目で見ることができる臓器でもあります。血液の成分、ホルモン、免疫の働きの変化は皮膚にも届くため、内臓の病気が皮膚の色・かゆみ・発疹・爪の形などに現れることがあります。
デルマドロームは特定の一つの病気の名前ではなく、「内臓の病気と関連する皮膚の変化」を広く指す言葉です。皮膚の変化をきっかけに、内臓の病気が早く見つかることもあります。
症状・見分け(主なサインと関連する病気)
比較的よくみるものから並べています。どれも「この変化があれば必ずその病気」というわけではありません。
| 皮膚の変化 | 関連することがある病気 |
|---|---|
| 発疹がないのに全身が長くかゆい | 腎臓・肝臓の病気、甲状腺の病気、糖尿病、鉄不足、まれに血液の病気 |
| 首・ワキの皮膚が黒っぽくざらざらする | 肥満やインスリンの効きにくさ(黒色表皮腫)。急に広がる場合はまれに内臓のがん |
| 足の傷が治りにくい、水虫やとびひを繰り返す | 糖尿病 |
| 手のひらの赤み、胸の小さなクモの足状の赤い点、皮膚や白目が黄色い | 肝臓の病気 |
| 頬の赤い発疹、指先が白・紫に変わる、まぶたの赤紫色の腫れ | 膠原病(全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎など) |
| すねの痛い赤いしこり | 炎症性腸疾患、サルコイドーシス、感染症など |
| 爪がスプーン状に反る | 鉄欠乏性貧血 |
| 中年以降に、かゆみを伴うイボ(脂漏性角化症)が短期間に急に多数出る | まれに内臓のがん |
皮膚筋炎は、大人では内臓のがんを合併することがあるため、診断されたときにはがんの検査も合わせて行うのが一般的です。
治療・セルフケア
デルマドロームの治療は、皮膚の症状を和らげる治療と、原因となっている内臓の病気の治療の両方を進めます。たとえば、腎臓病によるかゆみには保湿とかゆみ止め、糖尿病の方の足には血糖の管理と毎日の足の観察、といった形です。
原因の病気が落ち着くと、皮膚の症状も軽くなることが少なくありません。皮膚科では、必要に応じて血液検査を行い、内科などの専門の診療科へ紹介します。
セルフケアとしてできるのは、気になる皮膚の変化を写真で記録しておくことです。いつから、どのくらいの速さで変わったかは、診断の大事な手がかりになります。
受診の目安
- 発疹がないのに、かゆみが数週間以上続く
- 皮膚の色の変化や発疹が、短期間で急に広がった
- 塗り薬で治療しても治りにくい
- 体重減少、だるさ、発熱、むくみ、関節の痛みなど、皮膚以外の変化もある
- 皮膚や白目が黄色くなった(早めに受診)
診察室でよく聞かれる質問
かゆみが続くので、内臓の病気が心配です
長引くかゆみの原因として多いのは、乾燥による皮膚のかゆみです。特に冬や高齢の方では、保湿だけで改善することもよくあります。そのうえで、保湿をしても治まらない場合は、血液検査で内臓の病気がないか確かめると安心できます。
皮膚科と内科、どちらに行けばいいですか?
皮膚の変化が気になって受診する場合は、皮膚科で構いません。皮膚の変化が内臓の病気によるものか、皮膚だけの病気かを見分け、必要があれば適切な診療科を案内します。持病で内科に通院中の方は、主治医に皮膚の変化を伝えることも大切です。
黒色表皮腫と言われました。がんの検査が必要ですか?
黒色表皮腫の多くは、体重の増加やインスリンの効きにくさと関係しており、がんとは関係しません。若い方、ゆっくり変化した方ではその可能性が高いです。中年以降に急に広がった場合などに、検査を考えます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-16)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-16)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

