「補聴器を着けると耳の中がかゆくて、つい指を入れてしまう」「耳の付け根がこすれて赤くなった」「耳の入口がジュクジュクしている」。補聴器を使い始めた方や、長い時間使っている方からよく聞く悩みです。かゆいからと使うのをやめてしまうと、聞こえにくさで会話が減ることにもつながります。原因を見分けて、使い続けるための方法を整理します。
補聴器で耳がかゆくなる仕組み
耳の穴(外耳道)の皮膚は、骨のすぐ上にある薄い皮膚で、もともと刺激に弱い場所です。補聴器を着けると、次のようなことが起こります。
- 蒸れ…耳の穴に入れるタイプや、耳の穴をふさぐ部品(耳せん・イヤモールド)があると、空気の通りが悪くなり、湿った状態が続きます。
- 乾燥…年齢とともに耳の穴の皮膚も乾燥しやすくなり、少しの刺激でかゆみを感じるようになります。
- こすれ・圧迫…形が合っていないと、耳の入口や耳の穴の中の同じ所が押されたりこすれたりします。耳にかけるタイプでは、耳の付け根がこすれます。眼鏡やマスクのひもも同じ場所にかかるため、こすれが重なりやすくなります。
- かく・耳かきをする…かゆくて耳かきや綿棒でかくと、皮膚に傷ができ、さらにかゆみが強くなる悪循環に入ります。
補聴器の部品に使われる素材でかぶれることもありますが、実際には蒸れ・乾燥・こすれのほうがずっと多い原因です。
症状と見分け方
| 考えられるもの | 見た目・特徴 | 相談先 |
|---|---|---|
| 耳の湿疹(外耳道湿疹) | 耳の穴の中のかゆみ、カサカサ、白い粉のような皮むけ | 皮膚科・耳鼻咽喉科 |
| こすれ・圧迫 | 耳の入口や付け根の赤み、痛み、皮むけ | 補聴器の販売店で調整。治らなければ皮膚科 |
| かぶれ | 部品の当たる形どおりの強いかゆみ、ジュクジュク | 皮膚科 |
| 外耳炎 | 耳の痛み(耳を引っぱると痛い)、耳だれ、腫れ | 耳鼻咽喉科 |
| 耳の穴のカビ | 強いかゆみ、白や黒っぽい耳あか、耳がつまった感じ | 耳鼻咽喉科 |
補聴器を使い続けるための手入れ
- 毎日、補聴器を拭く。耳あかや皮脂が付いたままだと、皮膚への刺激になり、補聴器の故障の原因にもなります。付属のブラシややわらかい布で手入れします。
- 耳せんなどの部品は定期的に交換する。汚れたり硬くなったりした部品は、こすれの原因になります。
- 夜は外して乾燥させる。耳を休ませる時間をつくり、補聴器は乾燥ケースに入れます。
- 入浴後は耳をよく乾かしてから着ける。湿ったまま着けると、蒸れた状態が長く続きます。
- 耳かき・綿棒でかかない。耳の穴の皮膚は薄く、少しの傷でも湿疹や外耳炎のきっかけになるためです。耳あかは、多くの場合自然に外へ出てきます。
- 痛い・当たると感じたら、形の調整を相談する。補聴器は調整できる医療機器です。我慢せずに販売店に伝えてください。
皮膚科での治療
耳の湿疹には、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)を、耳の穴に塗りやすいローションや軟膏で使います。かゆみが強いときは、かゆみ止めの飲み薬を組み合わせることもあります。かぶれが疑われる場合は、皮膚に貼って反応を見る検査(パッチテスト)で、部品の素材が原因かを確かめることがあります。原因が分かれば、別の素材の部品に変えて使い続けられることが多いです。
耳だれや強い痛みがある場合、耳の奥の状態を確認する必要があるときは、耳鼻咽喉科での診察が適しています。
診察室でよく聞かれる質問
Q. かゆいので、補聴器を使うのをやめてもいいですか?
A. 湿疹の治療と形の調整で、使い続けられることがほとんどです。補聴器を使わない期間が長いと、聞こえにくさで会話が減ったり、聞こえに慣れる練習が途切れたりします。治療の間だけ使う時間を短くするなど、無理のない方法を相談しましょう。
Q. かゆいときは、どうしたらいいですか?
A. 耳の穴に指や綿棒を入れずに、耳の外側を冷たいタオルで冷やすと、かゆみがやわらぎます。塗り薬を処方されている場合は、かく代わりに薬を塗ってください。
Q. 眼鏡とマスクも耳にかけていて、付け根が痛いです。
A. 耳にかけるものが重なると、付け根のこすれが強くなります。マスクは耳にかけずに頭の後ろで留めるタイプにする、眼鏡のつるの当たり方を眼鏡店で調整するなど、重なりを減らす工夫をしてみてください。
受診の目安
- かゆみや皮むけが2週間以上続く
- 耳の入口や付け根が赤くただれた、ジュクジュクする
- 耳だれが出る、耳を引っぱると痛い(耳鼻咽喉科へ)
- 急に聞こえが悪くなった、耳がつまった感じが続く(耳鼻咽喉科へ)
- かゆみで補聴器が使えない日が続いている
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ(接触皮膚炎)」(確認日: 2026-10-21)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-21)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

