「娘が友だちと同じピアスを開けたいと言っている」「小学生でも開けていいの?」「赤ちゃんのうちに開ける国もあると聞いた」。ピアスの年齢について、法律で一律に決まった年齢はありません。だからこそ、「何歳なら大丈夫か」は年齢そのものより、本人の意思とケアの力で考えるのが現実的です。
ピアスの穴ができる仕組み(なぜケアが要るのか)
ピアスの穴は、針で開けた傷の内側が皮膚で覆われて、トンネルのような通り道になったものです。開けた直後は「傷」の状態で、内側の皮膚ができあがるまで(ホールが安定するまで)には、耳たぶでおおむね1〜2か月以上かかるとされています。
この間は、ばい菌が入りやすく、触る・引っかける・不潔な手でいじるといったことで、腫れたり膿んだりしやすい時期です。つまりピアスは「開けて終わり」ではなく、開けてからの数か月間の毎日の管理が結果を左右します。小さな子どもでこの管理を親がすべて担うのは、実際にはかなり大変です。
また、皮膚の傷が治る過程で、体質によっては傷あとが盛り上がる「ケロイド」ができることがあります。耳たぶはケロイドができやすい場所のひとつです。
年齢ごとの考え方と見分けるポイント
年齢で一律に線を引くより、次の点がそろっているかで判断してください。
| 確認するポイント | そろっている状態 | まだ早いサイン |
|---|---|---|
| 本人の意思 | 自分から開けたいと言い、痛みがあることも理解している | 親が開けたい、周りに合わせているだけ |
| 毎日のケア | 洗う・清潔にする・触らないを自分で続けられる | 無意識に耳を触る、つい引っ張ってしまう |
| 生活の場面 | 体育・部活・プールでの付け外しのルールを守れる | 運動中に引っかけやすい、外し忘れる |
| 体質 | 金属でかぶれたことがない、傷あとが盛り上がったことがない | 腕時計やベルトでかぶれた、手術や傷のあとが盛り上がった |
| 困ったときの相談 | 腫れや痛みを隠さず家族に言える | 怒られると思って言わない |
乳幼児期は、ピアスを口に入れて飲み込む、寝ている間に引っかけて耳たぶが裂けるといった事故の心配もあります。開けるかどうかを本人が選べる年齢まで待つ、というのが皮膚科医としての基本的な考え方です。
医療機関で開けることをおすすめする理由
ピアスの穴を開けることは、皮膚に針を通して傷をつける行為なので、医療行為にあたります。医療機関で開けることには、次のような理由があります。
- 清潔な器具で開けられる: 使い捨ての器具を使い、感染のリスクを下げられるため
- 位置と角度を確認して開けられる: 左右の高さや、耳たぶの端に寄りすぎない位置を決めることで、あとで裂けにくくするため
- 体質を事前に確認できる: 金属アレルギーやケロイドの心配がある場合に、開けない・時期をずらすといった判断ができるため
- トラブルのときにすぐ相談できる: 腫れや膿が出たとき、開けた場所でそのまま診てもらえるため
ファーストピアスは、アレルギーを起こしにくい素材で、軸が太く長めのものが使われることが多いです。耳たぶの腫れに対応できる長さが必要なためです。
※ピアスの穴あけは自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、仕上がりや治るまでの期間には個人差があります。主なリスクとして、感染・腫れ・金属アレルギー・ケロイド・耳たぶの裂け(ピアス裂傷)があります。
開けたあとのケア(セルフケア)
子どもの場合は、本人がケアをして、保護者が毎日確認する形が現実的です。
- 1日1〜2回、シャワーで泡を流すように洗う: 汚れや皮脂をためないため。強い消毒薬を何度も使うと、かえって皮膚が荒れることがあります
- ファーストピアスは自分で外さない: 穴が安定する前に外すと、すぐに縮んで入れ直せなくなったり、傷つけたりするため
- くるくる回さない、むやみに触らない: 治りかけの傷を何度もこすることになるため
- 髪の毛・マスクのひも・服に引っかけない: 引っ張られると傷が広がり、腫れの原因になるため
- プールや運動は、医師に確認してから: 開けて間もない時期は感染しやすく、ぶつけて裂けることもあるため
学校の決まりで、ピアスが禁止されていたり、運動時に外す必要があったりすることがあります。開ける前に学校の規則も確認しておくと、穴が安定する前に外さなければならない、という困りごとを避けられます。
受診の目安
次のような場合は、早めに皮膚科を受診してください。
- 赤み・腫れ・痛みが日に日に強くなる
- 黄色い膿が出る、ピアスの周りがじくじくする
- ピアスの留め具が耳たぶに埋まりこみそう、または埋まった
- 穴の周りがかゆく、ただれてきた(金属アレルギーの可能性)
- 穴の周りに硬いしこりができて、だんだん大きくなる(ケロイドの可能性)
熱が出た、耳全体が赤く腫れて強く痛む場合は、急いで受診してください。夜間や休日で迷うときは、こども医療でんわ相談(#8000)や救急安心センター(#7119)に相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
小学生でも開けられますか?
開けられないわけではありません。ただし、本人が自分で決めて、毎日のケアを続けられることが条件です。親がケアを全部するつもりで開けると、腫れたときに本人が言い出せず、気づくのが遅れることがあります。
市販のピアッサーで家で開けてもいいですか?
おすすめしません。位置がずれたり、清潔を保てなかったりして、トラブルになることがあるためです。子どもは動いてしまうことも多いので、医療機関で開ける方が安全です。
家族にケロイド体質の人がいます。開けても大丈夫ですか?
ケロイドは体質が関係するとされており、ご家族にいる場合は慎重に考えてください。本人に、ニキビあとや傷あとが盛り上がった経験があるなら、開ける前に医師へ相談してください。
水泳の習い事があります。いつから入れますか?
開けて間もない時期は、プールの水で感染しやすく、ぶつけて裂けることもあります。再開の時期は、穴の状態を見て医師に確認してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ケロイド(確認日: 2026-10-19)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-19)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

