とびひ・おできで「MRSA」と言われたら?皮膚のMRSA感染症の意味、家族にうつるか、治療と日常生活の注意、受診の目安

とびひ・おできで「MRSA」と言われたら?皮膚のMRSA感染症の意味、家族にうつるか、治療と日常生活の注意、受診の目安
DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
更新日: 2026年10月19日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

「子どものとびひがなかなか治らず、検査したらMRSAと言われた」「おできを切ってもらったら、菌の検査でMRSAが出た」。耳慣れない言葉なので、強い菌にかかってしまったのではと心配になる方が多いと思います。けれども、皮膚のMRSA感染症は皮膚科でよく出会うもので、正しく治療すれば日常生活を大きく変える必要はありません。

目次

MRSAとは(仕組み)

黄色ブドウ球菌は、もともと人の鼻の中や皮膚にふつうにいる細菌です。健康な皮膚の上ではおとなしくしていますが、虫刺されをかき壊した傷、湿疹、毛穴などから皮膚の中に入ると、とびひ(伝染性膿痂疹)、毛包炎、おでき(せつ)、蜂窩織炎(ほうかしきえん、皮膚の深いところの細菌感染)などを起こします。

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、この黄色ブドウ球菌のうち、ペニシリン系やセフェム系と呼ばれる、よく使われる抗菌薬が効きにくくなったものです。「耐性菌」というと特別な菌のように聞こえますが、菌そのものが毒性の強い別物になったわけではありません。違いは「効く薬が限られる」という点です。

以前は病院の中で広がる菌と考えられていましたが、現在は保育園や学校、家庭など、病院の外でかかるMRSAも珍しくありません。とびひで検査をするとMRSAが見つかることは、皮膚科では日常的にあります。

症状・見分け

MRSAかどうかは、見た目だけでは分かりません。症状は、ふつうの黄色ブドウ球菌による感染症とほぼ同じです。疑うきっかけになるのは、次のような経過です。

  • 抗菌薬の塗り薬や飲み薬を使っているのに、数日たっても広がる・よくならない
  • おできを何度もくり返す
  • 家族の中で、とびひやおできが続けて出ている

このようなときは、膿やジクジクした部分を綿棒でこすって菌を調べる検査(細菌培養)を行い、どの薬が効くか(薬剤感受性)を確かめます。結果が出るまでには数日かかります。

皮膚の病気 見た目の特徴 MRSAのときの治療の考え方
とびひ(伝染性膿痂疹) 水ぶくれ・ジクジク・かさぶたが、かき壊した場所から広がる 検査で効くと分かった塗り薬・飲み薬に切り替える
毛包炎・おでき(せつ) 毛穴を中心に赤く腫れ、中心に膿をもつ。押すと痛い 膿を出す処置が大切。必要に応じて飲み薬
蜂窩織炎 境目のはっきりしない赤み・熱感・腫れが広がる。発熱することも 飲み薬、広がりが強ければ点滴や入院を検討

治療・セルフケア

治療の基本は、検査の結果をもとに「効く薬」を選ぶことです。MRSAにも効く飲み薬・塗り薬はあり、皮膚の浅い感染であれば外来での治療で治っていくことがほとんどです。

膿がたまっているおできでは、薬よりも皮膚を小さく切って膿を出す処置(切開排膿)のほうが効果が大きいことが多いです。膿がたまったままだと、薬が中まで届きにくいためです。

処方された飲み薬は、症状が軽くなっても指示された日数を飲み切ってください。途中でやめると菌が残り、ぶり返しやすくなるためです。反対に、残った抗菌薬を自己判断で次のときに使うのも避けてください。効かない薬を使うことになったり、菌が薬に慣れてしまったりすることがあります。

家庭でできることは次のとおりです。

  • 患部を石けんの泡で洗い、シャワーで流す: 膿やかさぶたに菌が多くいるため、清潔にすることが治療の一部になります
  • ガーゼなどで覆う: かき壊しや、ほかの場所・家族への広がりを防ぐため
  • 爪を短く切る: 子どもは特に、かいた指から別の場所にうつしやすいため
  • 手洗いをこまめにする: 患部に触れたあと、食事の前

家族にうつる?日常生活の注意

MRSAは、患部に触れた手やタオルなどを通してうつることがあります。ただし、健康な皮膚にうつっても、多くは感染症を起こさずに通り過ぎていきます。家族の方が過度に心配する必要はありませんが、次のことを心がけてください。

  • タオル・バスタオルは家族で共有しない
  • 患部が覆えない間は、湯船よりシャワーにする。入浴は最後にするとより安心です
  • 衣類やシーツは、ふつうの洗濯で問題ありません

同じ家族の中でおできやとびひが続くときは、鼻の中などに菌をもっている人がいることがあります。くり返すときは、家族のことも含めて医師に相談してください。

受診の目安

  • とびひやおできが、薬を使っても数日でよくならない・広がる
  • おできを年に何度もくり返す
  • 赤く腫れた範囲が広がっている、痛みが強くなっている

次の場合は、早めに医療機関を受診してください。夜間や休日で迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談できます。

  • 高い熱が出た、ぐったりしている
  • 赤みが短い時間で急に広がる、触れないほど痛い
  • 糖尿病や持病があり、傷の治りが遅い

診察室でよく聞かれる質問

MRSAと言われました。保育園や学校は休むべきですか?

MRSAだから休む、という決まりはありません。とびひであれば、患部をガーゼなどでしっかり覆えれば登園・登校できることが多いです。ただし、ジクジクが広い場合や、園・学校の方針によって対応が異なるため、受診のときに相談してください。プールは、治るまで控えるのが一般的です。

一度MRSAが出たら、ずっと体に残るのですか?

皮膚の感染症が治れば、多くは自然に菌が目立たなくなります。ただ、鼻の中などに菌をもち続ける人もいて、その場合はくり返すことがあります。次にとびひやおできが出たときに「以前MRSAと言われた」と伝えていただくと、最初から効く薬を選びやすくなります。

家族の検査も必要ですか?

症状のない家族を全員検査する必要は、ふつうはありません。家族の中でくり返し感染が起きているときに、検査や対策を相談します。

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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