「お腹に赤い輪っかができて、だんだん大きくなっている」「たむしの薬を塗っても治らない」。輪の形をした発疹はいくつもの病気で起こるため、見た目だけでは判断しにくいのが特徴です。
遠心性環状紅斑とは(仕組み)
皮膚の血管のまわりで起こる、体の過敏な反応と考えられています。何かのきっかけ(感染症、虫刺され、薬、食べ物など)に対して皮膚が反応し、その反応が輪の外側へ向かって移動していくため、中心が治りながら輪が広がっていきます。
原因が見つからないことが多く、「原因不明のまま、出たり消えたりを繰り返す」タイプも少なくありません。まれに、体のほかの病気に伴って出ることがあります。
症状・見分け
体幹・太もも・お尻などに、ピンク〜赤の輪状の発疹ができ、数日から数週間かけて、ゆっくり外側へ広がっていきます。輪の内側のふちに、薄い皮むけ(鱗屑)がついているのが特徴的です。かゆみは軽いか、ない人もいます。
| 病気 | 輪の特徴 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 体部白癬(たむし) | 輪のふちに皮むけや小さなブツブツ、かゆみが強い | 皮むけを顕微鏡で調べるとカビ(真菌)が見つかる |
| 遠心性環状紅斑 | ゆっくり広がる。輪の内側のふちに薄い皮むけ | カビの検査は陰性 |
| じんましん | 輪になることもあるが、数時間〜1日以内に消える | 同じ場所に残り続けない |
| 環状肉芽腫 | 小さな硬いブツブツが輪状に並ぶ。皮むけなし | 手の甲・指などに多い |
| ジベルばら色粃糠疹 | 楕円形の発疹が体に多数、最初に大きめの1つ | 数週間で全体に広がる |
| マダニに刺されたあとの紅斑 | 刺された場所を中心に輪が広がる | 山歩き・草むらの後、発熱など |
見分けがつきにくいときは、皮膚の一部を取って調べる検査(皮膚生検)を行うこともあります。
治療・セルフケア
まず、皮むけを顕微鏡で調べてたむしではないことを確認します。そのうえで、炎症を抑えるステロイドの塗り薬を使うと、多くの場合は落ち着いていきます。かゆみがある場合は、抗ヒスタミン薬の飲み薬を併用します。
きっかけになっている感染症(水虫、虫歯、副鼻腔炎など)や、飲み始めた薬が見つかれば、その治療や見直しで発疹が消えることがあります。原因が見つからない場合でも、時間とともに自然に治まることが多い病気です。
セルフケアとしては、輪の大きさや数の変化を写真で記録しておくと、受診時の判断に役立ちます。自己判断で、たむしの市販薬とステロイドの市販薬をかわるがわる塗るのは、診断を難しくするので避けてください。
受診の目安
- 輪状の発疹が広がっていく、数が増える
- 市販の水虫・たむしの薬を2週間ほど塗っても変化がない
- 何度も繰り返す
- 発熱、だるさ、体重減少など、体の不調を伴う
- 山歩きや草むらの後に出た(マダニの可能性)
診察室でよく聞かれる質問
人にうつりますか?
遠心性環状紅斑は、人にうつる病気ではありません。家族と同じお風呂に入っても問題ありません。見た目が似たたむしはうつるので、まず検査で区別することが大切です。
内臓の病気が隠れていることはありますか?
多くは内臓の病気とは関係ありません。ただし、治療をしても繰り返す場合や、体の不調を伴う場合は、血液検査などで全身の状態を確かめることがあります。
市販のステロイドを塗ってもいいですか?
たむしだった場合、ステロイドでカビが増えて悪化し、そのあとの検査でカビが見つかりにくくなることがあります。輪の形の発疹は、塗る前に一度受診することをおすすめします。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-16)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 白癬(水虫・たむし)(確認日: 2026-10-16)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

