「切る手術はこわいけれど、頬のたるみやほうれい線が気になる」「糸リフトは何年もつの?」。美容医療の中でも相談の多い施術です。ここでは、仕組み・向き不向き・リスクを整理します。
糸リフトとは(仕組み)
糸リフトでは、医療用の糸を皮膚の下の脂肪の層に通します。糸には小さなトゲ(コグ)や突起がついており、それが皮下の組織にひっかかることで、たるんだ部分を上に引き上げます。
現在主に使われているのは、時間とともに体の中で分解・吸収される溶ける糸です。糸のまわりにはコラーゲンを含む組織ができ、糸が溶けたあとも一定期間ハリが残ると説明されています。ただし、加齢によるたるみは続いていくため、時間とともに元に戻っていきます。
どんなたるみに向いているか(見分け)
| 悩みの状態 | 糸リフトとの相性 | ほかの選択肢 |
|---|---|---|
| 軽度〜中等度の頬・フェイスラインのたるみ | 向いていることが多い | HIFU(超音波)、ヒアルロン酸注入 |
| 皮膚のたるみが強く、余った皮膚が多い | 引き上げ効果が足りないことが多い | 切開をともなうフェイスリフト手術 |
| ボリュームの減少(頬がこけた) | 引き上げだけでは改善しにくい | ヒアルロン酸注入など |
| 表情じわ(額・目尻) | 向いていない | ボツリヌス毒素注射 |
| 細かいちりめんじわ・ハリ不足 | 向いていない | レーザー、保湿・紫外線対策 |
同じ「たるみ」でも、原因が皮膚のゆるみなのか、脂肪の下垂なのか、ボリュームの減少なのかで合う治療が変わります。まず原因を見きわめることが、満足度を左右します。
施術の流れ・もつ期間・費用の目安
施術は局所麻酔で行い、皮膚に小さな針穴をあけて、そこから専用の針で糸を通します。所要時間は本数や範囲によって変わります。
効果の持続は、糸の種類・本数・皮膚の状態によって差があり、数か月から1年前後とされることが多く、長くもつと説明されることもあります。永久に続くものではないため、続けたい場合は繰り返し受けることになります。
費用は自由診療で、糸の種類や本数によって数万円から数十万円程度が目安とされています。医療機関ごとに大きく異なるため、本数・追加費用・トラブル時の対応まで含めて確認してください。
※糸リフトは自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。
ダウンタイムとリスク
施術後、腫れ・内出血・つっぱり感・口を大きく開けたときの痛みが、数日から2週間程度続くことがあります。主なリスクは次のとおりです。
- ひきつれ・皮膚のくぼみ・でこぼこ(多くは時間とともに目立たなくなる)
- 左右差
- 糸が皮膚の表面から透けて見える、飛び出してくる
- 感染(赤み・腫れ・痛みが強くなる)
- まれに神経や唾液腺の損傷
施術後しばらくは、大きく口を開ける、強くマッサージする、顔をうつぶせにして寝るなど、糸に強い力がかかる動作を避けるよう指示されることが一般的です。これは、引っかかった糸がずれるのを防ぐためです。
受診の目安(施術を受けたあと)
- 腫れや痛みが日ごとに強くなる、熱をもつ、膿が出る(感染の可能性)
- 糸の先が皮膚から出てきた
- くぼみやひきつれが2週間以上たっても改善しない
- 顔が動かしにくい、しびれが続く
気になる症状が出たら、まず施術を受けた医療機関に連絡するのが基本です。連絡がとれない場合や急に悪化した場合は、皮膚科や形成外科に相談してください。
診察室でよく聞かれる質問
糸リフトとHIFU、どちらがいいですか?
引き上げの変化をすぐに出したい場合は糸リフト、針を使わずダウンタイムを短くしたい場合はHIFUが選ばれることが多いです。たるみの程度によっては、どちらも効果が限られ、手術のほうが合うこともあります。
マスクで隠せますか?仕事はいつから?
内出血や腫れはマスクで隠せる範囲のことが多く、デスクワークなら翌日から可能なことが一般的です。ただし、大事な予定の直前に受けるのは避けてください。
糸が溶けたあと、しわが増えたりしませんか?
糸が溶けたことで、施術前よりたるみが悪化するとは考えられていません。加齢による変化が施術前から続いているため、元の状態に戻っていくように感じます。
関連ページ
参考情報
- 日本美容外科学会(JSAPS)(確認日: 2026-10-16)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-16)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

